DADDYFACE SideStories
「雨が降る日に・・・」
written by 大包子



「それじゃあ先に行ってるからね。遅れちゃ駄目だよ鷲士!」
「うんわかったよ、美貴ちゃん。それじゃあ後でね。」

そう言って鷲士は美貴の乗ったタクシ-を見送った。

「さてと、帰る途中で足りない料理の材料買わなきゃ・・・・」
鷲士は、ゆっくりと商店街の方に向かって歩き出した。
「・・・・今日は、美沙ちゃんの誕生日なんだから、ちゃんとお祝いしてあげないと・・・
でも喜んでくれるかなあ・・・・美貴ちゃんは絶対大丈夫って言ってたけども・・・・・・自信ないなあ」
気弱に笑いながら鷲士は右ポケットの中に手を伸ばした。
そこには昨日買いにいった黄色のリボンがきれいにラッピングされて入っていた。
「昨日急に美貴ちゃんから知らされて・・・お金無かったから・・・こんなのしか買えなかったけども
・・・・来年はもっといいもの買ってあげよう」
鷲士はそっと包みを触ると、やや歩調を速めて商店街の方に向かおうとしたそこに、

ポッ・・・・ポッ・・・・ポッ・・・・

少しずつ雨が降ってきた。

「・・・・ついてないなあ・・・・まあ、濡れても夏だから風邪ひかないけど・・・・」
そう言いながら急ぎ足で商店街の八百屋に入っていった。
「おう、にいちゃん今日は一人かい?」
店に入ると、店のオヤジさんが話し掛けてきた。
「ええ、今日はちょっと用事があるもんで・・・・オヤジさん、今日はなにかお勧めあります?」
「そうだなあ・・・・、今日は、野菜ならキャベツ、にんじん、キュウリ、ピーマン、果物なら・・・
・・・・・・・桃だなあ」
「桃ですか・・・・・」
鷲士はそう言いながら置いてある桃を見た。
そこには見事な大人の握りこぶしくらいある白桃が置いてあった。

・・・・・・桃か・・・・師匠の好物だったっけ・・・・・・

ふと、鷲士は頭を上げカレンダーの日付けを見た

鷲士は・・・・師匠の命日だったんだ・・・・今日・・・・

「すいません・・・ピーマンとキャベツ・・・それとそこの桃もらえますか?」
「おう毎度あり! もやしサービスしとくからな!!」
鷲士は品物を受け取ると店の軒先にでた。
まだ、外は雨が降っていた。

「・・・・・師匠が死んだのも・・・・こんな天気だったな・・・・」
鷲士は口元に寂しげな笑みを浮かべると雨の中を歩き出した。

「・・・・・・師匠・・・・・いい人だったな・・・・・」

そう言いながら鷲士は修行時代を思い出していた。

・・・最初、師匠は弟子入りを許してくれなかったっけ・・・。
でも、毎日通ってやっと見よう身真似で覚えて練習して・・・・・
それを師匠が見てて、弟子にしてくれたんだった・・・・・
でも、最初は基本技ばかりできつくって面白くなくって・・・
・・・・あんまり同じ事するから嫌になってきて・・・
・・・・で、2年位経ったときに・・・

「他の技も教えてくれって言ったんだよね・・・・・」

そう言って 鷲士は苦笑した。

・・・でも、その時師匠が微笑みながら
「それじゃあ、基本の右竜徹陣をこの石壁に打ってみなさい」
っていうもんだから、思い切って打ち込んだんだ。
でその時、壁にヒビが入ったからこれで、次の技教えてもらえると思ったら、
「なかなか、頑張ってるがまだまだ練習が足りん、足腰が硬い、
 目と手足の動きが一緒になってない。技習うのはまだ早い」
って言うと同時に石壁に僕よりゆっくり徹陣打ち込んでその瞬間に石壁が粉々に吹き飛んで・・・・
「わかったか、基本が一番大事だ。あせってはならない」
て言われたんだよな・・・・・。
師匠笑ってたなああの時は。

「本当は誰にも伝えるつもりは無かった」
「今の世の中にこのような技は必要ない・・・・」

ある程度して師匠がそう教えてくれたっけ・・・・
どうして、僕に教えてくれる気になったんですかって聞いたら

「・・・・お前は武の意味がわかると思ったからだ」

そう言ってお茶碗にご飯食べれないほど入れてくれたなあ・・・
「・・・・いつも食え食えって言うんだから・・体悪いんだから食えって・・・御陰で大きくなったけど・・」

鷲士の顔にかすかな笑みが浮かんだ。

でも・・・あの時――

「鷲士お兄ちゃんアリガトウ!」
中学生位の女の子が鷲士にそう言って頭を下げた
「・・・大丈夫だったか、怪我は無かったかい?」
「うん! 大丈夫だよ!! お兄ちゃんつおいんだねえ、ビックリしちゃった!」
女の子は頭をあげ、目をキラキラさせながら言った
「いやあ、それほどでもないよ・・・・・」
鷲士は照れながら
「また、何かあったら言うんだよ。お兄ちゃんが懲らしめてあげるから」
と言うと少女は
「うん! お兄ちゃん頼りにしてるね!!」
といって鷲士の右ホッペにキスして
「これは、お礼だよ―」
と顔を真っ赤にして去っていった。

「あの時、ようやく九頭竜も形になってきて、ちょうど同じ施設の子がいじめられたから・・・
・・・助けてあげて・・・・・やっと人を助けてあげれるようになれたと思ったんだ・・・・・でも・・・・」

・・・・・師匠に大目玉食らったんだよな・・・・・

「・・・・・鷲士聞いたぞ、同級生の不良に九頭竜を使ったそうだな・・・・・」
師匠はそう言いながら 鷲士の顔面に徹陣を入れた。
「・・・・でも、目の前で苦しんでいる子を助ける為だったんです!」
「・・・・お前が九頭竜を学んだ気持を考えれば分からんでもない・・・・しかし、単に力で相手を叩き
のめすならば、お前の目の前で「ゆうちゃん」を連れ去られた時にお前に暴力をふるった男たちと
同じではないのか・・・」
そう言うと師匠は悲しそうな目で鷲士をみた。
「・・・・武の意味を考えるがいい・・・・わかるまで出入り禁止じゃ・・・・」
鷲士はそのまま修行場からたたき出された。

「なんで、「ゆうちゃん」をさらったあんな奴らと一緒なんだ!」
てあの時は思ったけれども・・・・
「でも、同じだったんだよね・・・・力の差のものを言わせるだけなら同じだったんだ・・・・
・・・・結局相手を怪我させて・・・また恨みを買う・・・・同じだったんだ・・・・」

鷲士はゆっくり左拳を握り締めた。

「・・・・だから、僕は・・・・」

「ほらほら、この間の元気はどうしたんだよ!」
「お前がやったんだろ、え?」
「ちょうどいい! この間の分までやっちまえ!!」

鷲士を数人の男たちが囲んで袋叩きにしていた。
うつろな表情のまま鷲士は男たちに無抵抗に殴られていた。
しかし、そこに少女の悲鳴が響いた。
「何ヤッてんのよ! よってたかって!!」
そう言うと少女は鷲士と男たちの間に立ちふさがった。
その少女はこの間鷲士が助けた少女だった。

「なんだ、邪魔スンのか?」
「お前も、やっちまうぞ?」
「いいから、やっちまえ!女でも関係あるかい!」
男たちは少女の髪を持って引きずり、草むらに放り投げた
「さあて、それじゃあこの間の分のお礼もしてもらわないとなぁ・・・」
そう言いながら男たちはズボンのベルトを緩め始めた。

「・・・・なに?なにをするのよ・・・・?」
少女は怯えながら声をあげると
「・・・・・決まってんじゃねえか・・・・ナニをするんだよ・・・・」
男たちは下卑た表情を浮かべながら少女に襲い掛かった。
「いや-!、 鷲士兄ちゃん!!助けてー!いやあああああああ!!」
少女は大粒の涙を流しながら叫んだ。
「やめろ・・・・!僕はどうなってもいい・・・・その子に手をだすな・・・・!」
鷲士は咄嗟に男たちを突き飛ばし女の子の上に被さるとそう叫んだ。
「ケッおもしれえ・・・どれだけ我慢できるか試してやろうぜ、なあ!」
男たちはそう言って落ちている棒をひらうと鷲士の体を滅多打ちにしはじめた。


結局、女の子は助かったけども僕はぼろぼろにされて・・・・師匠のところに行ったら・・・・師匠黙って傷の手当てしてくれて・・

「・・・・・・・鷲士、よくわかったか・・・・力をぶつけるだけではキリが無い・・・しかし、よく我慢したの・・」

・・・悔しくて・・・悔しくて・・・・・涙がポロポロ出て・・・・でもその時・・・・・・

「武とは矛辺に止めると書く、相手の力、自分の力を止める為の技だ・・・・ぶつける物ではない・・・・」
「・・・・でも、それじゃあどうすれば良いんです! 闘う事も出来ない! 逃げれば攻撃される!!
結局どうしようもないじゃないですか!」
「お前は忘れ物をしている・・・何の為の左竜だ?」
「防御及びカウンタ―・・・」
「この馬鹿弟子が・・・・・・左竜は防御、しかし受け止めるだけではないぞ・・・流す、若しくは返す意
味もある・・・後お前には覚悟が足りん・・・・」
「流す・・・返す・・・・覚悟」
「そうじゃ・・・・後は考えてみい・・・・それと、最後にひとつ・・・・・」
「・・・・・・・・・なんでしょう」
「男が拳を振るっていいときはな・・・・・この戦いで自分の人生が終ろうとも悔いは無いという時、そ
して愛するものを守る時、信じたものを踏みにじられた時・・・・・その時は躊躇せず戦え、情けをかけ
るなら手をだすな、手を出すなら情けを残すな、いいな・・・・。」

「そう言って後で施設までおぶってくれたんだ・・・・」
鷲士は懐かしそうに呟いた。
・・・で、それから何日かたって・・・・

「また、あんたたち・・・・・」
少女は怯えた表情で男たちに言った

「もう、だ〜れも助けてくれるやつはいねえよ・・・」
「草刈ももうぼろぼろだしなあ」
「大人しく、夜までつきあってもらいましょうか〜」

男たちはそう言うと少女の右腕を掴んだ。
「い、嫌!」
少女は必死で離そうとするが、どうしようもなかった。
「さあ、一緒に・・・・・」
男達がそこまで言ったとき少女の右手を持っていた男が宙に待った。 

――九頭・右竜翔扇――

男は地面にたたきつけられるとのたうち回りながら少女の方を向いた。
「・・・・まだこりねえのか・・・こいつは・・・・・」
少女の目の前には学生服姿の 鷲士の姿があった。

「またぼろぼろにして欲しいのかこいつは・・・・・」
「いいから、もう殺しちまいな、なあ・・・・」
「・・・・・いいかもな・・・・おい・・・・・」
男達はそう言って目配せをすると懐からナイフをとりだし一斉に襲いかかろうとした。

しかしその瞬間―

男たちのナイフは一瞬で手元から無くなり、 鷲士の手元にあった。

「・・・・な、なんでだ、なんでナイフが・・・・・・」
「もう、いいでしょう、これで手を引いていただけませんか」


鷲士はそう言いながらゆっくりと眼鏡を外した。

「ナニ馬鹿な事言ってやがる・・・・・」
「そうだぜ、さっさとその子を置いてかえんな・・・・・」
男たちはナイフがなぜ鷲士の手元にあるか不思議に思いながらも、 鷲士にそう言って間合いを詰めた。

「・・・・・貴方たちがこれで引いていただけるなら・・・・もう今までの事は忘れます・・・」
鷲士は手にしたナイフを二つにへし折った。
「・・・・でも、もし手を引いていただけないなら・・・・・・」

次の瞬間

――九頭・右竜徹陣――

鷲士の右腕がコンクリート製の壁に肘までめりこんだ。

「・・・・・・・・・・!」

男達全員の顔が青ざめた。
「・・・・・・・・・覚悟を決めてください」
鷲士はそう言いながら男達を静かに見つめた。
その静かな瞳から放たれたものを見て男たちは震え上がった。
それは何者にも屈しない強大な・・・・

――意思――

「・・・・・チッなんか興ざめしたぜ、なあ!」
「お・・・おぉ・・・帰るぞ・・・・おい・・・・」
「あ、ああ・・・・・」
男たちはそう言いながら慌てて鷲士の前から去っていった。

「・・・・・ふう、なんとかうまくいったみたいだ・・・・・・」
「鷲士兄ちゃん・・・手大丈夫?ごめんね私の為に・・・・」
少女は泣きながらそう言うと引き抜かれた鷲士の右腕をそっと両手で包んだ。
「だ、大丈夫だよ・・・・・全然・・・・・」
鷲士は慌ててそう言いながら少女の頭を左手で撫でた。

・・・・僕は、何にも出来ない・・・・でも、目に映る人だけは・・・大好きな人たちは守りたいと思う、その
為ならいくらでも僕は傷ついてもいいと思ってる・・・・そしてそのために振るう拳なら・・・・
・・・・・もう迷わない。

そう思いながら鷲士は少女が泣き止むまで少女の頭を撫でつづけた。

「ふむ、まずまずじゃの・・・・直接力を振るわずともなんとでもなるし、最後に物を言うのは強い意
思じゃからの、しかし如何せん、女の子の扱いをわかっておらん! まだまだ修行がたりんの・・・・。
さて弟子のお礼をせねばな・・・・」
そういいながら、満足そうな笑みを浮かべ師匠は闇に消えていった。

・・・あれから結局いじめも無くなって・・・・まあ、リ―ダ―たちが全治6ヶ月の大怪我にあったというのもあるけども・・・・
うまく落ち着いて・・・・・師匠、たった一言、
「よくやったな鷲士」
て褒めてくれて・・・・嬉しかったなあ・・・・でも、それから一年ほど経った日に・・・・師匠血を吐いて・・
・・・倒れたんだ・・・・・・・・・・病名は・・・・・・・癌だった・・・・・。

鷲士の顔を雨が濡らした――

「師匠! 大丈夫ですか!! 師匠!!」
「・・・・うるさいのう、聞こえておるわい・・・・なんじゃいったい大仰に騒ぎおって・・・ココは病室じゃぞ」
「・・・師匠このまま入院してください!!この前の検査結果、師匠の体、相当悪いみたいじゃないですか!!」
「・・・・・わかっておったよ・・・・・癌じゃろ?」

そう言いながら師匠はニッコリ笑った。
「いかに九頭竜といえども病には勝てん・・・・まあ、痛みが遮断できるのと動かなくなった臓器を助けてやれるのが強みかの」
「・・・・いつから知ってたんですか・・・・・」
鷲士は青い顔をしながら師匠に聞いた。
「・・・・・お前と出会った頃かのう・・・・」
「そんな! そんな前からわかってたんならもっと早くに・・・・・」
「もう、手遅れじゃった・・・・」

そう言いながら師匠は鷲士の頭に手を置いて愛しげに撫でた。

「ワシはあの時、死に場所を探しておった・・・子も無く・・・・技も伝える事も無く死ぬのかと・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「しかし、あの時お前が来た、最初はまた強さに引かれただけの欲につられた馬鹿な者が来たとおもった・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「じゃが、お前は違った、己の為より他人のために使うために強さを求めてきた・・・じゃからお前に
この九頭竜を伝えようと思ったんじゃよ・・・・・・九頭竜は強大な力じゃ・・・邪なものが使えば災いを招
く・・・・・じゃが、お前なら、他人の為に、大好きな人を守る為に学ぶお前なら大丈夫だと思って・・・
・・・九頭竜を伝えたんじゃよ・・・・」
「でも・・・・・・・」
「わかっておる、ゆうちゃんを取り戻す為じゃろう? しかしお前はいつも悪い体を引きずりながら
小さい子を庇っておった・・・お前は優しい子だ・・・・もうワシは悔いは無いよ・・・・」
「・・・・・まだ僕は・・・・・学び終わってません・・・・・・・・・・・」

鷲士は大粒の涙を流しながら言った。

「・・・・・・大丈夫じゃ、もうお前にはワシの知っておる全ての事を伝えた・・・・後はお前が練ればいい・・・・」
そう言いながら師匠は懐からハンカチを取り出した。
「・・・・・ほれ、無くでない馬鹿者が・・・・・男の癖にべそをかくでない・・・・・ほれ・・・・」
師匠はそう言いながら鷲士の涙を拭ってやった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・師匠!」

鷲士の目からは止め処も無く涙が溢れていた・・・・・・。

「・・・・それから半年ほどして・・・・師匠は逝ってしまったけども・・・・」
鷲士はアパートの近所の道をゆっくり歩きながらその時の様子を思い出していた。

「・・・・・師匠・・・・・」
「泣くでないといっておるじゃろうが・・・・」
病院の一室で今まさに、命の炎が消えようとしていた。
鷲士は師匠の手を取ると
「・・・・師匠・・・・・」
とまた呟いた。
「・・・・・最後まで仕方ないやつじゃのう・・・・・」
師匠は笑いながら 鷲士の手をかすかに握り締め
「鷲士、お前の探している子を見る事は出来ない様じゃが・・・・・お前が好きな子じゃ・・・必ずいい子に育
ってるじゃろう・・・その子を見つけたら・・・・幸せになるんじゃぞ・・・・・」

――そして師匠は静かに微笑んで逝った――――

  ――外には雨が降っていた――

「あー、鷲士くんおっそ−い!」
アパートの玄関から美沙の元気な声が聞こえた。
「まったく、ナニをぐずぐずしてるんだ! こっちはもう準備できてるんだぞ!」
美貴の不機嫌そうな声が響く。
「・・・・・まったく、しょうがないですね父さんは・・・・」
樫緒の相変わらずな言葉が鷲士の耳に響いた。
「・・・・・・・・・・・・・」

・・・・結局ゆうちゃんとは会えなかったけども・・・・・でも美沙ちゃんがいて・・・・樫緒くんがいて
・・・・美貴ちゃんや仲間たちがいて・・・だから、僕は今幸せなんだと思います・・・・・僕はこの幸せを・・
・・・ささやかな幸せを・・・・守って・・・・いきます・・・・かならず!

鷲士は玄関まで上がると笑みを浮かべ美沙たちに思いの全てを込めて

「ただいま!」

と言った。

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

その鷲士の笑みと声を聞いた瞬間、3人とも固まった。

(・・・・・・鷲士くん、やだ、どうしたのなんかドキドキする・・・・)
(・・・・・・しゅ−くん・・・ああ、なんていい顔で笑うんだ君は!)
(・・・・父さんのあんな顔みるのは初めてですが・・・なんですか、この胸の温かさは・・・・)

「・・・・どうしたの、みんな・・・・」
鷲士はそう言いながら3人の顔を覗き込んだ。
その瞬間――

「「「!!!!!!!!!!」」」

一斉に顔を真っ赤にしながら3人は鷲士の腕をつかんだ。

「・・・な・・なんでもないわよ! さあ、きょうは騒ぐんだからねえ、覚悟してよ〜」
「・・・・詮索するなんて男らしくないぞ鷲士! さあ、さっさと奥にいこう!」
「・・・・なんでもないんです! さあ! 姉さんたちが待ってます。早くいきましょう!」
3人はそう言うと鷲士の腕を掴んだまま奥の部屋に引っ張っていった。

「ちょっと、まだ準備が・・・・・・・」
そう言いながらも鷲士は

・・・・・これでいいんですよね・・・・・

と思った。

(・・・・・・・・・・・・・・・良いに決まってるじゃろうが、馬鹿弟子が・・・・・・・・・・・)

「えっ?」
「どうしたの鷲士くん?」
「どうしたの鷲士?」
「どうしたんですか、父さん?」

鷲士は笑みをうかべて
「・・・・・・・・・・・・・いや、なんでもないよ。じゃあパ―ティ―を始めようか。」

そういいながら廊下のドアを閉めた。

・・・・・・・ありがとうございました・・・・・・師匠・・・・・・・。


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