富山といえば…チンドン屋篇  

                                            (03/09/26 up)






 知るひとぞ知るなのだろうが、富山といえばチンドン屋である。毎年、春四月 第一週の週末、金土日と富山の城址公園で全日本チンドンコンクールが開催される。
 優勝チームがほとんど富山県外なのは、ちと寂しいが、桜の満開の時期、富山 市内の中心部である城址公園でチンドン屋さんのコンクールを見られるのは素晴 らしいことだと思う。近年は20万人の観光客を集める。
 9月の初頭には越中八尾で「風の盆」が、やはり相当程度の観光客を集める。 「風の盆」が静だとしたら、チンドンコンクールは、まさに動の大会ということ になろうか。
 春四月、城址公園で桜を愛でるも良し、近くの松川沿いの桜並木を歩くも良し である。松川は一頃は、語るのも恥ずかしいほど汚れていたが、それが今では嘘 のように綺麗に改修されて、デートコース、あるいはビジネス街に近いこともあ り、昼休みのちょっとした散歩コースにもなっている。
 桜が満開の頃には、富山湾では白えびやホタルイカも最盛期を迎える。観て良 し、食べて良し、住んで良しの富山なのだ。
 松川は富山市内の中心部にある。ネットで松川を検索したら、「遊覧船乗り場」 があり、ベテランの船頭さんが漕ぐ小さな笹舟で川下りを楽しめるなどと印した 旅日記 が見つかった:
 そう、松川は神通川の支流だったのであり、富山城のお堀でもあったのだ。こ のサイトの中で富山が東洋のベニスと呼ばれることもあると書いてあるが、富山 がそう呼ばれることあると知る人は少ないのかもしれない。
 実を言うと、富山は水の都として売り出し中なのである。
 文中にあるように、「県庁、県民会館、市役所も神通川を埋め立てた上に建っ ている」のだ。
「松川を美しくする会」という個人サイトもある。このサイトの中で、「2001幽玄ちんどん夜桜流し」の写真も見れる。

 では、何故、富山でチンドンコンクールが開かれるようになったのか。その事 情は、いろいろなサイトで説明されている:
「春の風物詩、全日本チンドンコンクールが今年もやってくる」
「親子で学ぼう富山 チンドンコンクール」

 チンドンコンクールは今年の四月で49回目を迎えたのだが、その始まりは、 昭和30年に遡る。

「第二次世界大戦が終わる直前の1945年(昭和20年)、富山市内は大空襲 で大きな被害を受けました。当時の人たちは、焼け跡になった街に活気を取り戻 せるような新しい行事はないかと考えました」
 そこで、
「富山市役所や富山商工会議所の人たちが桜の時期に合わせ、全国からチンドン 屋さんを呼ぶことを思いつきました」
 もっと詳しくは、「戦災から立ち直り富山市街地もほぼ復興しつつあった昭和 30年、当時富山市の職員だった故高澤滋人(しげと)さんが、富山の活気ある 発展をめざして「チンドンコンクール」を発案した」とのことである。
 チンドン屋さんは、「コマーシャル効果は高く、チンドン屋はプロの職業とし て成り立っていた」が、「マスメディアの発達とともに広告・宣伝の主役はテレ ビ・ラジオ・新聞などに移り変わり、チンドン屋は宣伝業としての「職業」とい う位置づけから「芸」というパフォーマンス的要素が強くなった」
 そして、「コンクールが始まった当初、 60チームだった出場数も平成元年に は13チームまでに減ったという」のである。

 平成元年。そう、バブルの絶頂期の頃だ。実業が一番、馬鹿にされていた時代 だった。楽して儲けることこそが一番の時代だった。金融が狂気の様相を呈して いた悪夢の時代だった。額に汗して働くことは、愚の骨頂と見なされた時代でも あった。
 しかし、バブルが弾け、一部の人はバブルの夢を追いかけている中、一方では 足元を見詰めなおす人も出始めてきた。何が大切かが問われ直し、手に職を技を 持つことの大切さが実感されてきたのだ。
 東京でもストリートでのアーティストが活躍の場を提供され始めている。そし てチンドン屋も、まさにストリートのアーティストなのだ。しかも、プロの。
「落語でもチンドンでも、歴史のある笑いや芸能は「芸」という枠を超え「文化」 となって人々の生活や心を豊かにする。心の豊かさについて議論される今日、 「つらいときでも楽しく笑っていこう」というチンドンの精神は、高く再評価さ れる時代になってきているのかもしれない」と上掲のサイトにあるが、全く同感 だ。

 東京でも、時折、町中でチンドン屋さんの営業に出くわすことがある。
 ある時、タクシーで営業していて、その場面に遭遇した。小生が、「チンドン 屋さんですね」と親しみを込めて語ろうとしたら、お客さんが、「チンドン屋と いうのは見下した表現になるんじゃないか」などと語っていた。
 無論、富山贔屓の小生は、急いで、そんなことはないですよ。富山ではチンド ン屋さんのコンクールが毎年あるくらいで、みんなプライドを持ってやっている んですよ、と話しておいたが、一般の間では、チンドン屋というのは、賎業的な 見方をされているのかと、ちょっと寂しくなったものだった。
 そう、チンドン屋に限らず、ストリートパフォーマーって凄い。
 そうでしょ、皆さん。



  03/09/22 00:20