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テレビで初めて元ちとせの歌をまともに聞いた。断片的には幾度も聞いている んだけど、じっくり聴く機会に恵まれなかったのだ。ラジオでさえも、何故か曲 を通しでは聴けない。ニュースと音楽番組を中心に選択しているんだけど。 曲が良くて歌手が良くても、ヒットするとは限らない。曲と歌手がマッチしな いとダメなんだね。テレビではテロップの形で歌詞が表示されていて、その歌詞 もいいし、それを表現する彼女の歌唱力が素晴らしい。 歌詞は以下で読めるし、彼女の秘密に付いても知ることができる: http://home.hetnet.nl/~kariyushi/song_019.htm 彼女は沖縄民謡出身の歌手だが、民謡出身の歌手は実力的には申し分ない。た だ、歌に恵まれるかどうかは別だ。あるいは時代との不思議なめぐり合わせのよ うなもの。 民謡出身の歌手というと、若干古くは、「花街の母」の金田たつえとか、小生 の大好きな香西かおりとか、細川たかし、『はぐれコキリコ』がヒットしている 成世昌平も民謡出身だ。 もっと古くは三橋美智也がいる。彼の歌は素晴らしい。彼は北海道出身で、9 歳で全道民謡コンクールに優勝している。津軽三味線も学んでいて、小生が彼の 歌に惹かれ始めた大学時代、彼が津軽三味線での弾き語りをテレビで見ることが できたことは、恵まれたことだったと思っている。 ヒット曲も多い。「リンゴ村から」「哀愁列車」「古城」「達者でナ」「星屑 の町」…。96年に65歳という若さで亡くなられたが、今でもNHKのラジオでの リクエストが絶えない。 彼は自ら民謡三橋流を興して、その門下から細川たかしや石川さゆりらが出て いる。彼は、「史上初めてレコード総売上げが1億枚を突破」したことでも有名 だ: http://e.goo.ne.jp/music/content/ARTLISD1147250/index_nn.asp 上記サイトの説明によると、「70年代後半には、深夜ラジオをきっかけに"ミ ッチー・ブーム"が起こり、若年層にまでその影響を及ぼす」とある。というこ とは、小生はそのミッチー・ブームの渦中にあったわけだ。そうだったのか。そ の頃、村田英雄に感銘を受け、春日八郎が好きになり、と、中学や高校までは頭 の中では凄い歌手だとは感じても素直には認められなかった歌手達を、ただただ 感動しつつ聴き入り始めたのだった。 なんて個性の強い、実力のある歌手達だったのだろう。 浪曲出身の村田英雄、三波春夫も外せない。村田英雄のヒット曲も数多い。 「人生劇場」「柔道一代」「姿三四郎」「皆の衆」「花と竜」「王将」「無法松 の一生」…。これまたあくの強い個性の持ち主だった。 三波春夫が好きかというと、素直にはいえない。ただ、「お客様は神様です」 というキャッチコピーを打ち出した先見性(?)は買うべきだろう。但し、三波 春夫さんご自身は、コピーと思っておらず、心底、そう思っておられたのだろう けど。彼の歌では、何故か「裏方さん」が好きだ。その理由は分からない。 そうだ、今思うと、その70年代後半になって小生は、やはりそれまで敬遠して いた美空ひばりの世界にも浸れるようになった。南沙織や山口百恵とかに惹かれ つつだけど。 美空ひばりについては語るべき多くのことがあるような気がする。彼女の歌に も、ガキの頃から演歌や歌謡曲の好きだった小生も、どこかバタ臭くて敬遠して いた。が、同じ頃に一気に圧倒され魅了されてしまったのだ。 それでも、彼女の全盛を一緒に生きていたということは、今思うと凄いことな のだと思う。彼女の最後のコンサートは、彼女の歌うことへの執念が感じられ、 また歌うことで聴く人に勇気と感動とを与えるのだという歌手としての執念も感 じて、忘れられないものだ: http://www.asahi.com/edu/lookback/081.html 昭和の大歌手だった美空ひばりさんのヒット曲は、「悲しき口笛」「リンゴ追 分」を初め、枚挙に遑がない。個人的には「乱れ髪」が好きだ。「川の流れに」 も外せない。ラジオを聴いていると、初めて聴く歌にさえ出会う。え?! こん な歌があったの?! と驚くこともある。あまりに偉大な歌手だったのだ。 とにかく最近の若手の歌手は、踊りや背景の綺麗な画像、素敵な衣装、ルック スでやっと保っている人が多い。間違っても生では歌わないだろう(歌わないほ うがいいだろう)。 その点、民謡出身とか演歌系の人は咽などの鍛え方が違うんだね。 さて、元ちとせという歌手が、これからどれほど伸びるのか、誰にも分からな いだろう。なるほど、冒頭ふきんで示したサイトにもあるように、 "100年にひ とりの声" だろうし、実力もあるのだろうけれど、だからといって実力に見合う 成長や活躍が期待できるほど、芸能の世界は甘くない(らしい)。 浮沈は浮世の常だ。まして実力だけでは活躍できない人気商売の世界で伍して いくには、様々な辛苦が待っているに違いない。その果てに、十年先、二十年先、 三十年先にも堂々と実力を示していて欲しいものだ。 「ワダツミの木」を作詞・作曲・編曲された上田現氏の歌詞にあるように、「私 の足が海の底を捉えて砂にふかれたころ 長い髪は枝となって やがて大きな花 をつけ」たなら、それは素晴らしいことに違いないのだから。 02/12/29 |