「アリスの心」
「あなたに魔理沙の邪魔はさせない。そしてあなたに魔理沙を私はしない。たとえ大切なものを失ったとしても!」
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歪な月によって照らされた竹林。夜を止め疾走する二人の魔法少女。
事件の発端と思われる古き屋敷が視界に入るその時、二人の行く手を巨大な結界が阻んだ。
「ちょっと待て。」
その声とともに現れたのは光の白と炎の紅を身にまとう巫女。
あるときは味方として、またあるときは敵として戦った博麗霊夢であった。
「魔理沙、先に行って」
カラフルな方の魔法少女が白黒の魔法少女に声をかける。
「しかしアリス、あいつは…」
「いい魔理沙、私たちには時間がないのよ。永夜の術と言っても限界はあるの。
もう夜明けまで半分以上の時間を使ってしまったわ。だからここは私に任せて、先を急いで頂戴。」
魔理沙と呼ばれた少女の言葉を遮って最初の魔法少女が言った。
「…わかった、アリス。先に行ってお前の分が無くなるくらい綺麗に掃除してきてやるぜ。」
「ええ、また後で合流しましょう。」
「ああ、きっとだぜ。」
魔理沙と呼ばれた白黒の少女はそれだけ言うと、自らのトレードマークともいえる帽子を目深にかぶりなおし、屋敷に向かって飛び去ってゆく。
巫女を牽制しながらそれを見送るカラフルな方の少女。彼女の名はアリス・マーガトロイド。人形を操る7色の魔法使いである。
「ふふふ、まるで私が前座みたいね。まぁいいわ。すぐに魔理沙に追いついてこの永い夜を終わりにするだけよ。」
と言うが早いか霊夢の体から凄まじいまでの力、霊力が開放された。
「ふん、所詮2割8部6厘未満のあなたに何ができると言うの。」
とアリスは返すものの、そのプレッシャーを前に内心の動揺を悟られないようにするのが精一杯であった。
無理もない、「本当に本気になった」霊夢に対しては二人掛かりですら勝てるかどうかは微妙なところであるのだから。
だが、ここで怯む訳には行かなかった。
知り合ったときも、そして久しぶりに再開したときも、常に魔理沙の近くには霊夢がいた。
しかし、今は魔理沙のそばには自分がいる。そして自分を信じ、背中を預けてくれた。
だから、今ここを退くわけには行かない。そして負けるわけには行かない。
あの孤独だったころの自分に戻らないためにも。
その思いが今のアリスを支え、動かしていた。
「先手必勝、白符『白亜の露西亜人形』」
アリスを中心として霊夢の周りに召喚された人形達が一斉に弾幕を放ち、攻撃を開始する。
だが、
「遅いわ!」
の声とともに霊夢が退魔針を放つと人形たちはすべて結界へと縫いこまれていた。
「ならば、戦符『リトルレギオン』」
その声にあわせて刃を持った人形達が召喚され、霊夢に一斉に襲い掛かる。
しかし、それらも
「夢符『封魔陣』」
霊夢のスペカ発動とともに生まれた光に飲み込まれ、消えていった。
「今度こちらの番ね、霊符『夢想妙珠』」
霊夢から6つの光球が出現し、それぞれがホーミングしながらアリスへと向かう。
3つ目まではかわし、4つ目と5つ目は人形の掲げた盾で防ぐ。
だがそれが限界であった。5つ目を受け止めた時点で盾は半壊しており6つ目を捌ききることは出来なかった。
洩れ出た閃光によりドレスは千切れ、肌は焼かれた。
其れでもなおアリスは屈する事なく人形を召喚し、弾幕を張り続けた。
しかし霊夢の攻撃により、アリスには少しずつ、だが確実にダメージがたまり続けていた。
「いい加減粘るわね、でもこれで終わりにするわ! 霊符『夢想封印 瞬』」
「きゃあああぁぁぁぁぁ」
ついに霊夢の大技がアリスを捕らえ、竹林の奥へと吹き飛ばす。と、次の瞬間、
「クッ、でもまだまだ、エェェェェェェイ!!」
「なっ!」
ガン!
跳ね飛ばされたはずのアリス。だが衝突した竹の反動を利用して高速で戻り、そのまま霊夢に蹴りを直撃させたのだ。
「…まさかあなたが体術を使ってくるとはね。」
「うそ・・・。あの蹴りを受けたのになぜ立って、飛んでいられるの?」
大ダメージを覚悟で放ったカウンターの一撃。
『これで決まって欲しい。』というアリスの祈るような気持ちを手折るかのように霊夢は体勢を立て直し、言った。
「ぎりぎりで結界を張らなかったら危なかったわ。このお返しはさせてもらうわよ。」
聞くや否やアリスは本能的な恐怖を感じ距離をとった。しかし霊夢は追うでもなく玉串を構え、一瞬動きが止まる。
それを好機とみてアリスが弾を撃ち込もうとした瞬間、霊夢は玉串を前に突き出し、超高速で突進したのだ。
身を守る暇すらなく、玉串はアリスの体を捉える。
そしてそのまま離れ際にキックを入れると、ついにアリスの体は地面に堕ちた…。
「よく頑張ったけど、あなたはそこでお終い。後は魔理沙を懲らしめるだけね。」
すぐ傍で霊夢が勝ち誇ったように言うと、アリスは倒れ伏したままさぞおかしいと言うように笑い出した。
「何がおかしいの!?」
「あなたはまだ気がついていないようね、私の手元に上海がいないことを。」
「!」
アリスの持っているグリモワールが勝手に開き、ある呪文を指し示した。
それは禁呪。人形遣いとしての禁忌。
と同時に霊夢の背中にひそかに張り付いていた上海人形が光りだし、さすがの霊夢の顔色も変わる。
「アリス、それは・・・!」
「あなたに魔理沙の邪魔はさせない。そしてあなたに魔理沙を渡しはしない。たとえ大切な物を失ったとしても!」
「まさか…?」
「そう、今までのすべてはこのための布石、これこそが私の奥の手。」
そう言うとアリスはスペルの最後の一言を叫んだ。
「魔躁『リターンイナニメトネス』」
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後書き
倉庫をあさっていたら発見した古いSSです。
(実は私が二番目に書いた東方SS)
流石に今見ると色々おかしい点が多々あったので、そのまま載せるわけにもいかず加筆訂正&誤字修正を。
(でも本当に少しだよ^^;)
とりあえず書いた当時の感想としては「霊夢性格変わりすぎ! 怖い!」で…。
PS,これを書いていた頃は頃はアリマリが第一だったんですよ。今? …二番目くらい?
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