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山の背比べ
昔々の神代の時代、石巻山と本宮山が、自分の方が背が高いと、いつも言い争いをくり返していました。この日も、朝早くから、「やい石巻山、お前が何と言おうと俺の方が背が高いぞ。どうだん、みんなもそう思うだらー。」と、本宮山が、回りの山々に呼びかけました。
すると石巻山も負けてはいません。大声を張り上げ、「何をこくだ本宮山。お前なんかに負けるもんか。俺の方が高いにきまっとらー。」
と言い返し、両方の山の神様が石をぶつけ合うほどの喧嘩となってしまいました。
そこで、辺りの山々の神様たちが集まり、このような言い争いを続けさせておくのはよくないことだから、どっちが背が高いか、背比べをしてやろうということになり、石巻山の頂上と本宮山の頂上に樋(とい)を架け、水を流したところ、水は勢いよく石巻山側に流れ落ち、石巻山の負けとなりました。
この時の、水の流れによって石巻山の頂上の土砂が流れ落ち、現在のように巨岩が露出した山となったと言われています。
それ以来、石巻山を少しでも高い山にしてやりたいと願う人たちが、山に登る時に、小石を一つ持っては登り、山頂に置いてくるようになったそうです。
「今日は、石をもって登ったお陰で、山の神さんが助けてくれたのか、こんきく(疲れ)なかったやあ」
と言う人たちが増え、いつしか、石巻山に登る時は、小石を一つ持って登ると楽に登れると言われるようになりました。
昔、頭痛がひどく困りはてた人が、石巻山頂の石を一つ借り、「直ったらお返しします。」と願をかけたところ、これが叶い、それ以来、頭痛は治まりました。その人は、これは山の神様のご利益のお陰と感謝し、山頂に石をお返しした、と言い伝えられています。
近年は、山上石巻神社にお参りする時、麓から小石を持って登り、お灯篭にあげたり、鳥居に投げあげてお参りすると、神さまが喜ばれ、大変ご利益があると言われています。特に子供たちがお参りするとご利益が大きく、学校の成績がよくなり、よい子になるなどと言われています。
また、石巻山の北一キロメートルほどの所に、本宮山との喧嘩で石を投げ合ったとき、飛んできた石(礫石・つぶていし)が残っているなどと言われています。
【出典:三遠南信地域の民話】
同じように本宮山についてもそれにまつわる伝説があるので紹介します。本宮山へ登るときは、石を持って行くと楽に登れ、願い事もかなえてもらえる。ところが、もし、山の石を下へ転がしでもしようものなら、山の神様が怒って怪我をさせる、というものです。
