無精庵 芭蕉に学ぶ(付:蛇足)

(03/07/07 up)

(04/05/12 追記)







 月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。畝(うね)の上に生
 涯を浮かべ、馬の筒をとらへてほとをむかふる物は、日々旅にして旅
 を栖とす。古人も多く旅に死せるあり。予もいづれの年よりか、変態
 の風にさそはれて、漂白の思ひやまず…



  震え毛や なまず飛び込む 池のほと

  若草や たわむれむれに ゆめのあと

  寝乱れの 遣り残してや 一つどう?

  今朝の由紀 根深々となん 仕置きかな

  静香さんや いやに染み入る 笑みの声

  あら由美や 床によこたふ 尼の川

  秋深き 隣は何でも する人ぞ

  いろ道や ゆくことなしに 秋の暮

  蛸壺や はかなき夢も 運の尽き

  むざんやな あぎとの中は ぎりぎりで

  先方や 耳にせいしが 飛ぶのかな

  蛤の ふたみにわける 筒先ぞ



出典は:

 月日(つきひ)は百代(はくだい)の過客(かかく)にして、行(ゆき)かふ
 年も又旅人也。舟の上に生涯(しょうがい)をうかべ、馬の口をとらへて
 老いをむかふる物は、日々旅にして旅を栖(すみか)とす。古人も多く旅
 に死せるあり。予もいづれの年よりか、片雲(へんうん)の風にさそはれ
 て、漂白の思ひやまず…


  古池や 蛙飛び込む 水の音

  夏草や兵どもが夢の跡

  五月雨の降のこしてや光堂

  今朝の雪根深を薗の枝折哉

  閑かさや岩にしみ入る蝉の声

  荒海や佐渡によこたふ天の河

  秋深き隣は何をする人ぞ

  この道や行く人なしに秋の暮

  蛸壺やはかなき夢を夏の月

  むざんやな甲の下のきりぎりす

  象潟や雨に西施がねぶの花

  蛤のふたみにわかれ行く秋ぞ



03/01/30 記





以下は蛇足です。michioさんに遊んで頂きました。(04/05/12 up)



「古池や 蛙飛び込む 水の音」   芭蕉
(芭蕉さん、御免なさい。以下は、見ないで下さい)


 震え毛や なまず飛び込む 池のほと      弥一
 古い毛や 生唾飲み込む  池の淵        michio
 古い毛や 固唾飲み込む  池の淵       弥一
 古い手や 片隅逃げ込む 池の鯉        michio
 古い手や かわす逃げ込む 池の鯉       弥一
 古い手や 蛙(かわず)と煮込む 池の鯉    弥一
 古い手や 買わず逃げ込む 射手の声      michio
 古い手や 買わす追い込む 行けの声      弥一
 震え手や 買わず老い込む 湯気の恋      michio
 震え毛や 撓む(たわむ)のけぞる 行けよとぞ  弥一
 奮い気や たわわの毛そる 見ずの声      michio
 降る雪や 川に溶け込む 湯気のほと      弥一
 降る息や 皮に溶け込む 湯下の酒       michio 
 狂うミケや噛まず飲み込む池の鯉        弥一


 さらに、「古池や」については、「古い塀や」「古い兵や」など展開するの もいいでしょう。
 また、「蛙飛び込む」については、「生酒(なまさけ)飲み込み」「生鮭飲み込む」「膾(なます)飲み込む」「舐めず飲み込む」等々と展開してみると楽しいかも。
 あるいは、「水の音」も、「見ずの夫」「一気の音」「一揆の音」「息の音」などと可能性を探るのも楽しそうです。
 michioさん、遊んでくれてありがとう。芭蕉さん、蛮行を見逃してくれてありがとう。芭蕉(罵倒)の声の聞えないうちに、退散です。


04/05/12 記