第五回鳥羽屋里長リサイタル(13年五月二十七日/有楽町マリオン)にての黒御簾演奏です。里長さんがライフワークとしている黒御簾音楽の研究成果を発表する場でもありますので初めての方には多少専門的になり、分かりにくいところが出て来たかと思います。今回は南北の代表作、四谷怪談と桜姫東文章の一場面をナレーション風に話を進めながら南北が好んで使った音楽を演奏して行くという設定です。四谷怪談のストーリーを要約して、四谷怪談の附を元にしながら音を組み立てました。怪談ものですから当然ながら使い物も地味で暗く、飽きさせずに聞いて貰うにはどのように組み立てれば良いか苦労しました。ただ名作であり、良く知られた物語ですから舞台面を想像しながら聞いて頂けたと思います。また南北と黙阿弥の違いなども話しました。黙阿弥は七五調のツラネをうまく使い多くの狂言で名ぜりふを多く残しております。南北はこのツラネを余り使いません。七五調と云うより南北のそれはかなり現代語に近いものです。従ってツラネ合方は元より南北は派手な合方を余り使っていません。音楽の好みもシンプルです。しかし南北ものというと黒御簾は忙しく、いつも黒御簾の中は混乱状態なのです。というのも現在の黒御簾の「附」は黙阿弥以降に附られたと思われ、黙阿弥の好みが多く見られます。と云うような事で、物語の面白さと黒御簾音楽のからみをお聞かせする「鶴屋南北の世界」でした。
演奏:唄 鳥羽屋文五郎、芳村伊千四郎、鳥羽屋里一郎、長孝,
長秀
三味線 杵屋源次郎、杵屋栄十郎、鳥羽屋里之輔
独吟 鳥羽屋里長 三味線 松島寿三郎
囃子 田中長十郎ほか

