サンバの季節の始まり!  

                                          
 (04/07/05 up)
 (04/08/06 写真 up)
 (04/08/30 写真追加 up)






 
             この笑顔に会いたくて


 東京は新宿区の牛込で行われたサンバパレード見物に行ってきた。薬王寺商 交会が主催する形で、25年前より、7月第1日曜日に七夕祭りが行われてきた。 数年前から、サンバチームが呼ばれ、市ヶ谷仲之町交差点から市ヶ谷柳町交差 点までの商店街をパレードするようになった。
 実際には、プレスタートが13時過ぎから行われ(今回、小生は見逃した)、 サンバパレードが始まったのは、予定通りの14時半からである。
 小生は、タクシードライバーを生業としているが、生憎、土曜日は仕事だっ た。営業の拘束時間が20時間で、仕事を終えたのは朝の6時半過ぎ。急いで帰 宅したが、長時間、車を運転していると、神経が疲れるのか、それとも昂ぶっ ているのか、睡魔が来ていても、すぐには眠れないことは分かっている。
 なので、通常どおりシャワーを浴び、牛乳やお茶で一服し、ネット巡りをし たり、我がサイトの掲示板に寄せられたメッセージに返事を書いたり、好きな 番組である「所さんの目がテン」を見たりして過ごし、9時前に就寝。
 寝る直前には本を手に持つのだが、大概は一頁も読めない。頭の芯が痺れき っていて、読書する気にはなれない。すぐに目を閉じてしまう。そして眠りの 彼方へ。
 だったら、最初からすぐに寝床に入って本を持てば、どうよ、ということに なるのだが、やはり、経験からして神経の昂ぶりを沈静化させるのに時間が掛 かる、ようやく鎮まった頃には、読書どころではない、というわけである。
 さて、疲れきって寝入ったのだから、グッスリ眠れるかというと、さにあら ず、小生の体の不調もあり、大概は二時間ほどで目が覚めてしまう。まして、 今の暑い時期となると、寝汗を掻きながら起きてしまうのである。今日に関し ては、どうやら一旦、起きた以上は、このまま起きていないと、今度、寝てし まうと、起きるのが午後を少々回ってしまい、パレードのスタートに間に合わ ないという意識が働いているようで、しばらく悶々とした挙げ句、寝不足は重 々承知の上で、起き上がることにした。
 軽食。少々テレビ。少々読書。少々ネット巡り。ようやくスタートの時間が 迫ってきた。この頃になって、やっと持っていくものをチェック。デジカメに メモ用紙にボールペン。午後の一時半過ぎ、腰を上げる。内心、間に合わない かも、なんて思っている。スクーターの止めてある場所まで歩いて数分掛かる ことも懸念材料。
 外へ出る。まさに炎天下である。湿気がそれほど高くないから助かっている が、日差しは真夏そのものである。影が濃い。スクーターに跨ったのが1時40 分。現地には、2時20分には着きたい。
 池上方面から牛込方面までは、日曜日だと、30分ほどという計算をしている のだが、さて、実際に走ってみないと分からない。で、走り出して間もなく、 国道の工事現場での渋滞に嵌ってしまった。案の定という奴か。
 それでも、あとはスムーズにクルージングでき、現地には2時10分過ぎには 着いてしまった。日曜日だからこその芸当だろう。


 
             いよいよスタートだ!


 
             気付いてくれた!


 さて、説明の順番が違うかもしれないが、小生は実は、今日のパレードに参 加するサンバチームのメンバーなのである。但し、数回、練習場に通っただけ で、あとはサボっている。田舎の事情があって一時期練習に参加できなかった ことも事実だが、なかなか一言では説明できない事情もあるのである。
 まあ、小生など、チームからしたら戦力上、数の内に入っているわけではな いが、しかし、八月最後の日曜日に浅草で行われるサンバカーニバルのための 準備作業が相当の作業量のようなので、その手伝いくらいはしたいと思ってい る(のだが)。
 とにかく、いずれにしても、サボり野郎なので、チームの方々には合わせる 顔がない。その意味で、なかなか行きづらい。普段、サボっているのに、パレ ードだけ見物に来るのか、なんだ、パシスタ(ダンサー)たちの踊りが目当て なだけじゃないかと思われても仕方ないわけである。
 実際、その面は大きい。なんといっても、サンバの世界に目を見開かせてく れたのは、パシスタの方の人徳と魅力の御蔭なのだから、少なくとも切っ掛け は、百パーセント、ダンサーの方の導きなのだ。
 昨年は、我がチームのパレードに一つを除いて、全てを見物した。我がチー ムの追っ駆け状態に小生があったと言っていいだろう。都内の方々をスクータ ーで走り回り、ギャラリーして回ったのである。


 
             ダンサーは四方に愛想を振り撒く


 一番、最初にサンバパレードを見てショックだったのは、商店街をあの羽根 と少々の衣装だけで踊りまわるパシスタ(ダンサー)の恰好だった。ま、この 点は、昨年、散々、書いたので、ここでは省略する。
 ついで、実際に、チームの練習場に行って、バテリア(打楽器隊)などの楽 器の練習に参加(というか、目をぱちくりしていただけだが)してみて、まさ にバテリアこそが、サンバチームのダイナモというかエネルギー源なのだとい うことを実感し、さらに、演奏される方たちの妙技も間近で堪能することがで きた。
 とにかく圧倒されることの連続だった。この辺のことも、何度か書いたので、 やはり省略させてもらう。
   もっと、深刻な意味で自分にはショックだったのは、特にパシスタ(ダンサ ー)たちの人間性だった。最初は、その凄さや心意気など知らないから、気安 く声をかけ、あるいは逆に声をかけてくれ、少々は語り合う機会もあったのだ が、段々、勘の鈍い小生でも分かってきたことは、彼女等の気風とか人間的な 素晴らしさだった。


 
 ポルタ・バンデイラ & メストレ・サラ 豪華な衣装と旗を持ってチームをアピールする


 
           子供やお母さんたちも自由に参加できる


 それぞれに家庭があり、家族があり、仕事があり、子どもがあり、当然、保 育所や小学校などとの関わりもある。地域社会との交流も当然、ある。
 彼女等の日常をほんの少しだけ、垣間見て分かったことは、サンバ(のダン ス)をしっかり楽しむが、その分、そうした地域での交流も怠ることなくやっ ているという事実である。何かの集まりの幹事役を敢えて引き受ける。自分自 身のプライベートでも忙しいし、子供の急の発熱など、あれこれ駆け回ったり 頭を痛める日常があるのに、その上、何かしら責任ある役目を引き受ける…、 そういう人たちなのである。
 小生、段々、自分に引け目を感じてきた。翻って自分を見てみると、何事も 引き受けないどころか、逃げ回って生きてきた人間である。とてもじゃないが、 対等に口を利けるはずもないのである。
 人間性が違う。人間の出来が違うのである。彼女等が小生に口を利いてくれ たのは、苦労してきただけに優しさに人情味があるからなのである。それを最 初のうちは、小生、勘違いしていた、気さくな人たちなのだ、くらいに軽く思 っていたのだった。
 あれこれ肉体的にも精神的にも抱えながらも、サンバを、ダンスを楽器を音 楽をやりたいという熱意。そのための雑事を敢えて引き受ける心意気。気風と いう古臭い言葉を、素直に使いたくなる。
 同時に、やりたいことをやる。そのためには苦労も手間も責任を負うことも 厭わない。努力する。周囲の人々(子供や特に夫の説得、家庭のことをもっと 顧みろよ、という声など。あるいは、そもそもサンバというジャンルへの周囲 の人々の偏見や嫉妬)への理解を求める努力。
 ここまで来ると、小生は、恥ずかしながら、同じチームのメンバーだとは到 底、言えない。
 鈍感な小生が思い浮かぶ苦労を列挙するだけでも、眩暈が起きそうである。 それでも、やりたいことをやる彼女達の情熱と執念。
 サンバというストリートでこそ輝く、その世界を探究すれば奥が際限なく深 いが、同時に、ストリートで、つまり大概は商店街で気軽に見物できる、その 意味で入りやすい(かのような)世界。この世界について語るべきことは、小 生が垣間見た乏しい経験の中だけでも、豊か過ぎて、うっかり気軽には踏み込 めない。
 そうした渦中にあるメンバーを見ていると、改めて我が身を振り返ってみざ るをえない。では、一体、自分は何物なのか、と問われてくるのだ。
 そこで、昨年、サンバがストリートでの輝きを追い求める芸術なのだとした ら、自分は、文章という地味かもしれないが、書くという作業での可能性を追 い求める、そのことに専心すべきだと、殊勝にも思ったわけである。
 さて、肝腎のパレードのことを書いていない。とにかくパレードのスタート に間に合った。メンバーがスタート地点に揃っている。今となっては、小生が ファンになっていると言うしかない、敬愛するパシスタ(ダンサー)の方々も、 今や遅しとスタートを待っている。
(小生、弓矢の弦を目一杯張られたような、足踏みしつつスタートを待つ、緊 張と期待と情熱の発散直前の、嵐の前の静けさのような瞬間が好きである)
 その彼女等に挨拶するのは、ただでさえ気の小さい小生のこと、気後れする。 でも、彼女等の頑張りに励ましをもらいたいという一心で、恥をも顧みず、声 を掛けた。
 こんなサボり野郎の小生に、彼女等はちゃんと笑みを返してくれた!


 
 
             この笑顔に会いたくて…


 
 
             この笑顔に会いたくて…


 それこそ、肝腎のバテリア(打楽器隊)や、チームの旗を持って踊られる方 のこと、多くのアマニャン(子供の踊り手)たち、その子供等を見守りつつ指 導するお母さんたち、また、踊りや楽器(の演奏をする方たち)そのものにつ いても触れたいが、これは追々、パレードを追っ駆けする中で触れる機会が来 るものと思う。


 
 
             バテリアの勇姿!


 それにしても、パシスタ(ダンサー)の方たちの踊りは、昨年は、その格好 に呆気に取られて、その奥の深さの一端にも触れられなかったが、今年はもう 少し、踊りの違いも見てみたいと思っている。
 踊り手の方の体型も身長も習熟度も違うので、踊りはそれこそ千差万別であ り多彩である。それこそ、衣装以上に多彩かもしれない。
 優雅な踊り、軽快なステップワークが素晴らしい踊り手、激しい情熱を感じ させる踊り方、観客を興奮と歓喜の輪に巻き込もうとする意欲に満ち溢れた踊 り、何処か自己陶酔的な踊り、まだ慣れないのか何処か恥ずかしげで視線も泳 ぎ気味の踊り方、本場仕込みの本格的な踊り…。
 もうひたすらファンとなっている小生は、今年も勝手ながらエネルギーをも らうつもりでいるのである。
 さあ、今年もサンバの季節が始まったぞ!

 
04/07/05 記