| No.555 | |
| 朝日新聞 | 2007.09.03〜08 |
| ネットでお買いもの | |
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2007年(平成19年)9月3日 生活 あなたの安心 ネットでお買いもの@ 代金を振り込んだのに、業者が行方不明に 人気の携帯音楽プレーヤー「IPod」が、メーカー小売価格より約4千円安い2万4635円だった。京都市の会社員(33)は今年5月末、インターネット上の大手仮想商店街「楽天市場」に出店していた家電店のサイトで見つけた。 決済方法に、商品を受け取る時に代金を支払う「代金引換」がなく、代金を振り込んだ後に商品を発送してもらうしかない。不安で一週間ぼど迷ったが、思い切って注文した。 だが、振り込んで一週間過ぎても商品が届かない。発送を促すメールをサイトに送ったが、翌日に「ただいま出荷準備中」というメールが返ってきた。 「遅すぎる。おかしい」と不安が増し、すぐに注文をキャンセルするメールを送った。ところが翌日、今度は楽天からメールが来た。ほかの客からも商品が届かないという苦情が楽天に殺到しているらしい。家電店の店長が行方不明になったので、サービスを停止するという。 振り込んだ代金が戻るように、楽天に対応を求めた。しかし楽天は、自分たちは客と出店者に取引の「場」を提供しているだけという立場。「対応は検討中」と繰り返した。 ほかの被害者がどう対応しているのかを知りたくて、経緯を自分のプログに書き込んだ。すると、約450人から「自分も同じ家電店で被害に遭った」というコメントが届いた。一方で「事前に確認しないで買ったのが悪い」という指摘も受けた。 テレビや新聞でも報道された。楽天は「特別な事例で、被害も拡大している」として、6月末に家電店に代わって弁済することを決めた。 「ネットで買うときは、何をどこまで借用すればいいのか」。この会社員はその後、ネットで買いものするのを少しためらっている。 ◇ 消費者向けネットショッピングの市場規模は拡大し、06年は4・4兆円に。一方でトラブルも絶えない。気をつける点は何か。「ネットでお買いもの」は6回連載します。(山口智久) |
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2007.09.04 ネットでお買いものA ショップ見極める力も必要 インターネットでの買いものに、不安を感じる人は多い。ネットショップ向けに支援サービスを提供するEストアー(東京都)が、今年2月にネットショップの利用客412人を対象に実施したアンケートでは、64%が「不安を感じる」、36%は「不安はないが、トラブルにあうかもしれない」と答えた。警戒感は強い。 具体的に不安を感じる点を複数回答で求めたところ、「入力したクレジットカード情報の不正使用」を選んだ人が75%で最も多く、「個人情報の漏洩(ろうえい)」が71%と続いた。 実際にこうした情報漏れの被害に遭った人は約1割。「知らない人から営業メールや電話がくるようになった」が多く、クレジットカードの不正使用の被害に遭ったという人もいた。情報の漏れ方としてまず心配なのは、通信途中で内容を他人に盗み見られることだ。対策としてネットショップのほとんどは、「SSL」という暗号化技術を利用している。クレジットカード番号など重要情報を入力する画面で、URL表示の冒頭が「https」となっていて、ブラウザーに鍵マークが現れていれば、情報は暗号化されて送られている。 独立行政法人情報処理推進機構セキュリティーセンターの石井茂さんは「SSLがあれば、通信途中はとりあえずは安心。それよりも、フィッシングの方が脅威だ」と警告する。 フィッシングとは、本物のサイトに酷似した偽サイトに誘導し、個人情報を不正に聞き出す手法。利用客が本物と勘違いして、カード番号や暗証番号を入力してしまうと、第三者に情報が漏れてしまう。送りつけたメールに偽サイトのURLを記して誘導することが多いため、こうしたメールは要注意だ。 ショップ側の管理がずさんで情報が漏れる可能性もある。情報管理の体制を審査して、財団法人日本情報処理開発協会が出す「プライバシー(P)マーク」があるかどうかなどは、一つの目安にはなる。ただ、店を信用するかどうかは、最後は自分で判断するしかないようだ。 ![]()
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2007.09.05 ネットでお買いもの B 便利なカード払いリスクも インターネットショッピングで最もよく利用する決済手段は? 後払い決済サービスを提供するネットプロテクションズ(東京都)が、インターネットリサーチ会社マクロミル(同)に依頼した調査で、06年12月に利用客2064人に聞いた。多い方から@クレジットカード62・6%A代金引換14・7%B銀行やコンビニでの後払い決済11・3%C銀行などでの前払い決済10・9%という結果だった=グラフ。 同じ調査で「最も好ましい決済手段」を尋ねると、クレジットカードは46・7%、前払いは5・7%で利用実態より低く、逆に後払いは28・5%、代金引換は18・0%と利用実態より高かった。商品を受け取らないうちに決済することへの利用者の不安が表れている。 「代金を振り込んだのに商品が届かない」というトラブルは、前払い決済の場合に起きる。利用者からするとリスクが高い方法で、できるだけ避けたい。クレジットカードでも同じようなトラブルは起こりうる。ただ、カード会社に連絡すれば、店を調査し、契約を解除してもらえることもある。 一方、後払い決済は利用者にとってリスクが低い。商品を受け取り、品物を十分に確かめた後、同封されている振込用紙を持ってコンビニや銀行、郵便局へ行き代金を払う。ただ、この方法を提供している店は少数派だ。店側からすると、客から代金を回収できない心配があるからだ。客のリスクが下がると、逆に店のリスクが高まる。 両者のリスクを減らすために、様々なサービスが登場している。代表が代金引換だ。郵便や宅配便で商品が自宅に届いたときに、玄関で配達員に代金を払う。ただ、利用料がかかることが多く、支払いのために自宅にいなければならず、包装を解く前に払わなければならない。 代金と商品の受け渡しを確実にするために、店と利用者の間に仲介業者が入るサービスもある。これも利用料が必要だ。 ネットで買いものをする時には、「安心」のために負担する料金についても考えたい。 ![]() |
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2007.09.06 ネットでお買いものC 決済方法選びトラブル予防も 「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」など、モールと呼ばれるインターネット上の仮想商店街が人気を集めている。楽天市場は会員3千万人、出店店舗数2万を超えた。 人気の背景には、安心感があるようだ。ネットショップ支援業のEストアー(東京都)が「安心して購入できるネットショップのポイント」を複数回答で412人に尋ねたところ、約4割は「モールに出店している」ことを挙げた。 ただ、利用規約をよく読むと、モール運営者は客と店に取引の「場」を提供する立場で、店の信頼を保証するものではない。客がトラブルに巻き込まれても、「まず店と直接連絡をとってください」との対応だ。 もちろん、モール側も各店の経営状況を確認し、利用客の評判から問題がありそうな店を見つけて改善を求めるなどする。 それでも出店中の業者が倒産したり、行方不明になったりすることが起きており、中には詐欺が疑われるようなケースもある。あるモール事業者は「まじめに商売していた店が豹変(ひょうへん)することがあり、くまなく監視するのは難しい」と漏らす。 経済産業省は、モール事業者の責任強化をたびたび検討してきたが、議論はまとまっていない。モールに入っている店だからといって安心せず、自分で注意して利用するしかない。 ひとつの手段は、モールや店以外の第三者による決済方法を選ぶことだ。クレジットカードや代金引換の場合、カード会社や配達業者が間に入るので、ある程度トラブルは避けられる。 米国で普及しているのは、「エスクローサービス」だ。仲介業著が店と利用客の間に入る。客は注文したら、代金をいったん仲介業者に振り込む。店は、入金の連絡を仲介業著から受けると、客に商品を発送。商品到着が確認できてから仲介業者は出品者に金を送るという仕組みだ=図。 個人が店と直接交渉するのは難しい面がある。モールの責任が不明確ななか、こうした第三者サービスが広がることが期待される。 ![]() |
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2007.09.07 ネットでお買いものD 信用できる店の見分け方 「人気(ひとけ)を出す」 ネットショップに客を呼び寄せるコツとして、仮想商店街最大手の楽天が、創業当初から強調しているポイントだ。 「パソコン画面だけでは、無味乾燥になる。ネットの向こう側に確かに店員がいて、客が出入りしている雰囲気を醸し出すよう、店にアドバイスしている」と楽天市場事業ビジネスユニットの中東知美部長。 実際の店であれば、店構えや客の入り、店員の態度など多くの情報から「この店は信用できるか」を判断できる。ネットショップではそうした店の様子は伝わりにくい。店側には、より多くの情報を開示することが求められている。 客に示すべき最低限の内容は、特定商取引法が定めている。販売価格、代金の支払時期と方法、商品の引き渡し時期、返品方法、事業者名、住所、電話番号などだ。ネットショップの場合、ホームページのわかりやすいところに、これらが正しく示されていることを、まずチェックする。 特に重要なのは、電話番号。いざというときに、直接連絡を取るための手段だ。電源を切られたらつながらない携帯電話よりは、固定電話の方が安心。さらにフリーダイヤルであれば、客からの問い合わせを積極的に受け付ける姿勢を示しており、丁寧な対応が期待できる。 店頭での買いものと違って、ネットでは利用客が氏名、住所、電話番号などの個人情報を店側に伝えなければならない。 「だからこそ、ショップ側の方が積極的に情報を開示しないと、客の借用は得られない」と、ネットショップの支援業務を提供するEストアー(東京都)の入山貫オペレーションマネジャーは店側に説いて回っている。入山さんが勧めているのが店長や店内の写真、店長のプログ、利用客が感憩を書き込める掲示板を表示し、客とのコミュニケーションを図ることだ。 トラブルが多い店のうわさは、ネットでは広がりやすい。店の名前を検索し、掲示板などでほかの利用客が書き込んだ評判を見るのも参考になる。
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2007.09.08 ネットでお貫いものE トラブル時相談窓口も助けに 商品が届かない、注文したものと違う。こうしたトラブルにあったら、まず店にメールや電話で対応を求めるのが基本。ただ、その時の交渉方法や必要な知識は、消費者相談窓口で教えてもらうことができる。 06年4月に設立された有限責任中間法人「ECネットワーク」 (東京都)は、ネットショッピング専門の相談窓口。経済産業省が別団体に委託していた「ネットショッピング紛争相談室」を引き継いだ。 30代の女性からの相談。米国のサイトで掃除機を注文し、クレジットカードで決済した。20日以内に送ると書いてあったのに、1カ月半がたっても届かない。サイトにメールを送っても、返事がない。カード会社にも連絡したが、最初は取り合ってもらえなかったという。 ECネットワークは、クレジット契約の仕組みを説明し、手続き通りにカード会社に返金を申し込むように助言した。女性はそれに従い、カード会社から代金を返済してもらえた。 ただ、解決に結び付くのはまれだ。客と店が遠く離れて直撰対面するのは難しく、踏み込んだ交渉ができない。客が押しかけてまでは来ないだろうと、連絡を遮断する店もあるという。 「消費者としての権利や制度を相談者に説明するが、それをそのまま主張しても、相手が受け入れるとは限らない。うまくトラブルを解決するためには、客の譲歩が必要な場合もある」と原田由里理事は説明する。 店側とまったく連絡が取れなくなった場合には、倒産のケースもあるが、詐欺の可能性も出てくる。その疑いがある時は、警察に被害届を出す。ただ、捜査の進み具合によって、すぐに解決へつながるとは限らない警察もサイバー犯罪の情報収集に乗り出している。被害届は、地元の警察署に出すよりは、各都道府県の警察本部にあるサイバー犯罪の専門相談窓口にまず相談した方が、手続きがスムーズに行くようだ。 (山口智久)
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