温室効果ガスの削減を各国に義務付ける京都議定書の批准承認案が5月21日午
後、衆院本会議で承認・可決された。これに関連して、議定書の目標を達成するた
めの国内制度を定めた地球温暖化対策推進法改正案も同日、衆院本会議で可決され
た。
一時はアメリカの議定書からの離脱で日本の方針も揺らいだようだったが、とも
かくこれで、日本が目標通り、6月上旬までに批准手続きを完了できることがほぼ
確実になったと言っていいだろう。
日本は、90年に比べて温室効果ガスを6%削減することが義務付けられている。
しかし、実際には90年に比べて7%増加しているので、現状からすると13%削
減する必要があるわけだ。
さて、日本においてこの温室効果ガスの問題、あるいは京都議定書の件は、どれ
ほどの関心事になっているのだろうか。この問題ほど、人によって関心の持ち方の
違うものもないような気がする。
また、国家によっても関心の持ち方は違う。国によっては国家の存立に関わる死
活問題だと捉えている国々もある。特に太平洋の島々など、地球温暖化に伴う海面
の上昇は、場合によっては国土の水没や消滅の危機さえ招来しかねない。
日本にしても、山国国家であるとしても、人口の大半は限られた平野部に集中し
ているわけで、大袈裟ではなく国家存亡の危機だと理解するべきだと思う。
日本においても温暖化の影響は相当程度に出ているようだ。東京湾などの海底に
熱帯に生息するはずの魚介類が見られるようになっている。今年の冬は、やたらに
暖かかったのは、たまたまのことなのだろうか。近年、冬に積雪が激減しているの
は、温暖化の影響ではなく、そういうめぐり合わせになっているだけなのだろうか。
が、仮に温室効果ガスの影響のみに限らない結果として、温暖化現象が生じてい
るのだとしても、その現れる現実は、かなり危機的なのではないか。
[温暖化については、以下を参照:
http://www.env.go.jp/earth/cop3/ondan/ondan.html ]
数年前だったか、広大なロシアのツンドラ地帯(永久凍土)の氷が溶け出してい
る。それに伴い、封印された形の膨大な二酸化炭素やメタンガスが大気に放出され
始めているという:ミファイル・イ・ブディコ博士(ロシア国立水文学研究所気候
変化研究部長:平成10年当時?)による「気候温暖化のゆくえ」を参照:
http://www.ecology.or.jp/special/9902.html
南極大陸の氷が急速に溶け出しているというニュースも耳に新しい。この3月に
も、「南極の巨大な棚氷(たなごおり、ほうひょう)が「驚異的な」速さで崩壊した」
というニュースがあったばかりだ。崩壊した「棚氷は、厚さ約200メートル、面積
は、約3250平方キロメートル」だという(ちなみに東京都の面積は島部を含めて約
2200平方キロメートルである):
http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20020322305.html
地球温暖化の影響は、専門家の間で様々に論議されている。実際には、影響の度
合いも含め測りかねる部分が相当にあるのも事実のようだ。
ただ、平均気温の急激な変動が進行しつつあることは間違いのない事実であり、
同時にこの気温の急激な変動は、気候の変化に深甚な影響を与えることも十分予想
される。
既に引用したサイトに詳しいが、地球表面の局地的な旱魃、あるいは局地的な大
洪水という形で影響が現れる(現れている)。当然、気温の変化に応じて人間など
生物の生存(健康)にも影響が及ぶし、なんといっても食糧事情への影響が想像を
絶して現れるだろうと覚悟しないといけない。
今、健康という言葉を出したが、微生物の活動も温暖化で活発化することが予想
されるし、夏の暑さは、年配層の方を中心に健康の面で打撃があるだろうと見込ま
れるのだ。
にもかかわらず、現実には、南米という巨大な森林を抱える地域での開発が急激
に進んでいる。日々、相当規模の森林が伐採されたり焼き尽くされたりしているし、
そうでなくても、日本でもそうだが、大気の温暖化で森林火災が増大しているので
ある。
森林火災の原因に煙草や焚火の不始末が必ず挙げられる。つまり、人間の生活の
上の活動が、大気の温暖化と相乗効果を生み出して、環境への負荷を増していると
いうことなのだ。
けれど、アメリカを中心とする先進各国は、温室効果ガスに絡む商売を目論んで
いる(日本はこの面で遅れをとっているようだ)。アメリカが京都議定書から離脱
したのも、経済的理由が第一にあるようだ。ロシアもアメリカの動向に神経を尖ら
せているせいか、批准が遅れている。
「 8月末から南アフリカで始まる「環境・開発サミット」最終日までの議定書発
効には6月6日までの各国の批准が必要で、EU(欧州連合)は今月末に批准する
予定だ。しかし、発効に不可欠なロシアの批准は遅れており、サミットまでの発効
はかなり困難な状況になっている」:
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20020521k0000e040031000c.html
今、日本の国会では有事関連法案が審議されている。どうやら政府は国民の理解
など得られなくとも、今国会での可決を目指しているようだ。これほど重要な法案
なのに、アメリカの要請があるとはいえ、国民をないがしろにしていいものだろう
か。
それより、京都議定書に絡む問題のほうが遥かに緊急性があるように思うのは小
生だけだろうか。むしろ、日本は、単に京都議定書によって義務付けられた目標を
達成するだけではなく、世界のどの国より厳しい目標を自ら定めて実現していくこ
とのほうが、ずっと世界の理解と尊敬を得るにも、素晴らしいことのように思う。
今、21世紀を迎えて、時代のキーワードは改めて環境にある。同時に、われわ
れのライフスタイルを再考する契機でもある。企業のビジネスの上での、あるいは
製品を生みだす上での中心的な概念は、環境への負荷を可能な限り最小限にするこ
とだ。
科学の発達は押し留めることは不可能だろう。だとしたら、自然科学と社会科学
との対話の促進が今以上にあってしかるべきなのではないか。何のための学問であ
り、何のための生活なのかを問い直すこと、それが今の我々の課題なのではないか。
02/05/22 記
2.燃料電池の将来を金谷氏に聞く
昨日(19日)のこと、ラジオ(NHK))で燃料電池の未来についての話を聞
いた。といっても、仕事中に車の中で聞きかじった話なので、要点を纏めて紹介
することさえ、できない。
ただ、幸いなことに話をする方の名前だけは後でメモすることができた。その
方の名は、カナヤさんという。まずは、「金谷」さんか「金屋」に違いないだろ
う。
で、「燃料電池」と「金谷」というキーワードでネット検索してみた。ビンゴ、
である。次のようなサイトをヒットしたのだ:
「ラーメンと燃料電池で描く「未来社会」」
http://be.asahi.com/20021221/W11/0020.html
語り手は、「慶応大学助教授 金谷年展さん(40歳)」とある。この記事は、
昨年の12月らしい。今も、この肩書なのか確認は出来なかった。
そう、番組の中でも触れられていたが、金谷さんは慶応大学助教授という肩書
を持ちつつ、ラーメン店を開業されてもいるのだ。
彼は「「地場の産物を地元で消費する『地産地消』のラーメン店で環境に良い
農林水産業を助け、エネルギーやコストも節約できる」というコンセプトで「金
太郎」という店名のラーメン店を開いておられるという
。
上掲のサイトにあるように下記のようなビジョンを彼は示しておられる:
「熱と水しか排出せず、クリーンで熱効率の高いエネルギーを生む燃料電池こ
そ、循環型社会へのカギ」
こんな信念で、燃料電池の利用をめざす自動車、住宅、電機メーカーやエネル
ギー企業の経営戦略を手がける。同時に、国土審議会専門委員、資源エネルギー
庁の燃料電池実用化戦略研究会委員もつとめる。
詳しくは同サイトを見て欲しい。
昨日のラジオでの話を聞いていて印象的だったことが幾つかある。
例えば、現状の電力発電などだと、送電ロスを含め、無駄が多く、発電されて
も実際に使われるのは、そのうちの39%に止まる。その点、燃料電池だと、電
力を必要なその場所(車や工場や家庭、パソコン)で発生できるだけでなく、電
力を起こした際に生じる熱エネルギーも使うことができるので、発生するエネル
ギーの70から80%ほどを使うことができるという点だ。
それに、副生水素という話も面白かった。これは製鉄所などでの製品を作る工
業化のプロセスで発生する水素のことを言うらしいのだが、これを有効活用すれ
ば相当に有望なエネルギー源になりうるのだという。
金谷氏によれば、今は大気に放出するに任していた副生水素を有効活用するだ
けでも今、走っている数百万台の自動車を賄うに足りるエネルギーを発生させる
ことが可能だというのだ。
最後に印象的だったのは、燃料電池の実用化が自動車ではなく家庭用だという
点だった。
確かに車での燃料電池の実用化が身近になってきたようだが、実際には自動車
の分野での実用化は2010年頃の見通しだという。なんといっても燃料(水素)
スタンドの設置に相当な時間と経費を要するかららしい。
その前に、2005年頃には家庭用の燃料電池の普及が見込まれているという。
2005年! もうすぐではないか。
家庭用のエアコンの室外機程度の大きさの燃料電池装置を設置すればいいわけ
で、大袈裟なインフラの設置も必要ないので、家庭用の用途のほうが早いらしい
のだ。
しかし、金谷氏も述べておられるように、自動車用の燃料スタンドにしても、
燃料電池自動車にしても、政府の政策次第のようだ。国家が協力に燃料電池推進
の政策を取れば、車にしても2010年に相当程度などと言わず、実現と普及が
もっと前倒しされるに違いない。
既に環境政策では先進国の中で最も消極的であるかに見えるアメリカでさえ、
つい先日、燃料電池自動車などに巨額の投資を行うとブッシュ大統領が発表した
ばかりだ。
小生は、アメリカが環境政策で消極的だというのは、見かけだけだと思ってい
る。そうではなく、アメリカは自らの国が先頭を切りたいのだ。自らの国が環境
政策やエネルギー政策において大勢が整い、他の国々が追随できなくなった段階
で、一気に世界のどの国より環境政策に厳しい国家を標榜するに違いないと(勝
手に)踏んでいる。
今はブレーキを踏むことで、他国を油断させているのだと小生は憶測している
のだ。
アメリカが本気になって環境政策に踏み切る前に、日本はお家芸ともいえる得
意の小型技術開発のノウハウを駆使して、世界のトップを切る環境国家、省エネ
ルギー国家、エネルギー循環型社会を実現した国家を現状以上に国をあげて目指
すべきだと思う。
金谷氏によれば、「燃料電池関連の国内市場規模は累計で100兆円」に上る
と試算されるという。ちなみに、「パソコンの今の市場規模が年間2兆円余り」
だというから、その市場規模の大きさが分かろうというもの。
最後に金谷氏が開いたラーメン店のことをもう少し。どうやら店は大繁盛のよ
うである。
「研究開発型ラーメン屋のつもりです。世界中から安い食材を運んでくるやり方
とは違い、地域のいちばんおいしいものを生かした大衆料理の店をつくってみた
かった。それが循環型社会づくりの一環ですし、地域の農林水産業の発展につな
がると考えて、大衆にいちばん近いラーメンを選んだ」という。
小生の田舎は富山なのだが、美味しく新鮮な素材はかなりの部分が金沢や東京
など、資本力のある中央へと持っていかれる。カネのある人が美味しいものを食
べる。素朴な材料で旬のものを素材の持ち味を生かして料理して食べる。
一見すると素晴らしいコンセプトのようだが、どこか歪だ。地元の人間のほと
んどの方には、高嶺の花、縁遠い素材になりがちとは、何処か間違っている。
どう、流通を合理化しても、高いコストを払っていることは間違いない。それ
が間違っているということではなく、それはそれとして、これからは『地産地消』
がもっと見直されていいのではないかということなのだ。それがきっと究極の省
エネルギーにも繋がるだろうし。
そもそも燃料電池とは何かを再度、確認しておこう。ネットでも多数のサイト
で学ぶことが出来るが、例えば:
http://www.joho-kyoto.or.jp/~furoya/cogeneration/denc.html
前にも述べたように燃料電池の将来がバラ色というわけではない。既に燃料電
池のために必要な水素の確保のため、世界が資源確保に動いている。当面は、石
油や天然ガスに依存するしかないのだ。そうした化石燃料から水素を抽出するの
がしばやくは主流になりそうなのだ。これでは、今までと同じではないか。
ただ、将来はバイオマスなど水素の供給元は多様化すると思われる。その一つ
が既に触れた副生水素なのだ。ゴミとして空気中に捨てられていた副生水素の活
用については下記などを参照:
http://www.toshiba.co.jp/product/fc/hydrogen.htm
03/02/20 記