2004日本シリーズ戦評


2004日本シリーズ第1戦・10月16日(土)

対中日ドラゴンズ(ナゴヤドーム)
D 0 - 2 L

西武ライオンズは今年から始まったパ・リーグのプレーオフ戦で日本ハムとダイエーを制し、2年ぶりの日本シリーズ出場。日本シリーズの相手は落合監督率いる中日ドラゴンズ。史上3度目の新人監督同士の対決となった。ちなみに過去2回の新人監督同士の対決はというと、1986年の西武森監督対広島阿南監督で西武の日本一、2002年の西武伊原監督対読売原監督で読売の日本一となっている。今回の西武伊東監督v.s.中日落合監督の対決を含め、全て西武ライオンズがらみなのが面白い。
さて、第1戦の先発は西武が石井貴、中日が川上憲伸。ライオンズはあえて松坂を外し、プレーオフ胴上げ投手の石井を投入してきた。レギュラーシーズンでは故障続きでわずか1勝。しかし、今日の石井は投げる金剛力士像(by文化放送ライオンズナイター)復活と言わさんばかりの素晴らしい立ち上がりだった。4回途中までパーフェクトピッチング。途中、5回裏には自らゴロの処理を誤り先頭打者の出塁を許すなどヒヤリとさせる場面もあったが、その後は安定したピッチングで7回を投げきり、無失点で次の小野寺につないだ。これほど安定した石井を見るのは久々である。
一方の打撃はまず2回表に和田が先頭打者スリーベース(これが和田の日本シリーズ初安打)でチャンスを作るものの後続が断たれて無得点、しかし和田、これで諦めず4回表には今度はスタンドまで運び先制点を奪った。そして5回表には中日のレフト英智がまさかのフライ落球。これがタイムリーエラーとなり幸運な2点目が入った。
さて、この試合の(ある意味)最大のヤマ場は5回裏。1死で谷繁がキャッチャーゴロ。ここで捕手の野田がすぐさまボールをつかみ谷繁にタッチ。しかし谷繁にこれをかわされたたため、2塁→1塁と転送してダブルプレー、のはずだった。が、なぜか主審は谷繁にタッチしたと勘違いして谷繁に対してアウトのミスジャッジ。これだと2塁ではランナーにタッチしないとアウトにならないはずだが、2塁塁審は主審のアウトの判定を見過ごしており、ランナーに対してアウトの判定。つまり2重の審判ミスが発生した(結果的に間違ってるのは主審だけだが)。まずは2塁塁審のこの判定をめぐり、まずは落合監督が抗議してこれが受け入れられ、これだと2死2塁からスタートする、はずだった。が、今度はこの判定に伊東監督が抗議、そもそも谷繁にタッチしていないのだからフォースアウトによるダブルプレー成立を主張、これで試合が長時間にわたって中断。結局、伊東監督の抗議は受け入れられず2死2塁からのスタートとなったが、再開前に審判が誤審を詫びるという異例の展開となった。この後、(罪をなすりつけられた)2塁塁審は8回表では2塁荒木にぶつかった走者カブレラに対しすぐに走塁妨害を取るなど、機敏なジャッジを見せたのに対し(ただし荒木がカブレラを塁間でタッチアウトにしようと無理に接近したのが直接的な原因。あんなデカい奴にぶつかっていったら逆に倒されるに決まっている)、主審は9回裏の野田の打席でファールの判定が一瞬遅れるなど、グダグダな判定が続いた。
この5回裏の長い中断の後、大きく試合が動くかと思われたが、その予想とは裏腹に試合は2−0のまま淡々と進み、最後は豊田が締めくくりゲームセット。2002年の日本シリーズでは1勝すら挙げられなかったライオンズにとって、1998年10月23日以来6年ぶりの日本シリーズ勝利である。ちなみにこの時の勝利投手も石井貴。意外とシリーズ男なのかも知れない。
さて、とりあえず勝ったから良いものの、この試合で審判が最大の敵であることがわかった。明日はもう少しまともな判定のできる審判が主審を務めて欲しいと思う。

2004日本シリーズ第2戦・10月17日(日)

対中日ドラゴンズ(ナゴヤドーム)
D 11 - 6 L

西武のエース松坂大輔対中日のベテラン山本昌広で始まった第2戦。松坂、山本はともに日本シリーズ出場経験はあるものの未だ勝ち星なしという不運対決。山本昌はちなみに1988年以来何と16年ぶりの西武打線との対決となる。筆者は当時まだ小学生であり、その頃の相手チーム(中日)の記憶などほとんどないが、この時の山本昌は4失点のようである。
さて試合は初回に景気よくフェルナンデスが2ランホームランを放ち先制。しかしその裏、松坂はけん制球を暴投してランナーを進めてしまうなど何となくイヤな予感が。この回は後続を断つが、3回裏ではその予感が的中、イニング2個のデッドボールを与えるなど制球が乱れに乱れ、あっという間に3点を奪われ逆転。しかし4回はアンダーシャツを半袖に替えると、あわやホームラン性の2塁打は打たれたものの、本日最速の156km/hを記録するなど何とか0点に抑える。これが流れを変えたのか、佐藤・赤田の連続タイムリーで再度逆転、山本昌のKOに成功。この後も和田のタイムリーが出て再び2点差。なおも満塁で野田が長打コースの当たりを出すものの、そこは鉄壁の守備力を誇る中日、レフト井上のファインプレーに阻まれ反撃もここまで。しかし松坂はこの逆転で立ち直ったのか、6回表には中日の平井から安打を放つなど打撃も調子が上昇。さらに7回には和田が2試合連続となる1発で貴重な追加点を得る。しかしながらその裏、立浪に同点3ランを打たれ試合はあっという間に振り出しに。さらに森野にまさかの逆転打。計7失点で降板となった。結局松坂v.s.山本の勝ち星なし対決はこの時点で両者相討ちにより引き分け。さらに代わった星野も打たれ、3点のリードが気づけば2点のビハインドに。その後も森が打たれるなどさらに追加点を奪われ、終わってみれば大敗を喫してしまった。
今回の敗因は松坂の代え時を誤ったことに尽きるだろう。傷口を広げてからの降板では後続のリリーフも投げづらかったに違いない。これで1勝1敗となったが、ライオンズが過去○●となった日本シリーズは前身の西鉄時代を含め5回。うち3回で日本一の座を射止めている(勝率6割)。また、シリーズ全体でみても2試合終わって1勝1敗となった時は24回あったが、日本一になる確率としては先に取っても後に取っても全く五分である(○●となったチームも、●○となったチームも、ともに12回ずつ日本一になっている)。過去のデータとしてはこの時点では全く楽観視できない。しかし、過去に中日と対戦した1988年は西武が敵地ナゴヤ球場で今年と同様○●とした後、西武球場に帰り3タテを食らわせた実績もあり、火曜日以降、16年前の再現なるかどうかが注目である。
それにしてもこのシリーズ、両エースに勝ち星がつかないという異例の展開となるなど、第3戦以降もまたいろいろ楽しませてくれるに違いない。

2004日本シリーズ第3戦・10月19日(火)

対中日ドラゴンズ(西武ドーム)
L 10 - 8 D

舞台を西武ドームに移し、西武が帆足、中日がドミンゴの先発で始まった第3戦。平日は仕事のため、試合を最初から見られなかったので4回裏途中からの観戦。すでにフェルナンデスのタイムリーで1点を先取しており、カブレラの打席。そしていきなり画面に映ったものはレフトスタンドに消え入る打球であった。これで3点リード。さらに5回には中島が貴重な追加点となるソロホームラン。ところがその中島、次の6回表でいきなりエラーをやらかす。これで帆足は調子を崩したのか、次の打者は討ち取るものの、その後アレックスに1点を奪われさらに1死満塁のピンチを招いてしまう。ここでピッチャーを長田にスイッチ。ここでバッターは谷繁。これに対し野田はピッチャー長田に執拗に変化球を要求するというリードが完全に裏目に出てしまい、結果はボールの山。苦しくなった最後は高めのストレートを豪快にスタンドに運ばれあっという間に逆転。昨日とほぼ同じような展開のいやなムードが漂うが、その後長田は何とか後続を断ちこの場をしのいだ。けれども、中島のエラーはソロホームランを帳消しにするどころか完全にチームの足を引っ張ってしまった。7回にはまたもやアレックスのタイムリーでさらに点差が開き、なおも1死満塁でバッター谷繁という6回表の悪夢を思い出させるシチュエーションとなったがここでピッチャー大沼はゲッツーに仕留めピンチを脱出。何とか最小失点の1点に抑えた。この粘りが裏の攻撃に現れ、逆にピッチャー岡本に対し1死満塁とし、佐藤友亮が同点タイムリーを放つ。なおも2死満塁でカブレラがレフト側外周通路まで飛んでいくお返しの超特大満塁ホームランで一気に4点と中日を一気に突き放す。これには伏線があり、石井義人の打席で落合監督がピッチャーを代えようと一旦マウンドまで来るものの、何を思ったか交替を取り消した(すでに準備していた高橋がブルペンから出ようとしていた)。おそらく何かの考えがあっての「オレ流采配」だったが、完全に裏目に出てしまった。ちなみに1試合2本の満塁ホームランはテレビ朝日情報によるとシリーズ史上初らしい。しかしこれでも安心できないのが中日打線の恐ろしいところで、8回にはリナレスのホームランなどで2点を追加し、じりじりと2点差まで詰め寄ってくる。しかし9回は守護神豊田が3人でキッチリ抑え、この4時間を越える超乱打戦をライオンズが制した。
……というわけで感想だが、前半の一見投手戦の様相を呈していた雰囲気が突然変わり、あまりにもの凄い展開の試合で見てるほうまでクタクタになってしまった。カギは7回表の中日の攻撃時に西武守備陣が1点止まりで粘ったこと。そして7回裏で突如続投決定という落合オレ流采配が完全に裏目に出たこと。これで一気にライオンズに流れが傾いたと見てよいだろう。それにしても、ライオンズが勝ったとは言え非常に心臓に悪い試合である。さて、そんな中、じりじりと台風23号が日本列島に向けて迫りつつある。もし明日の試合が台風で中止になると、これまたシリーズ史上初のドーム球場での試合中止となるが、こういう史上初はあまり歓迎できない。

2004日本シリーズ第4戦・10月21日(木)

対中日ドラゴンズ(西武ドーム)
L 2 - 8 D

台風で1日順延となった第4戦。西武・張、中日・山井の投げ合いとなったようである。残念ながら本日は飲み会のため試合を見ることが出来なかった。結局ライオンズ投手陣が崩れて大敗を喫したが、逆にこれだけあっさり負ければむしろ明日には響かないだろう。また、試合終盤にわずかはであるが点を取り返したというのも明日につながる好材料であると考える。

2004日本シリーズ第5戦・10月22日(金)

対中日ドラゴンズ(西武ドーム)
L 1 - 6 D

仕事から帰ってきたらすでに4回裏、西武の攻撃となっていた。この時点で西口は3失点。一方のライオンズは何と川上憲伸に対して1人もランナーを出せないというお寒い状態であった。まぁ、第1戦でも実質的な得点は和田のホームランだけだったのでやはりセ・リーグ最多勝投手にはなかなか手も足も出ないといったところか。一方我らがライオンズのエース西口(え、エースは松坂だろうって?まぁソレはソレとして)も5回裏の投球を見る限りは若干ボール球が多いような気もするが特に悪い所はなく、被安打数も確認したらわずか3安打。まぁ運が悪いというというか何というか。
さて、ライオンズ打線は6回1死までそのまま沈黙を保つが、これを破ったのが本日スタメンマスクに抜擢されたキャッチャー細川。さらに高木浩之がピッチャー強襲のヒットでランナー1・2塁のチャンスを作る。続く佐藤友亮は凡打に倒れるものの、代打で出てきた小関が右中間にあわやホームランかと思われるタイムリーヒット。これで細川が生還しようやく1点を返す。さて、1塁ランナーの高木浩之は……というとこれが何とムリヤリ本塁に突っ込んできた。さすがにこれは中日の守備陣によって阻まれ、もう1点というわけにはいかなかった。というか高木浩之の本塁憤死を見るのはこれで何度目だろうか。パ・リーグを全く知らない解説者に足が速いと思われているがこれは全くのウソである。リプレイを見たらそれにも関わらず清水サードコーチが腕をグルグル回していたのが見えたが、走塁コーチがこれでは……。
その後は再び緊迫した投手戦が続くが、7回表に西口は2四球を出して降板。ここは後続の長田が何とかしのぐ。そして試合は9回表、2死1塁から立浪・アレックスに2連発アーチが出てこの回からリリーフした小野寺はあっという間に試合を決定付ける3失点。実は8回裏に細川の代打で貝塚を出した関係でこの回からキャッチャーは野田に交代しているが、細川は今日の試合でチーム初安打を放ち、さらに初得点のホームを踏むなど貢献したのにあえてここで代えてしまった理由がよくわからない。リードも細川のほうが上だと思うのだが。
これで中日に先に王手をかけられる格好になったが、第3戦以降は休みが入るごとに勝敗が入れ替わっているので、明日の移動日はライオンズにとって吉と出ると信じたい。あと、これは個人的見解だが、おそらくライオンズ日本一を狙うカギは松坂を先発で使わないことだと思う。

2004日本シリーズ第6戦・10月24日(日)

対中日ドラゴンズ(ナゴヤドーム)
D 2 - 4 L

第2戦に続き、両先発は西武松坂、中日山本昌の勝ち星ナシ投手リベンジ対決となった。果たして今日でその決着がつくのか?
さて、ライオンズは初回にカブレラのタイムリーで幸先良く1点を先制。しかしリードをもらった松坂も2戦目とあまり変わらない不安定な投球内容。2回には無死1・3塁で井上のラッキーな内野安打で1点を許し早くも同点に追い付かれてしまう。4回にはまた井上にタイムリーヒットを浴びこれでついに逆転。中日にリードを許してしまった。
しかしこれで松坂は吹っ切れたのか、5回裏には中日の打撃陣を3者凡退に抑える。これが流れを変えたのか、その次の6回表のライオンズの攻撃、和田が再逆転となる2ランホームランを放ち、山本昌をマウンドから下ろすことに成功。さらに代わった岡本から平尾がスリーベースを放ちチャンスを広げるが、ここは後続を断たれ反撃はここまで。しかし、7回表には再び和田が貴重な追加点となるソロホームランを放ちこれで2点差。一方投手松坂も5回以降7回までランナーを1人も許さぬ好投を続け、8回の2死1・2塁のピンチも切り抜けた。9回表の打順で代打小関が告げられ、松坂はこの時点で降板が決定。あとは守護神豊田に託すのみとなった。勝利のバトンを受けた豊田、2死から英智に出塁を許すも、きっちり最後を締め、これで3勝3敗のタイとした。これにより、松坂v.s山本昌の勝ち星ナシ対決延長戦は緊迫した投手戦の末、松坂に先に白星がついた。それにしても投手戦とは言え、なんかものすごく打撃戦っぽい雰囲気がするのは一体どうしてだろうか。
これで日本シリーズは昨年に引き続き第7戦までもつれこむことになった。こうなったら狙うは日本一以外ないだろう。ビジターでの苦しい試合だが、残り1試合、全力で頑張って欲しいと思う。あと、松坂先発で勝利したので昨日の最後の一文は取り消させていただく(笑)。

2004日本シリーズ第7戦・10月25日(月)

対中日ドラゴンズ(ナゴヤドーム)
D 2 - 7 L

昨年のダイエーv.s.阪神に引き続き最終戦までもつれ込んだ2004年日本シリーズ。新人監督同士の対決、最後を決めるのは果たしてどちらのチームか?西武の先発は第1戦で見事な復活を果たした石井貴、中日は第3戦で先発し、結局序盤で崩れてしまい勝てなかったドミンゴ。
で、この試合も実は終盤まで会社の飲み会に付き合わされたおかげでほとんど観ていない。携帯電話で文化放送ライオンズナイター速報で得点経過を見るほかなかった。
テレビ中継で試合を見始めたのは結局9回表から。すでに7−0と大量リード。最後はリリーフエースの豊田がピシャリと締める……はずだったがいきなり3連打で1点を失う。さらにダブルプレーの間に1点を失うが、中日の反撃もここまで。西武ライオンズが実に12年ぶりの日本一を決め、伊東監督が宙に舞った。12年前と言えば私はまだ中学生の頃。当時のライオンズは超一流のプレーヤーが揃い、とても強くて負ける気がしなかった。時は経ち、今の西武からは当時の強さの面影を感じることはできなくなってしまったが、今のライオンズには粘りと勢いがあり、それが今回の日本一につながったと思う。
また、シリーズMVPは石井貴に決定。これだけ乱打戦が続いた日本シリーズの中、13イニング無失点で2勝を挙げたことはやはりMVPにふさわしい成績だと思います。レギュラーシーズンでたった1勝だった投手がここまでピシャリと抑えるとは、長年西武ライオンズを見てきた私ですら全く予想がつかなかった。第1戦のところに書いたが、石井貴はやはり「シリーズ男」であった。ちなみにシリーズの勝利数がレギュラーシーズン(ペナントレース)の勝利数を上回った投手はおそらく史上初ではないか(未確認)。
とにもかくにも、就任1年目で日本一の栄冠を手にした伊東監督と、チーム一丸となって12年ぶりに日本一の座を奪回したライオンズの選手達には大きな拍手をもって「1年間、お疲れ様でした!」と言いたいと思う。そして、また来年、新たな戦いに向けて我々を魅了するプレーを続けて欲しい。

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