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[ 本作は、元々は弥次郎と北八との文字通りの「やじきた問答」を蜿蜒と書き綴るつもりだったが、どういうわけか、途中で二人が勝手に喧嘩を始めたものだから、収拾がつかなくなったもの。どうしたものやら…。いつになったら終わるものやら…。 (03/04/06up) (04/05/10 追加) ]
やじきた問答(1)
弥次郎(以下、「やじ」と略する)と北八(以下、「きた」と略する)との、
或る日の問答です:やじ: きたさんよ、あれが見えるかい? きた: あれって? どれだい。 やじ: あれだよ、あれ。 きた: あれっていわれてもな。あれにもいろいろあるからな。 やじ: じれってぇな。あれだよ、あの黒っぽい奴。 きた: あのアンダーヘアかい? やじ: アンダーヘアって、なんだい。編んだヘアーのことかい。 きた: いやだね、あのもじゃもじゃしたものかいって云ってんだよ。 やじ: 回りくどいね、どうも。初めからそう云やいいじゃねぇか。 きた: で、そのあれがどうかしたのかい。 やじ: あれはなんだろうね? きた: あれは…葡萄だね。 やじ: こんなところに葡萄が成ってるんかい? きた: そりゃ、出物腫れ物、ところ嫌わずさ。どこに実ったって奴等の勝手さ。 やじ: 葡萄をデキモノみたいに云うのは、ちと拙いんじゃねえか? きた: まあ、いいじゃねえか。固いこと、云いっこなしにしようじゃねえか。 で、その葡萄がどうかしたのか。 やじ: あの葡萄はなんてぇ葡萄かね。 きた: なんてぇ葡萄かねったって、葡萄は葡萄だろ? 他にどう云やいいだい。 武道かい、それとも、舞踏とかって洒落ればいいのかい。 やじ: 来たね、来たね。 きた: 汚ねぇ、汚ねぇって失礼だね、全く。 やじ: 何が失礼なんだい。 違うよ、来たね、来たねっていっただけじゃねぇか、え? きた: 何が汚ねぇだい。 俺っちが北だからって、汚ねぇ、汚ねぇっていうこたぁねえだろ。 やじ: だから、お前さんが得意の洒落を飛ばしたろ。 だから、来たねって云っただけじゃねえか。 きた(指差しで北の方向を示しながら): 一体、北って、どっちのことか分かってるのかい? あっちじゃねぇか。 やじ(きたの指先を見ながら): やっぱぁ、汚ねぇや。お前さん、風呂、入ってないね。 きた: なんだか、話が見えなくなっちまったよ。 やじ: いやね、あの葡萄の種類を聞いてんだよ、あたしゃ。 きた: なんだい、それなら最初からそう、云えばいいんじゃないか、もう。 あれは…、どうやら巨峰だね。 やじ: えっ? 巨根?! あちきのことかい? きた: やだね、全く。ちょぼちょぼのくせしてさ。 耳の穴、かっ穿ってよく聞きな。巨峰だよ、巨峰! やじ: だから、巨砲だろ、やっぱりおいらのことじゃねぇか。 きた: もう、どこまで馬鹿なんだろね、おまえさんは。 葡萄に巨峰ってあるじゃねえか。 やじ: ああ、なんだ。葡萄の種類を云ってたのか。 きた: 云ってたのかって、お前さんがそれを聞いたんじゃねぇか。 しっかりしろよ。 やじ: おいら眼鏡を忘れてきたもんだから、ちと離れるとよく見えないンだ。 そうか、巨峰か。おいら、巨峰にゃ、目がねぇんだ。 きた: 来たね、来たね。 やじ: 今度はお前さんが、あっしに汚ねぇってくるのかい? きた: 何、云ってんだい。眼鏡と目がねぇを掛けたんだろって、云ってんだよ。 やじ: そいつは本人も気が付かなかった。 無意識に駄洒落を飛ばすなんざ、もう、天才だね。 きた: ただの馬鹿ってこともありえるよ。気をつけな。 やじ: それにしても、なんだって、こんなところに巨峰が成ってるんだろうね。 不思議だね。ここは葡萄園ってわけじゃなさそうだし。 きた: ちょっと待てよ。あれは…、巨峰じゃないよ。 よくみたら葡萄じゃないもの。 やじ: え、じゃ、虚報だってことかい。 きた: おっ! 来たね、来たね。 やじ: そいつぁ、やめておこうぜ。 03/03/16 記 やじきた問答(2)
きた: 来たねって云って、何が悪いんでぇ。おめぇさんが、下手な駄洒落を飛ばしたから、ちと、 反応してやっただけじゃねえか。 やじ: だからって、わざわざ汚ねぇって、云うこたねぇじゃねぇか。 きた: だからよ、同じこと繰り返すなっての。 やじ: 来たから来たって云って、文句あるかい! きた: なんだと! (きた、切れて、やじに殴りつける。以下、どちらの発言か聞き取り不能) この野郎! なんてマネ、シャガール、思いシーレ、ムンクあるか、ほらミ ロ、ミレーってんだ。おいマティス、マセッティ云ってるんだ。糞! ゴッホ、 ゴッホ。このクールベ野郎。何を! 俺の顔が鶴瓶に似てるからって、クール ベたぁなんだ! ジョット位、名前をモジリアニしたからって、何だい。おめ ぇは性格がクレーんだよ。クラインで悪かったな。そっちこそ誰のゴヤ、分か らんじゃねえか。あんた、ダリってか。ルソー、ムーア付く野郎だ。写楽せえ。 ホントにおめえはタンギーな奴だ。こうなりゃ今夜はブレイクうだ。おお、前 にデルボー。何だと、マイヨールだと! おめぇは芋銭だよ。もう、キリコが ねえな。おめえの糞は、お、臭い! おめえ、俺をシャメールなよ。それはモ ロー、ロダンだ。ホントにお前はゴーギャンな奴だ。おめえこそ、ルドンな奴 だ。くそ、アングルが悪い、コローびそうダ、ヴィンチだ。お、ユトリロがな くなって来たね。だから、汚ねぇはやめておこうぜ。 03/03/19 記 やじきた問答(3)(相変わらず喧嘩が続いております。発言がどちらのものか識別不能です) 汚ねぇが、イラクお気に入りじゃねえか。何を! 明日の予定は何だ? カイギ? リストは出来てんのか? え? 物事はスイスいはいかないもんだって? 何を 口をモンゴルやってるんだ。中田は今、ペルーシャだったっけ? そんなこと俺 がシリア! 痛い! 叩いたな、俺にチョウセン、しようってか。イタ! リア から叩くなよ。頭ならいいのか。そんな…、頭のケニア、苦労してんだ。冗談も タイがいにしろよ。ああ、お前はおそロシア。お前にはガーナわん。悪くトルコ たねえだろ。モウ、コうなりゃ、お前にインドー渡してやる。糞っ、ドイツもこ いつもキューバしのぎしやがっテ。ヘ、ランず口、利くない。あーあ、いい年し てナイジェリア。前から泣き癖はギニアしてたんだ。おーお、チリに火がついた な。ボリボリ…。ビアでも飲みに行くか。上手い店があるんだ。ビールなんて、 何処だって味はドーイツだろ。ミャンマーされたと思って、ついてシナ。ニッポ ンくらい、いいだろ。義理ってものがあるじゃないか。ギリ? シャないな。奢 ってやるんだから、ありがとうくらい云えねえのか。じゃ、フランス語でありが とうって、どういうのか知ってるか? メキシーコ云うんだぜ。それを言うなら メルシーだろが。ついでに何かクウェート云わんのか。イランこと言うナイ。ゼ ニなら、あるゼ。ン? チーンとかみやがったな。そんなカンコク悪いことスー ダン。汚ねえから、こっちにヨルダン! あ、雨だ! あーあ、今ごろ、アメ… リカい出来ん。嘘だ、雨などフランス。冗談もタイワンにしろ。ホンコンだって。 [幾つか不穏当な国名の呼称がありますことを予めお断わりいたします。また、 既に国名でなくなった呼称もあります。また、作者の無知で国名と地名を間違え ている恐れがあります。また、意味合いは違えてはいるとしても同一国名を二回 使っているっ場合があります。その他にも適当とは思われない国名表示(タイワ ン)などもあります。いずれも、弥次さんと北さんの売り言葉に買い言葉の他愛 のない喧嘩のせいと思し召し、お許しいただければと思います。] 03/03/23 記 やじきた問答(4)(前回、ホンコンで終わったせいで、あの新型肺炎が流行ったという噂もある ので(これ、ホンコンの話ですって、嘘だよ!)、中国に従って、今回は目出度 くも、スーダン、スーダンしく…、じゃない、清々しく川の名前で喧嘩 が続くそうで。 例によって発言はどちらのものか判別不可能なのであります。 さて幾つの川の名前が隠れていますことやら。 但し、教養のないもの同士の口喧嘩ですので、不穏当な発言も混じりますし、 川と湖と池の区別もできないことがありますが、そこはご勘弁為されてくんな まし。) お前の女房は神通が始まってえじゃないか。え、あの太った雄物の女房がよ。 ああ、俺の女房は四万十(肥満と)よ。体型が関取だよ。ジンヅウで暇とよ、 淀卵光の食いすぎよ。でも、この話はお仕舞いとよ。なに恥ずかしがって黒部 な顔を阿寒湖にしてるんだ。俺の女房を馬鹿にすると高津くぞ。大体、おめえ の女房はホントに遠賀なのか、ええ? あんな女を斐伊、斐伊、言わせてたの か、加古悪いったら、荒しない。那珂(中)せるぜ。紀の毒だね。そっちこそ、 お前の古女房は熊野ような顔じゃねえか。鈴鹿、鏑(かぶら)でもやろうかい。 川内の小矢部の顔を見てみたいよ。まるで物部姫じぇねえか。その女房が寝取 られて、これがホントの鬼の入間の洗濯ってか。木曽天海な話だね、ホンマ。 なんだと、吉野言ったな。あれだって昔は吉川信濃似だったんだぞ。帷子なぎ さちゃんにも似てたしな。松たか子にも似てたしな。野川由美子にも似てたよ うな。俺が胃炎を、じゃない離縁を迫ったら、松とくれって泣いたんだ。庄が ないから、鬼怒鬼怒の別れはやめたんじゃねえか。そしたら、ほん利根って泣 きやがったよ。あいつのあそこは、昔は浅瀬で締まっとって、中津川へ出した ら気持ちよかったのに、今じゃ広瀬で、もう都幾(土器)めかないなあ…。お っと、そっちだって顔は虻と熊で最上(狼)みたいじゃねえか。迫られて無理 矢理結婚して、ベソ掻いて、大井、大井と泣いたってえじゃないか。釜無野郎 め。あんな女と姫事か。あんな女と安部っくか、可哀想に。常願寺じゃないね、 まったく。ホントに久慈運が悪いね。早いとこ別れな! 何を! 木曽! 矢 部えこと言うなって。もう、石狩心頭だ。頭が桐生そうだ。おお、怒ると一層、 赤くて北ねえ顔になるねえ。鮭でも飲んだか? 井田! 多々良いたな。大分 (大井た)! 多摩らんぞ。太田、太田すんじゃねえよ。あ、く犀! 長長門 矢場いもん、出しやがったな。フン! 碓氷のを出しただけよ。由良由良漂っ て、井田ろうが。ざまあ、宮がれ! 宇陀宇陀すんな。もう、金剛は小田まり! 03/04/06 記 やじきた問答(5)(04/05/10 up) (さてさて、弥次郎と北八との問答に始まった口喧嘩、一年経った今も、相変 わらず続いているそうな。ヒートアップしてしまって、止まるところを知らな いようで。例によって、テープを巻き戻して聞きなおして見ても、どれが誰の 発言やら、さっぱり見当が付かない次第。見たところ、花の名前を織り込もう と、無理な算段に神経を費やしている様子。止せばいいのにと思うけれど、興 奮の極にある者には聞く耳がないもののようで。) お前の顔、葵じゃないか、もう、降参か。てやんでえ、てめえが辛夷(こぶ し)を振り上げるからじゃねえ。そういうてめえこそ、青っ花、垂らしやがっ て。そんなことくらいで、駒草(こまくさ)な顔、すんじゃねえよ。汚ねえな、 そっちこそ、手鞠花(てまりばな)しやがるじゃねえか。おーおー、意地張っ て、今に赤紫蘇を掻くなよ。アキレア顔しやがって。おめえの顔が薊(あざみ) なったって、誰も何とも思やしねえよ。橙(だいだい)、頑丈な顔なんだから 、明日葉(あしたば)直るってことよ。何を、おめえこそ、油菊(あぶらぎく) った顔しやがって、甘茶(あまちゃ)ものばっかり喰ってるからだ、油桐(あ ぶらぎり)しやがれってんだ。おおお、おめえ、泡吹(あわぶき)してんじゃ ねえか、もう、菜種切れか。南天(なんてん)言いやがった。オレが蓼(たで) 切れなわけ、ねえだろうが。おらあ、これでも、世間じゃ、種漬け花で通って んだ。けっ、あちこちの女郎花(おみなえし)に梯姑(でいこ)付けやがって。 しかたねえさ、みんな、オレを茉莉花(まつりか)よ。だから、待宵草(まつ よいぐさ)や松虫草(まつむしそう)じゃ、可哀想だから馬酔木(あしび)て やってんじゃねえか。木通(あけび)た奴だ、お前は。そういや、おめえ、継 粉菜(ままこな)ってな。満作(まんさく)尽きたってな。おめえ、何処でそ れを。蝋梅(ろうばい)すんじゃねえ。なんなら、オレが、継子の尻拭いして やろうじゃねえか。烏薬(うやく)むやにしてやろうか。大丈夫、沈丁花(じ んちょうげ)やってやるからよ。ところで、お前は、う棕櫚(しゅろ)専門だ ってな。菊(きく)! 胡瓜(きゅうり)、桔梗(ききょう)なこと、言うん じゃねえ。どうだ、羊蹄(ぎしぎし)して、いいか? あの子の雛菊(ひなぎ く)が、菖蒲(あやめ)て、今じゃ木槿(むくげ)ってえじゃねえか。もう、 よそう、桐(きり)がねえ。そうか、この話は、金糸梅(きんしばい)。 04/05/03 記 |