COOLDOWN SidetStories
「ライバル誕生!」
written by 水亀



町中が師走の足音を感じなんとなく浮かれるような慌ただしさのなか、女の子が二人が商店を歩いていた。
「紗里ちゃん。今日はどこにいくの?」
「あのね。ショッピングセンターのファンシーショップで買い物するから、その前に銀行によって行こう」
「うん。わかった。じゃあ。行こ」
しばらく少女達は銀行に向かって行くと紗里はひとり早足で不機嫌そうに歩いている少年に気付いた。その少年は紗里の二番目の物静かなお姉さんの彼氏であった。そして紗里は、
「ちょっとあのお兄さんの後付いていっていいかな?」
「どうして紗里ちゃん。あのお兄さん知り合いなの?」
「うん。すぐ上のお姉さんの彼氏なんだ」
「へー。紗夜さんの彼氏なんだ」
ともうひとりの少女は少し色目気だして少年を眺めていると、少女達が行く予定だった銀行に入って行くので、二人は銀行で用事を済ますついでに少年をもっと近くで観察してみるために銀行へ急いで向かった。銀行内は師走の上に閉店間際ということもあって大変込み合っている。
とりあえず少年を探してみると窓口に用事があるらしく、番号札を持ち自分が呼ばれるのを待っている様子だった。少女達はそんな彼を横目に見ながら、自分達の用事を済ます為にディスペンサーの前に並んだ。
「紗夜さんの彼氏って、なんだか無愛想ね」
「うん。でも紗夜ちゃんとデートしてるとこ見た事あるけど、その時も無表情だったよ。でも、なんか目が今と違って凄く優しそうだったけど」
「へえ。そっか。良く見ると顔事体悪くないから紗夜さんも結構面食いなのかもしれないね(笑)」
「まあそうかも、だけど紗夜ちゃんもちょっと変ってるから(笑)」
そうして話しながらだらだらと順番を待っていると、少年の番号が呼ばれたらしく少年が窓口に歩いて行くと、タイミングよく事件が起こった。
一人の男が黒い長いものを持って銀行に入って来て、無言で黒い長いものを上に上げ引き金を引いた。銃声がおこり、一瞬の静寂の後もの凄い悲鳴が上がった。
そして男は、
「騒ぐな静かにしろ!」
とショットガンを窓口に向けながら叫んだ。
少女達も悲鳴を上げながら、みんなと一緒に銃口から逃れるように目をつぶってしゃがんでしまう。
「全員静かにして床に伏せてろ!お前もしゃがめ!」
と男がいい、そして近くに立っている人をいきなり殴った。
紗里達も人が殴られた音で思わず顔を上げると紗夜の彼氏の少年が男にショットガンで殴り倒されている。おそらく男が窓口に行く際に邪魔だったのだろう。
そして、少年は、
「‥‥痛いな」
と他人事のようにつぶやくと、近くにあったロープの付いた通路用のポールを攫み。そしてそれを男に向けて無造作にフルスイングした。
その瞬間、男の右腕は鈍い音とともに砕け、そして男は吹き飛んだ。
少年はそのまま立ち上がりポールを投げ捨て、悲鳴を上げる男の前に立つとショットガンを蹴り飛ばし、そして男の左腕に無造作に足を振り落とした。やはりまた鈍い音とともに何かが砕けると男の絶叫が銀行内に響きわたり、一瞬の静寂のあと歓声を上げようと回りの人が立ち上がろうとした瞬間、一人の男が銀行内の天井に向けて拳銃を撃った。立ち上がりかけた人たちもまたしゃがみそして行内に悲鳴が響きわたった。
その男は、
「動くな!」
と叫んでから少年に銃口を向けるとそのまま彼の前に立ち、そして頭に銃底を降り下ろす。
少年は崩れるようにうずくまり、そして鈍い声を上げ頭を押さえた。
男はもう一人の男になにか罵る言葉をかけ窓口に向かおうとした瞬間、男の頭にはショットガンが突き付けた紗里が、
「動かないで、あと銃は捨ててね」
と言うとタイミングよく警報鳴り、それを打ち消すように歓声が上がり、
「やったあ。紗里ちゃんかっこいい」
と少女が駆け寄ると同時に警備員が男達を拘束した。
紗里はショットガンを警備員に渡し少女に応えながら、少年に声をかけようとすると少年は殴られたところを押さえながら、
「ありがとう」
と紗里にいつもの不機嫌な顔ではなく笑顔を向け、紗里の頭を2度ほど「ぽん」「ぽん」すると少年はすぐ不機嫌な顔に戻り、銀行員に支えられ通報で駆け付けた救急車で運ばれて行った。
紗里は少年の笑顔を見て、なにも言えず見送った。
少女達は事情聴取の為警察にいって事件状況を聞かれ、しばらくするとお母さんとすぐ上のお姉の紗夜が迎えに来てくれた。
お母さんは、
「紗里ちゃん。危ない事はしないようにね」
と笑顔で自分に言ったがものすごく恐かった。もしかしたら今晩は説教がまっているかもしれない。
紗夜も自分を心配して色々声をかけてくれたが、
「克樹くんってすごくかっこいいね」
と紗里は何か意味ありげな笑顔で応え歩き出した。
紗夜は紗里を追って歩きながら、さっきの意味ありげな笑顔と声に動揺して説明を求めたが、紗里は笑いながら相手にせず帰路についた。そして色々大変な出来事があった日は終った。(しかし、家に帰るとお母さまからの説教と罰で紗里はヘロヘロでもあったが)

こうして一人の少女が姉のライバルとして誕生したのであった。

TOP
水亀さんへの感想は掲示板へ