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「 樫緒の馬鹿-!二度とくんな-!鷲士君の大馬鹿-っ!樫緒の味方するなんて信じられない!イーだ!!」
美沙はそう言うと 鷲士のアパートから勢いよく飛び出していった。
元は美沙が居残りで遅くなることを踏んだ樫緒が 鷲士に帝王学を教え込もうとしていると
さっさと居残りを抜け出してきた美沙とかち合い、
いつも通りの口論のすえ、美沙の凶器攻撃(今回は美沙チョップ(フライパン)が炸裂したのだ。
「こら-っ、美沙ちゃん!!ってああ、樫尾くん気絶してるう!!」
鷲士は大慌てで背中に樫緒を乗せると近くの病院に走っていった。
「どうも、ありがとうございました〜。樫緒くん良かったねなんにもなくって。」
結局の所、脳の異常・外傷共に無く、単に疲労が重なったのがたまたまでたんでしょう
とりあえず今日一日安静にしましょうと言うのが医者の診断だった。
「・・・まったく、たかが気絶したくらいで大慌てするとは・・・・」
そう言って樫緒は 鷲士を見上げた。
「だって、頭にフライパンだよ?大怪我してたらどうするんだよ。」
「姉さまも、そこまで愚かではありません。それくらいも見抜けないのですかあなたは。」
樫緒はそう言って一呼吸おくとと更に続けていった。
「だいたい、あなたは思慮にかけます!姉さまが帰ってきたときにでもあなたがしっかりしていれば問題なく
解決していたはず!、あの気性の激しい姉さまが多少なりともあなたのいう事なら聞くからこそ黙認していましたが
これでは考えざるを・・・・・」
そこまで言った瞬間、樫緒はめまいを感じフラッと仰向けに倒れかけた、しかし、
「・・・大丈夫かい?樫緒くん・・・・」
鷲士の大きな腕で支えられていた。
「大丈夫です!これしきの事!貴方の手を借りなくとも・・・」
赤くした顔で言いながら 鷲士の腕をふりほどこうとした。
しかしその瞬間また眩暈をおこし倒れてしまった。
「・・・だ、大丈夫、これくらいの事で・・・あなたの・・・」
ふらふらになりながらもそう言って立とうとする樫緒を 鷲士はいきなり抱えあげると背中に背負ってしまった。
「な・なにをするのです!降ろしなさい!今すぐ!!」
ジタバタしながら喚く樫緒に
「・・・・樫緒くん、たまには父親らしい事をさせてくれないか?」
と 鷲士は言った。
その言葉を聞いた樫緒ははっとした顔で 鷲士の顔を見た。
動きが止まったのを感じて、改めて安定良いよう樫緒を背負いなおすと 鷲士はゆっくりとアパートの方へと歩き出した。
「・・・樫緒君を・・・おんぶするのは・・・初めてだね・・・・」
「・・・・・・」
「・・・赤ん坊のときからこうしてあげられれば良かったんだけど・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・ごめんね・・・・」
「・・・・父さん・・・重くないですか?・・・・・・」
「・・・重い訳ないよ・・・ゆうちゃんとの間の子供だもの・・・世界一大事な息子だもの・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
それを聞くと樫緒はそっと体重を 鷲士の背中に預けた。
・・・会うまではどれほど憎んでも憎みきれないと思ってた・・・
・・・会った後でも、なんて頼りない男だろうと思ってた・・・・
・・・・でも、この背中は・・・・大きくて暖かい・・・・・
・・・・母さまが父さまの背中が好きだったのも・・・解る気・・が・・・す・る・・・
「・・樫緒くん・・・もうすぐ着くよ・・・樫緒くん・・・?」
さっきまで返事があったはずなのに・・・と思い、ふと後ろを見るとそこには樫尾の
年相応のかわいらしい寝顔があった。
「・・・・ん、父さん・・・」
「・・・寝ちゃったんだね・・・」
鷲士は笑顔を浮かべると樫緒を起こさないようにと、慎重にアパートへと進んでいった。
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