山廬 98・長月 35cm×70cm
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使用筆:長鋒細嫩光鋒(筆庵製) 使用紙:紅星牌単宣 使用墨:大好山水
この作品は秋になったらアップしようと前から決めてたので、ようやくお披露目です。
イメージとしては、秋のススキの穂が大きくなってそれに隠れている、山奥に建つ
ひっそりとした一軒の古い家。周りからは聞こえるのは虫の音だけで、月が晧々を照っている。
そんな雰囲気を狙ってます。
書表現としては、のっぺりとしていて静かで明るくて。しみじみとしているけど枯れてない。
何の変哲もない静かな筆遣いでいて見て飽きないような表現を、と願いました。
かと言って、生気のないものになってしまっては書としては鑑賞に堪えないので、
ある程度の活力や勢いを持って書かなければならない。
とすれば、動きを極力内に込めて、目に見えないようにしなければならない。
若いうちはそれがわかっていても、ただでさえ力が余ってるので、
つい表現が過剰気味になってしまうものです。
その点では、この作品は随分我慢して書き切ってます。
20代の作品としては冒険が少ないのですが、当たり前に書いて鑑賞に堪えるものを
表現できなければ作家として本物ではない、という事を意識していた時期でもあります。
公募展への出品作では兎角派手な表現が受けがちなのですが、そういうものに
疑問を感じ初めてきた、そんな頃の作品でもあります。
3年経ってもゴミ箱に行かないという事は、私なりにこの作品が気に入ってる証拠ですね。
奇をてらわずに表現できたのが良かったと思います。