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「もう一つの解呪」
written by hydra







ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 
     その瞳は、私を見ていなかった。
     ……これが、結末か。
     私が抱き続けた憎悪と怨嗟が行き着いた先が、これか。
     滑稽だった。
     私は笑った。
     泣けるほど、笑った。
     そして…怒りが込み上がる。
     許さない。
     まずは目だ。
     その次は耳。
     鼻。
     手。
     足。
     いっそのこと、脳だけにしてやるか?
     ダメだ。
     それでは、声が出せない。
     悲鳴が。
     泣き声が。
     命乞いの声が。
     少しずつ刻み、最後は首だけにしてやる。
     絶対に殺さない。
     殺してなどやるものか…
     次は、貴様の番だ。
     私は手を振り上げて―――…


     ……肉が肉を打つ音が響いた。
     何が起こったのか、一瞬分からなかった。
     私の脇をすり抜けた彼女が、奴を殴りつけている。
     何故?
     分からなかったが、ふと我に返って、彼女を止めにはいる。
     もみ合っている内に、奴は失禁しながら走り去ってしまった。
     何故こんな事を?
     そう問うと、アンタ、殺そうとしたでしょと、彼女は言った。
     そうだ。 何故? 憎いからだ。何度殺しても飽き足らない。 なら…


    どうして、止めたノ?

     そうだ。何故私は止めた?
     私の手で…いや、違う。
     分かっていた…本当は。
     あんな姿に落ちぶれた奴を見た瞬間に。
     私が知らない内に、復讐のためにと駆けずり回っていたうちに。
     とうの昔に全てが終わっていたことを。
     復讐など…何も生まない。今となっては空しいだけだ。
     それでも、憎み続けないと、壊れてしまいそうだったから。
     もう…それに意味がないと分かってしまった後でも。
     いや、だからこそ、恨み続けないと、今までの私が抱き続けた想い、痛み、憎悪
    ―――あるいは人生全て―――が無駄になってしまう気がしたから。
     感情…いや、妄執のままに振り下ろされようとした拳は、結局、振り下ろされることはなく。
     かわりに、彼女の拳が奴を打った。
     奴を打ったのが自分のものではなく、他人の拳だからこそ、私は…正気に返ることが出来たのだ。
     そこまで考えてやったのかと問うと、首を振って、彼女は答えた。



    ううン。
    ただ…貴女が人を殺すところは見たくなかったかラ。



     その結果、自分の手が汚れることは考えなかったのか? と問うと、彼女は、そんな事は全然考えなかったと答えた。
     やっぱり。
     この女は、馬鹿だ。
     こんな私のために、後先考えずに突っ走る大馬鹿だ。
     馬鹿らしい…深刻ぶっておいて、私の妄執などこんな大馬鹿の大馬鹿な行為で吹っ飛んでしまう、ちっぽけなものでしかなかったのだ!
     私は込み上げる衝動のままに、声をあげて笑った。
     いきなり笑い出した私に、彼女は怪訝そうな表情を浮かべた後、つられたように笑い始める。
     私達は、ただ、大声を上げて笑った。
     ともに笑い転げながら、ふと、私は思う。
     ひょっとしたら。
     彼女と出会い、そして私に微笑みかけたその時に。
     私の呪いは解けていたのかも知れない、と。





    「なに、そレ?」 
     私は、パタンとそれを閉じながら、問いかけてきたドーラに答えた。
    「ただの日記帳です」
    「…日記…?」
     訝しげに眉をひそめる彼女。
     確かに、ちょっとした百科事典ほどの厚みがある日記帳というのは規格外かも知れない。
    「何年分書く気なのヨ、アンタ?」
    「さあ? まあ、願掛けみたいなモノですし」
    「願掛け?」
     私が『呪い』を受けて900年…それでも、ここに書き込めることは…ほんの数ページに過ぎない。
     これからは、もっと多くのことを書き込んでいきたい。
     出来ることなら、楽しいことを多く書き込めることを願って…
    「一つ、聞いていいですか?」
    「ん? なに?」
    「何故、SURTを作ろうと思ったのですか?」
    「え? 何か…許しておけない奴とか野放しにしておけない奴らっているじゃなイ?」
    「なら、何故、死んでも直らないような奴にまで殺しを禁じるのです?」
    「なんか、後味悪いじゃなイ? 殺しっテ」
    「……驚きですね。貴女にそんな繊細な感覚があったとは」
    「……ちょっと引っ掛かる言い方だけど…私じゃなくテ。依頼人が、ヨ。誰がやったにせよ、自分の殺意で死なれると夢見が悪いでショ?」
    「………それで、恥ずかしい写真やボコられて泣いて謝っているビデオを撮って依頼主に渡しているのですか?」
    「まーネ。大体、納得してくれるし」
    「……退治した奴らがまた同じ事をしたら?」
    「何度でもぶちのめス!」
    「………本気ですね?」
    「うン。そーゆーのって、何か格好良くなイ?」
    「…………馬鹿ですね」
    「う゛。」
    「真顔で言っているところが、特に」
    「う〜〜〜…良いじゃない、私がどうしようト」
     そっぽを向いて、ブチブチ愚痴り始めたドーラに私は言った。
    「ダメです。私が気にします。危なっかしくって見てられません。だから…」
     私は、ドーラを見て、笑った。
    「ずっと、側にいてあげます」
     この命、尽きるまで。



    私の名は、アデリン=イベリア。
    だが…
    この名を名乗ることは、もう二度と無いだろう。
    私の名は―――――…


    FIN



 と、ゆーわけで。
 解呪改訂版です。
 解呪の変更点としては…ドーラの九頭竜修行の動機でしょうか?
 ドーラ→雪人の設定はこの頃なかったんですが…ついでに追加しておきました。
 二人がいつ頃、どんな出逢いをしたかは謎です(笑)
 あと、紗慧が吹っ切るところをちょこちょこっと追加。
 気に入って下されば幸いです。
 いやあ・・・それにしても手こずりました・・・何処に手こずったかは、ひ・み・つ♪





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付録














































【fin】









付録…について


 をを!
 良くお見つけになりましたね、お目が高い!
 って、そんな大した隠し方ではないのですが。
 こーゆーお遊びもタマには良いでしょ?
 ウォー○ーを探せ! レベル1(笑)
 それで、内容ですが…難産でした。
 紗慧と九龍さんのお話は考えてはいたんですが…盛り上がりがないから書かなかったんですね。
 で、某姓名判断で紗慧が旅行好きと出たのでそれを絡めて…で、こんな形になりました。
 個別に投稿しても良かったのですが…完成度がイマイチなので隠しイベントという形にしてみました。
 お待たせした分のサービスとゆー事で・・・ダメ?
 
*九龍さんについて
 九龍というのは、ブッチャけて言うと、九頭竜に対する『不破圓明流』です。
 つまり、牙・九龍さんは現役バリバリの殺し屋さんで、長である『九龍』の名とともに受け継がれた役割でもあるのですが。 
 まあ、ここではあんまり必要ではない設定ではないので、本文中では割愛させていただいております。
   この時4〜50才の筈ですが・・・対仙術とはいえ、仙術なら不老くらいはやるだろう、という訳で若い姿をしています。 
 ちなみに、あの格好は『出稼ぎ』先の梁氏の趣味だったりします(笑)
 そんなこんなで過去に色々あったせいで、彼女はかなりドライな性格で、発言もクール。
 復讐もまた良し、な事も言ってますが…まあ、それなりに悩んで苦しんで選択した道を他人がとやかく言う謂われはないと、まあそんな事です、彼女が言いたいのは。
 ドーラっちは逆ですね。
 いや、「復讐をやめろ」とは一言も言ってないんですが、「紗慧が人殺しをする所は見たくない」というエゴを押しつけているんですよね、ドーラは。
 ただ、ドーラは、「例え自分が人殺しになってもいい」くらいの勢いで行動している。
 だって、自分は安全地帯にいて「それは悪いことだ」なんて言っても説得力ないでしょ?
 他人の人生変えるんだったら、自分の人生変わるくらいの覚悟はしなきゃ、ね。
 まあ、彼女にしたら、良いか悪いかじゃなくて、理屈でもなくて、ただ、思いつくままに行動しているだけなんですが…

 閑話休題。

 つまり、何が言いたいかというと。
 紗慧を思いやりながらも、理解出来過ぎるから意志を尊重して何もしない(できない)九龍。
 紗慧が好きだから(よく考えずに)自分に出来ることをしようとして…結局、紗慧を変えてしまったドーラ。
 二人のそんなスタンスの違いを感じてくれたなら嬉しいです。
 あと、なんで九龍とか言うのが鷲士と同い年なの?
 とゆー方は本家FTIのgiftをクリックしてみて下さい。
 多分、色んな発見があると思います(笑)


*ルナリム&ドーラ、美緒
 ルナリムとドーラ&美緒の日常。
 そう言えば、ルナリムと美緒達が直接絡むのは初めてな気が・・・
 ルナリムは美緒達より3〜5才くらい年上なんですよね〜実際どーなんでしょ?
 多分仲が良いと思ったんでこうしてみましたが…どうでしょう?
 まあ、あくまでこれはhydra版なんで…


*〜お前らじゃものの役に立たんし
 悠くんの何気ない台詞です。
 そして、その後自爆します。
 …まあ、「オンナゴコロ」の分からない奴ですから(笑)
 ここで悠が言ったルナリムの行動についてなんですが・・・
 キミにもあるはずだ! 自堕落な夏休みを過ごしたことが! そのノリで(笑)
 ルナリムはパソコンを使えるか?、は・・・だって、ほら、悠に任せっきりの様な気がするし(笑)
 あと、美緒に言った「お前の胸に聞いてみろ」もドーラが邪魔しなければ「その小さな胸にな」と続いて美緒がブチ切れていたことでしょう…危ない危ない。
 いや、結末は大して変わってないか?(笑)
 まあ、ルナリムなら加減してくれるので全治3週間くらいで・・・(笑)


 いや〜ホントに難産でした、こいつ。
 何度か変更した、時間軸が多少前後するこの構成も正直不安だし、作業中に何故かwordはハングって何度かやり直したし(笑)波瀾万丈でした。
 いやあ、苦労しました。
 せめて、その苦労分は楽しんで頂ければ良いのですが…

 そうそう最後に・・・これらSSは、ドーラ&紗慧の物語であり・・・テーマは『笑顔』です。