五代目雲月襲名披露公演、盛大に
浪曲人が皆、新雲月誕生を祝福

  「五代目天中軒雲月襲名披露公演豪華顔見世浪曲大会」が十月三十日に浅草公会堂で開催された。日本浪曲協会幹部から若手まで一堂に集まり、新雲月誕生を祝福して公演を盛り上げた。
  天津ひずるの司会で始まったこの公演、澤華丸「五條大橋の月」(曲師・佐藤貴美江)、玉川こう福「別れ涙の花舞台」(玉川みね子)、春日井梅光「天野屋利兵衛」(貴美江)、三門柳「小仏峠の雪」(みね子)、玉川桃太郎「隅田川親子千鳥」(玉川祐子)と続いて休憩。第二部は二葉百合子、澤孝子、五月一朗、東家三楽、東家浦太郎、春日井梅鶯、玉川桃太郎、春日井梅光、三門柳、葵わか葉、天中軒鵬、国本武春、天中軒月子改め天中軒雲月がずらりと並ぶ披露口上から。澤会長は「待ちに待ったうれしい日。新雲月誕生をはずみとして浪曲人一同一丸となって精進していきたい」、二葉は「五代目がより一層大きくなりますよう」というように新雲月誕生を喜び、祝う口上が続いた。この後はプログラムにはないサービスで、二葉が「岸壁の母」と芸能生活七十五周年記念曲「百年桜」を熱唱して客席をわかせた。続いて浪花亭友歌、玉川太福、澤雪絵、東家一太郎による歴代雲月の紹介、そして雲月が先代譲りの「佐倉義民伝 宗五郎子別れ」(伊丹明)を熱演。これからのますますの活躍を期待させる一席とした。力演の後の出演で飄々とした楽しい味わいで彩りを添えたのが五月一朗「太閤記」(五月歌絵)。番組はさらに国本武春「英國密航」(沢村豊子)、東家三楽「忠臣蔵」(明)、東家浦太郎「野狐三次」(豊子)、澤孝子「春日局」(貴美江)と続き、浪曲の楽しさをたっぷりと味わうことができた公演だった。

末広友成師死去
 明治四十四年四月一日生まれ。浪曲界最長老の末広友成(本名・見竹清作)師が十一月十九日に老衰のため逝去された。九十八歳。
  友成師は新潟県上越市の生まれ。昭和八年に東家楽燕門下であった末広友若に入門。昭和十五年に日比谷公会堂で看板披露。切符はすべて一人で売り、三千六百名の会場は満席の盛況だった。以後、一昨年頃まで舞台に立ち続け、生涯現役を貫いた。また永子夫人が合三味線をつとめる仲睦まじい夫婦浪曲としても知られた。
 九十歳を過ぎても高音に特長のあるその美声に衰えはなく、「神田松」「祐天吉松」などの十八番ネタでファンを魅了した。
  同年齢の木村若友とともに「生涯現役宣言 若いもんなんかに負けるもん会」も数度開催し、話題にもなった。
 小柄ながら背筋をきちんと伸ばす姿勢のよさ。そのような折り目正しさとともに、どのような者とも分け隔てなく接する度量の広さ。我々が学ぶところは多かった。
 最期まで舞台に立つことを願って節の稽古を続けていたという。味わいのある浪曲と人柄のすばらしさ、浪曲界は尊い人材をまた失った。
 
「わかたけ塾」で成長誓う
もぎたてカルテット渾身の勉強会

  東家一太郎、玉川太福、澤雪絵、浪花亭友歌の「もぎたてカルテット」が日本浪曲協会で行なっている勉強会が「わかたけ塾」と名称を変えて十一月二十日で四回目を迎えた。この日は雪絵「会津士魂」(曲師・佐藤貴美江)、太福「真柄のお秀」(玉川みね子)、友歌「太閤記」(貴美江)が出演。彼成長を見守る温かいファンの前で渾身の舞台をつとめた。

寝屋川高校で浪曲鑑賞会
まどか、恵子が感動伝える

 十月三十日、寝屋川市民会館大ホールに府立寝屋川高校の全校生徒を集め浪曲公演が行われた。これは同校の西川教諭らが、生徒に浪曲の魅力を味わってほしいと同校が毎年行っている芸術鑑賞会で上演することを企画したもので、出演者には、これから様々な人生の岐路にさしかかる若者たちに、若くしてこの道を選んだチャレンジ精神を伝えたいと、菊地まどかと春野恵子を選んだ。
 プログラムは、最初に落語の露の団姫が出演して場をほぐしたあと、未知の体験への案内として芦川淳平が浪曲についてレクチャーした。このあと生徒らを舞台に上げて、浪曲の舞台づくりも体験させ、春野恵子が「お菊と播磨」を口演、千人を越える生徒たちは熱心に聞き入っていた。一席終わった後、生徒五人が舞台に上がり、感想を語り、恵子まどかのサポートで自らも、高校の校歌に思い思いに節付けしてひとふし語るワークショップを体験した。最後にまどかが「赤垣源蔵」をたっぷり語って大喝采をはくした。
 生徒たちは「迫力があった」「わかりやすかった」と口々に感想を述べていた。
 高校生ばかりの会場での浪曲公演は、近年稀で、落語やその他の古典芸能ではしばしば行われている学校公演は、若い世代に浪曲を聞く機会を増やしてゆきたい浪曲界にとっても念願だったが、これまで浪曲に対する偏見もありハードルが高かった。その意味で今回の公演は、ひとつの扉が開かれた画期的な出来事といえよう。

今年も芸術祭参加で公演
十一月の一心寺門前寄席

 十一月の一心寺門前浪曲寄席は、七日から三日間、文化庁芸術祭参加公演として行われた。
 出演は、松浦四郎若、真山広若、菊地まどか、春野恵子。最終日の九日は審査日となり、まどかは、先ごろ大阪文化祭奨励賞を受賞した「赤垣源蔵」を熱演、三年前の新人賞受賞時から進境著しい活躍ぶりを物語るように自信たっぷりの舞台を勤めた。広若は、体調の不良を感じさせない熱演振りで歌謡浪曲の「南部坂」を熱唱、恵子は「袈裟と盛遠」で迫真の演技を見せた。最後の松浦四郎若はトリネタにふさわしい「秀吉の報恩」を、堂々としかも情趣豊かに語り上げ浪曲の真骨頂はこれだというところを語り上げた。三日間とも大入りで期待の大きさを物語っていた。