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第十六章 師匠再び(笑)
「ミュージアム!?」
その場に居る全員が思い当たった時、既に鷲士は先ほどの裏通りに向って走り出していた。
「あ!ちょっと、待ってよ!!」
突然、走り出した鷲士を追いかけ、美沙達は後を追う。
先ほど鷲士が見た裏通りは、車が止まった場所から10数mほど離れた建物の間の路地から見えた物だった。
「ここだ!」
路地の前に到着した鷲士、そして後から来た者達も追いついた。
「鷲士君!ここなの?」
追いついた美沙が問う。
「確かここだったと思う」
その時、鷲士達の耳に路地の先、裏通りからの声が聞える―しかも、何故か日本語だ。
「爺さん、死にたく無かったら大人しくその古文書を渡してもらおうか?」
「逃げ様なんて考えるんじゃないぜ!?」
複数の男の声が聞える。
「ううぅ…いたいけな年寄りを脅すなど、天罰が下るぞ」
男達に囲まれているらしい、お年寄りの声が聞こえた。
「大変だ、お爺さんが襲われている!助けなきゃ!?」
そう言って、鷲士は路地に飛び込む。
「爺さん、どうやら一発食らわなきゃ分らない様だな」
裏通りから聞える男の声が危険な響きを帯びてくる。
事態が切迫している事を感じ、美沙と冴葉が銃を取りだし鷲士の後を追う。
だが、鷲士が路地を抜けた時、意外な光景が目に映る。
「「うわあああああ!!」」
鷲士が裏通りに出た時、襲っていたらしい男達が宙に舞っていた。
その光景に、美沙や冴葉それに樫緒は驚いた。
男達は優に10Mは投げ上げられ、そして地面に叩きつけられた。
その光景に鷲士達が唖然としていると、裏通りの中央に立つ初老の老人がため息を付く。
「ふぅ、だから言ったじゃろう?天罰がくだると」
老人は鷲士達に気付き、振り返った。
「お師匠!?」
「ああ〜!エロ・ジジィ!?」
老人の顔を見て鷲士達は驚いた、それはかつて鷲士に九頭竜を教えた師匠―鈴木哲郎であった。
(異伝 力を継ぐ者)
「おお!?久しぶりじゃのう鷲士、それにお嬢ちゃん達も」
人懐っこそうな笑顔を浮かべ、老人―鈴木哲郎は鷲士達の元へ近付いてくる。
「お師匠」
嬉しそうに鷲士は鈴木に近付いて行く。
だが、美沙と冴葉は鈴木の行動を警戒している。
無理も無い。以前、美沙と冴葉は鈴木の"洗礼"を受けたのである。
「しかしお嬢ちゃん、エロ・ジジィは無いじゃろう?」
美沙の毒舌を笑いながら受流し、鈴木は美沙に笑い掛ける。
どうやら、美沙は鈴木にお尻を触られた事をまだ根に持っている様だ。
「皆さ〜ん、どうなりましたか?」
その時、後れて来たメリッサ達が、のほほ〜んとした声と共にやって来た。
まずい 美沙と冴葉はそう思った。
案の定、鈴木はメリッサの方に近付く。
「おお、これはえらい別嬪さんじゃのう。」
鈴木のセクハラ攻撃を予測して、美沙と冴葉は何処からとも無くハリセン―吹っ飛べ君 バージョン1.25(何故、小数点?)を取りだし、備える。
だが、その心配は杞憂に終わった。
「あら?」
近付いてくる鈴木にメリッサが気付き、顔を向けた時、鈴木は急に立ち止まった。
「………」
長い沈黙が、辺りを包む。
鈴木の不審な態度に、美沙と冴葉は何事かと鈴木を見やる。
そこには、額から汗をダラダラと流した鈴木の姿が在った。
「お久しぶりですね〜」
鈴木の姿を見て、メリッサは懐かしそうに微笑む。
だが鈴木は脂汗を流しながら、突然、鷲士に向って話掛ける。
「をを!?そうじゃ、儂は長旅で疲れておる!積もる話は宿屋に行ってからにしよう!!」
「え?ち、ちょっと!?お師匠、どうしたんですか?」
そう言って鈴木は、事態が飲み込めていない鷲士を、半ば引きずる様にして路地へと向う。
後には、取り残された美沙と冴葉と樫緒それに美貴とメリッサが半ば呆然としていた。
「どうしたんだろう?」
「さあ?」
吹っ飛べ君を手に持ったまま、美沙と冴葉は鈴木の態度の変化に戸惑う。
普段ならメリッサに対し、セクハラ攻撃を仕掛けているはずだ。
だが、鈴木はメリッサの前では、蛇に睨まれた蛙の様だった。
「ねえ、美沙?あのお爺さんって、もしかして…・」
美沙達の話に割って入る形で、美貴は鈴木の事を尋ねる。
「そう、あのエロ・ジジィは鷲士君の師匠で、鈴木哲郎って言うんだよ・…そうか!美貴ちゃんって子供の頃に会ってるんだよね!?山で鷲士君を助けてくれたのが、あのお爺ちゃんだったのよね?」
山で怪我をした鷲士を助けて、病院まで運んだのが九頭竜の師匠―鈴木哲郎ならば当然、美貴とは子供の時に面識がある筈。
「どうしょう!?あのお爺さんから、しゅーくんに私の事がバレたら・・…」
青い顔を通り越し、顔面蒼白になった美貴は、どうしょう、どうしょう、とブツブツ言っていた。
若き母親のオロオロした態度に、美沙と樫緒は"またか"と言った表情で美貴を見る。
だが、助け船は意外な人物からもたらされた。
「大丈夫だと思うわ、哲郎は昔から面白がりだから。多分、面白がって喋らないと思うわ」
「本当!?メリッサさん!!!」
話の内容は兎も角、美貴は自分の事が鷲士にバレないと言う言葉に、メリッサにすがりつく様にして何度も、何度も問いただす。
その少々情けない構図を見ながら、美沙は。
「ねえメリッサさん、もしかしてあのエロ・ジジィを知っているの?」
無茶苦茶言っている美沙の言葉にメリッサは。
「そうね、美沙ちゃんには話したでしょう?昔、世界一周遺跡巡りをしたって。その時のメンバーが私と妹のクリス、そして哲郎とアルモスだったの」
「え!ジジィだけじゃなく、アルモスまで!?」
意外な言葉に美沙はその光景を想像した…・。
(それって、世界一周暴れ旅じゃないのかしら・・…)
第十七章 古文書
裏通りでのゴタゴタの後、鷲士達は鈴木を加えホテル・ラス・ドゥーナスへと向った。
鷲士達の車に同乗する事を強く希望する鈴木を乗せ。
ホテルに着き、軽い昼食をとった後、FTIの一行は美沙が宿泊する部屋に集まった。
「と言う訳なんです」
事情の判らない鈴木に鷲士は事情を掻い摘んで話していた。
「成る程。つまり、プレートとやらは八頭のボウズに取られた訳じゃ」
「お師匠!彼の事を知っているのですか!?」
「お爺ちゃん!アイツの事、知ってんの!?」
鈴木の何気ない言葉に、鷲士と美沙を始め其処に居る全員が驚く。
「あの"宝捜し"とは、先々代の八頭の当主の頃から知っておる」
鈴木の言葉に、樫緒は片眉を上げ。
「成る程、確か貴方は言いましたね。九頭竜は、この世の災いを屠る拳と(異伝 力を継ぐ者)つまり、先祖代々の宝捜しである八頭とは、遺跡を巡り、争った事が有ると?」
と訊く。その言葉に鈴木は底冷えのする様な笑みをたたえ。
「ああ、八頭とは何度もやり合った事がある。中々手強い相手じゃ」
鈴木の凄まじき闘気に、其処に居る全ての者が圧迫感を感じる。
普段は好々爺を気取っているが、本来は鬼神とまで呼ばれた男なのである。
「それで貴方は結局、何の為にナスカに来たの?」
樫緒ですら圧迫感を覚える雰囲気の中、只一人メリッサは平然とした顔で鈴木に問い掛ける。
その言葉に、鈴木から放たれる圧迫感が薄れる。
己の闘気が漏れている事に気が付いたのだろう。
「実はの。先日、アルモスの奴からある古文書を解読してくれと頼まれておっての」
そう言って、鈴木は持っていた古ぼけた旅行カバンを開き、中から一冊の茶色になった書物を取り出す。
「これがアルモスから預かった古文書じゃ」
テーブルの上に置かれた一冊の書物、そこには記号の様な文字が記されていた。
「これは、神代文字ですね」
文字を見ていた冴葉はそう呟く。
「神代文字?」
初めて訊くらしく、鷲士はそう訊ねる。
「神代文字って言うのはね、伊勢神宮などに残っている漢字渡来以前の文字の事を言うのよ」
鷲士の疑問に美沙はそう答える、流石この歳で世界を又に掛けるトレジャー・ハンターだけの事はある。
「竹内文書や九鬼文書、物部文書なんて物が上げられるわね。まあ、聖徳太子が古代の日本史を書き換えた、なんて言う九鬼文書や、富士には高天原が有り、富士山麓が世界の中心だったなんて言う竹内文書や宮下文書は、今の学会が認めていないけどね」
そう言って、エッヘン とする子猫様。
そちらの話に疎い鷲士と美貴は、ただただ首を振るしか出来なかった。
「まあ、頭の堅い学者達には信じられない話なんでしょうけど、裏の世界では意外に信じられているわ」
「嬢ちゃん、そろそろ古文書の説明を始めていいかの?」
己が言葉に酔い熱弁を振るう美沙に、鈴木は冷たい視線を投げ掛ける。
「え……良いわよ♪」
我に返り、鈴木に説明を促す子猫様。
右手がテーブルの下にあった、吹っ飛べ君バージョン1.25を握り緊めていたのは言うまでもない。
「この古文書は知人に解読してもらってんじゃが、内容は竜脈を制御する四つの遺跡に付いての事じゃったんじゃ」
「「それって!?」」
鈴木の言葉に、美沙とメリッサが驚く。
無理も無い、大に奪われたプレートには竜脈を操る四つの遺跡に付いて書かれているとメリッサが言っていたのだから。
「この古文書には遥かな古代、"世界中の文明の動力源として竜脈をもちいてきた"と書かれておる」
「竜脈を!?」
鈴木の言葉に鷲士は驚いた。
地球の生命疎の物とも言える竜脈を制御するなど、余りに馬鹿げている話だと思ったのだ。
「そこには南極の本体を中心に、北南アメリカ大陸に一つ、アジア大陸に一つ、太平洋に一つ大西洋に一つ、それぞれ陸と海に二つづつ竜脈を操る端末の様な物があると言う」
鈴木の言葉に、其処に居る全員が言葉を失う。
「そんな途方も無い話を信じろと?」
美沙の声が震えに霞む。
その話が真実だとしたら、来訪者の文明の根幹に位置する遺跡である。
「さあな?こればかりは行って見なければ判らん、ナスカの地上絵に」
「地上絵!?」
意外な言葉であった。
ナスカの地上絵――リマから444kmほどの乾燥地帯に栄えたナスカ文化(紀元100〜800年頃)の人々が1000平方kmにも及ぶ砂漠に描いた物だ、小さいものは20mから、大きいものは300mもあり、人間・ハチドリ・猿・蜘蛛など大小様々な絵が描かれている、また数キロにも及ぶ巨大な直線や幾何学的な模様などが描かれていて、これらの図形のほとんどは、高度300m以上でなければ見る事が出来ないほど巨大なのだ。
「鷲士よ、お前なら判るはずじゃ。最近、竜脈の流れが滞っておる事を」
その言葉に鷲士はペルーに来てからの妙な違和感を思い出した。
「そう言えば、このペルーに近付くにつれ妙な違和感を感じていましたが・…」
その言葉に、美沙達の視線が鷲士に集まる。
その言葉を受け、鈴木は話を進める。
「最近の異常気象、南米の近海にて度々起こるエルニーニョ現象(海水の温度が上昇する)には原因がある、それがナスカの地上絵じゃ」
鈴木の言葉に、美沙は少々呆れた顔をして。
「は〜?何馬鹿な事をいってんの!!どうやって地上絵がそんな芸当を出来るって言うのよ!?」
だが鈴木は呆れる美沙を静かに見て。
「あれは影じゃ」
そう一言だけ言った。
「影?」
「そうじゃ、古文書にはこう有る『生命の流れを操る物、揺らぎし彼方にあり』と」
「揺らぎし彼方にあり・…」
鈴木の言葉を美沙は反芻する。
揺らぎし彼方、つまりこの世では無い場所。
「既にアルモスは地上絵のある場所に向っておる」
その言葉に、考えていた美沙が顔を上げる。
「アイツが〜!?」
美沙は絶叫を上げる。ハリセンで殴れられた事を、まだ根に持っているようだ。
第十八章 愚者の宴
広大な砂漠地帯に広がる幾何学的な模様。
余りの巨大さゆえに、飛行機が発明されるまで誰も気が付かなかったのだ。
1927年にペルーの航空測量班によって発見されたと言う。
その砂漠の中に一人の男が立っていた。
『地下に金属反応は有りません』
男は地面に向けた腕時計から調査報告を受けていた。
「くそ!入り口は何処に有るんだよ!?」
地面に向け悪態を吐く男、八頭大であった。
彼が持つ高級腕時計は音波センサーや三次元レーダーを内蔵し、自家製の通信衛星を使用したレーザー通信機やマイクロ盗聴機にもなる特別製だった。
「プレートにはここ等辺に入り口が有ると書いてあったんだがな〜」
そうボヤキながら八頭大は辺りを見まわす。
広大な砂漠を見ながら、八頭は解析したプレートの言葉を思い出す…莫大な金額を投資した人類文学研究所の成果だった。
(このナスカの何処かに遺跡への入り口が、彼方への門が有るはずなんだが・…)
八頭は、自分の足元に広がっているはずのコンドルの絵を思い浮べながら、空を仰ぐ。
その時、大の腕時計が警告を出してきた。
『半径、三キロ圏内に五台の車両を確認。車両内に高熱源体を確認、数、一両に付き六機』
だが、八頭は既にその事に気が付いていた。
彼は世界を駆け巡りながら、あらゆる武術やヨガの秘術などと言ったトレジャー・ハントに役立ちそうな物を身に付けていった。
そして八頭の先祖代々から培われてきた生存本能に基づく超感覚が、悪意の接近を知らせていた。
「お客さんのお出ましか」
八頭はそう呟くと、E−グローブを装着し、腕時計に向って幾つかの指示を出した後、近くに止めていたジープに向い後部座席に置いてあった武器を取り出す。
磁気コイル自動銃――MCRを取り出す。
全長150センチ、重さ五・五キロもある大型だが相手は恐らく機械化部隊。
弾丸は特殊金属でできた直径五センチ、厚さ五ミリの円盤、それが六百枚入った弾倉を五本入りのパウチをベルトに引っ掛ける。
こいつが本領を発揮すれば機械化兵と言えども物の数ではない。
そして腰には、スターム・ルガーのMK1 22口径を差込む。
こいつの弾丸は特別製で、弾頭部に超高性能火薬が仕込まれており、標的の体内に潜り込み内部で爆発する。
そうして戦闘準備が整った頃、八頭を取り巻く様に五台のジープが停止した。
「久しぶりだな、ミスター八頭」
ジェイムス・ゲイルマンと名乗った男が、嘲りを込めた声で言ってきた。
五台のジープにはそれぞれ六人の機械化兵が乗っている――総勢、三十名。
機械化兵はジープから降り、八頭を包囲する様に輪を描く。
「まだ生きていたのか、ブリキの大将?」
絶望的な状況の中、八頭は怯みもせずにゲイルマンに悪態を吐く。
三十人もの機械化兵に囲まれる八頭、せめてもの救いは敵が自動小銃を持っていない事だ。
己が体に絶対の自信を持っているのだろう、もっとも鷲士には敵わなかったが。
「この状況が判らないのかね?君は我々の包囲下に在るのだよ、君を生かすも殺すも我々次第と言う事だ」
「そりゃ難儀なこって」
勝ち誇るゲイルマンに向けて軽口を叩きながらも、八頭は油断無く敵を見据えていた。
「君が、大人しくプレートを渡せば良し、さもなくば・……」
だが、ゲイルマンは最後まで言えなかった。
突然、ゲイルマンの足元が激しく揺れ、その巨体は空高く舞い上がった。
「な!?」
凄まじい地響きを立て、ゲイルマンが地面に叩き付けられる。
何が起きたのか?機械化兵の間に一瞬の戸惑いが沸き起こる。
その隙を見逃す八頭では無かった、腰溜に構えたMCRのレール状の銃身から凄まじい衝撃波が放たれる。
MCRの磁気強度と加速度を最強レベルにすれば、円盤はマッハ30まで加速する。
余りのの速度に衝撃のみを残し円盤はガス化してしまう、その衝撃波は関東大震災クラスであり、その衝撃を相手に叩き込む。
軌道上にいた機械化兵は粉々になって吹っ飛ぶ。
「くぞ!殺せ!!」
頭を振りながら立ち上がったゲイルマンは怒りに燃えた目で八頭を睨みすえる。
その命令に機械化兵はチタン・ブレードを振り上げて大に襲いかかる。
四方八方から切りかかる機械化兵、だがその全ての斬撃を大は易々とかわす。
かつてインドの古寺にて齢250歳の老僧よりヨガの秘術を伝授され、相手の気―オーラを読み取り、殺気の流れを読み取る方法を教えられた。
襲い来る機械化兵の殺気を感じ、そのオーラと空気の流れを読み取り敵の間を擦り抜ける。
「くそ!卑しいサルの分際で!!」
その光景を見たゲイルマンが歯噛みしているのを見て、八頭は嘲笑を投げ掛ける。
「肉体を幾ら強化しようと、中身がついて来れなければ只のブリキの玩具でしかないぜ!?」
そう言って八頭は、チタン・ブレードを振りかぶる機械化兵に向け"ジルカ"一の法を使い機械化兵を10Mは吹き飛ばす。
「ほらな?」
"ジルカ"
かつて、八頭大が14歳の頃、マニラ近郊で時価一兆円のダイヤモンドを巡って、ある秘密宗教団体の一人と激しく戦った事が在った。
その男は凄まじい技を使い大を追い詰める、一撃一撃が正に必殺の気がこもっていた。
満身創痍の八頭が流派の名を尋ねると、男は勝ち誇った顔で"ジルカ"と答えた。
そして八頭は、その男との戦いで食らった"ジルカ"を知らずに学び取り、その"ジルカ"の技を使い敵を倒したのだった。
先ほどゲイルマンに仕掛けたのは、ジルカの足踏系(チャンピ) 三の一九七 『自足厳地』(じそくげんち)、任意の地面を振動させる技である。
機械化兵の放電装置が放出する高圧電流をかわし、MCRを発射する。
衝撃波を食らい粉々になる機械化兵を尻目に、八頭は近くに居る機械化兵に肉薄する。
―ジルカ殴打系一の 九七二 遠鬼脚―
八頭の蹴りを食らい、機械化兵は10mは軽く吹き飛ぶ。
「クソ!調子に乗りやがって」
次々と機械化兵が倒されるのを見て、ゲイルマンは左腕に装備されてる荷電粒子砲を起動する。
来訪者の遺跡より出土した、小型の核融合炉を使って放たれる荷電粒子砲は余りに高出力な為、八頭大はおろか周りの機械化兵すら捲き込む程の威力を持つ。
だが、そんな事も判らない程、ゲイルマンは狂気に駆られていた。
「死ねえええええええ!!!!」
荷電粒子砲の砲口から光が溢れ出す。
だがその光が放たれる前にゲイルマンは突然、飛来したミサイルの爆発で吹き飛ばされる。
「な?」
ゲイルマンが吹き飛ばされるのを見て、八頭はミサイルの来た方向を見る。
物凄い勢いでジープが近付いてくる。
しかも、そのジープのハンドルに足を掛け、ミサイル・ランチャーを構えた男が立っていた。
どうやら、その足で器用にジープを運転しながらミサイルを撃ち込んだみたいだ。
東洋人だろう、まだ歳は若い、六連装のミサイル・ランチャーを軽々と持ち、男を乗せたジープは、そのままゲイルマンに向かい、突っ込んでくる。
「…一体何が?……!!う、うををおおおおおおおおお!!?」
頭を振りながら、何とか立ち上がったゲイルマンの目に猛スピードで突っ込んでくるジープが写る。
ジープはそのままゲイルマンを跳ね飛ばし、エンジン部分が大破する。
次の瞬間、ジープは爆発する。
炎に包まれ、黒煙を上げるジープの側に一人の男が立っていた。
(何者だ?あのおっさんを吹き飛ばしたのはアイツみたいだが)
恐らく、激突の前にジープから飛び降りたのだろう。
突然の乱入者に、八頭は疑問の視線を投げ掛ける。
機械化兵もまた指揮官たるゲイルマンを吹き飛ばした突然の乱入者に戸惑いの色を隠せない。
油断無く八頭はその男を観察する。
十代後半だろう、えらく筋肉質な体をスーツで包み、不敵な笑顔を湛えている。
「米軍も相変らず、せこい事をやっているな?」
ミサイル・ランチャーを放り投げ、男は無造作に機械化兵達に近付いていく。
突然の乱入者に機械化兵達が警戒する、だが男は無人の野を行くが如く平然としている。
「ん・…一体何が・・…!!貴様は!?」
ジープに跳ね飛ばされたゲイルマンが頭を振りながら何とか立ち上がる、そこで近付いてくる男に気付き、驚愕の声を上げる。
「貴様は、スプリガン!?御神苗優!!」
第十九章 強者達の邂逅
爆風に飛ばされたゲイルマンは、何とか身を起こしてミサイルの飛んできた方向を見た。
そこには、一人の東洋人の男がランチャーを構え立っていた。
「貴様は、スプリガン!?御神苗優!!」
その男の顔を見たゲイルマンは、驚愕した。
ランチャーを構えている男こそ、超古代の危険な遺跡を発掘、封印しているアーカム考古学研究所の特殊工作員――通称スプリガンの御神苗優であった。
オリハルコン製の筋力強化型AMスーツを着用し、裏の世界でブラック・リストの上位をキープする機械化部隊の天敵とも言える男である。
その御神苗優が、何故ここに?
突然の乱入者に驚いたのは機械化小隊だけでは無かった。
(アイツは確か、スプリガン…)
八頭大もまた驚いていた。幾ら戦闘中だったとは言え、ミサイルを撃って来るまで何の気配も感じなかったのだ。
スプリガンの御神苗優、その男の事は八頭も知っていた。
アーカムの工作員として世界中で活躍するS級エージェント、奴は今まででも各国の軍部と遺跡の争奪戦をやって来たと聞いている。
つまり機械化部隊の敵である訳だ。もっとも、敵の敵が味方とは言えないが。
油断無く状況を観察しながら、八頭は御神苗優が何故ここに来たのか考える。
(愚問だな。ここに竜脈を操る遺跡が有るなら封印に来た、そう言う事だろう)
先祖代々の宝捜しである八頭は、過去にもアーカムと争奪戦をやった事が有った。
幸か不幸か、御神苗とはこれが初めての出会いと言う事になる。
「よお!アンタ御神苗だよな?」
八頭は御神苗に呼びかけてみる。
「ああ、そう言うアンタは八頭大だよな?」
八頭の呼びかけに御神苗優はそう答える。
彼もまた知っているのだ、ITHAのトリプルG――八頭大の名を。
二人はお互いを警戒しながら、油断無く観察する。
だが、その光景を見ていたゲイルマンは二人が仲間であると誤解した。
「クソ、そう言う事か!殺せ、二人共生かして帰すな!!」
ゲイルマンの号令の下、機械化兵は八頭と御神苗に襲いかかる。
チタン・ブレードの刃は鈍い光を放ちながら八頭に迫ってくる。
だが、八頭は数人の機械化兵の振り下ろす掻い潜り一人の機械化兵の後ろに張り付く。
そして、近くにいた機械化兵をチタン・ブレードが袈裟切りにする。
「!?」
終始無言だった機械化兵の間に動揺が走る。無理も無い、八頭に張りつかれた機械化兵のチタン・ブレードが仲間をたたっ斬ったのだから。
―ジルカの傀儡(ホアン)系他力跳 九の17 ―
相手の身体能力を使って攻撃をするジルカの技だ。相手に張りついた時、ヨガの秘術を使い機械化兵の体の自由を奪い、右腕のチタン・ブレードで攻撃したのだ。
左手にはMCRを持っている為、相手の左腕は使えないが弾除けにもなる。
周りにいる機械化兵をチタン・ブレードでたたっ斬りながら、八頭は戦場を移動する。
行く手を阻もうとする機械化兵を傀儡の廻し蹴りが吹き飛ばす――勿論、八頭の仕業だ。
行く手を阻む邪魔者を吹き飛ばし、なおも前進しようとした八頭は突然、傀儡から離れる。
周りを取り囲んだ機械化兵が左腕の放電装置で攻撃を仕掛けたのだ。
黒焦げになる機械化兵を尻目に、八頭はMCRを磁気強度と加速度を中ぐらいに設定して乱射する、これでも大砲に撃たれたぐらいの衝撃がある。
「やるじゃないか、八頭大」
その光景を見ながら、御神苗は襲い来る機械化兵を殴り飛ばす。
そのまま前進し、近くにいた機械化兵に右ストレートをたたき込む。
崩れ落ちる敵を飛び越え、御神苗の踵が機械化兵の脳天を砕く。
「来やがれ!AMスーツの力、見せてやるぜ!!」
そう叫びながら御神苗はオリハルコンのファイティング・ナイフを抜き放ち、前方の敵の放電装置を切り飛ばす。
血飛沫を上げながら後退する敵を左フックで黙らせ、横にいる敵を廻し蹴りで吹き飛ばす。
八頭と御神苗の猛攻により、既に機械化小隊はゲイルマンを除き倒されていた。
「こんな・・馬鹿な!?我等は最強の兵士に為るべく生み出された機械化部隊だぞ!それがこうも簡単に……」
目の前の光景に、半ば呆然となるゲイルマン。
MCRを構えた八頭が、ファイティング・ナイフを構えた御神苗がゲイルマンに近付いて行く。
「ご自慢の玩具も打ち止めの様だな?」
獰猛な笑みを湛えた八頭が近付いて行く。
「米軍を裏切り、トライデントに加担した結果がこれだ!覚悟するんだな」
ファイティング・ナイフを正眼に構え、御神苗は静かに言った。
「くそおおおおおおおお!!」
凄まじい咆哮を上げ、ゲイルマンは左腕に装備された荷電粒子砲を作動させる。
「「この野郎!」」
だが、二人がゲイルマンの攻撃に反応するより早く、背後からブリットの嵐がミサイルの様に襲いかかる。
「ぐをををおおおおおおお!?」
背後からの不意打ちにゲイルマンは成す術も無く吹き飛ばされる。
強かに顔を地面に打ちつけ、苦悶の声を上げながらゲイルマンは何とか身を起こし後ろを見る、
そこには数台のジープが此方に向っていた。
その時、ゲイルマンに向けスターム・ルガーが向けられる――八頭大だ。
「ここまでだな」
静かに言った後、引き鉄を引いた。
「やっぱり居たわね!八頭大!!」
到着したジープの一台から小さな影が飛び降りる――子猫様だ。
美沙はOICWを脇に抱え、八頭の居る場所に近付いて行く。
「派手にやったわね〜」
後ろに見える死屍累累と言った感じの戦場後を見て言った。
「子供の見るもんじゃねえぞ」
そう言って美沙をジープの方へ押しやる、子供扱いされてむくれる子猫様を鷲士が引き寄せる。
「美沙ちゃん」
流石に父親の言う事は訊くのか、美沙は渋々ジープの側に来た。
その時、美沙は御神苗に気付く。
「誰よ?アンタは」
警戒する子猫様に御神苗は苦笑して。
「俺の名は御神苗優。アーカム考古学研究所の人間だ」
その言葉に美沙は納得したように頷く。
「ああ、アンタが冴葉ちゃんの言っていた助っ人ね」
ここに来る前に冴葉から報告があったのだ。
『ボス、今回の事態に対し、私の一存でスプリガンの増援を要請しました』
機械化小隊だけでなく、ミュージアムも動いている形跡が有る以上、戦闘は避けられない。
冴葉は美沙を心配して、スプリガンの出動を要請したのだ。
以前より、FTIは古代の遺跡を封印するスプリガンを擁するアーカム財団に接触していた。
遺跡に眠る古代の技術を狙って、各国軍部が暗躍している状況を抑える為、アーカムとの協力体制を確立していたのだ。
「やっぱり来たな?ダーティフェイス」
八頭は鷲士にそう呼びかける、その言葉に鷲士は慌てて。
「違います!?僕はダーティフェイスなんかじゃ有りません!!」
そう訴えるが、八頭は信じてはいなかった。
「何、言ってやがる!?身長180センチ半ば、痩せ型の東洋人。メリー・アンに照合した通りじゃねえか?それに九頭竜の使い手となればな」
その言葉に御神苗も驚き。
「へえ?アンタがあのダーティフェイスか」
誤解です、と言う鷲士を全く無視して二人は話を進める。
「まあ、隠すのは判るけどよ。あれだけの破壊をしちゃあな?」
八頭の一言にこめかみに青筋を立てる美沙。
「う〜ん、自分のミスをチャラにする為にミサイル128発も打ち込んだんりしてんだからな?」
腕を組み、頷く御神苗の一言に青筋を増やす美沙。
「まあ、手口が幼稚と言うか、なんと言うか・…」
八頭の一言にジープに装備していた"吹っ飛べ君"ばーじょん1.25を取り出す美沙。
「殆ど、芳乃並の破壊神と化しているからな〜」
御神苗の一言に吹っ飛べ君を振りかぶる美沙、鷲士と樫緒それに鈴木やメリッサの顔が引きつる。
「殆どゴOラ並だからな〜」
そう言って二人は声を上げて笑う。
そんな二人を見て、冴葉は胸で十字を切る。
「うるさあああああああああい!!!!!」
怒りに燃える子猫様は"吹っ飛べ君"ばーじょん1.25で八頭と御神苗の頭を張り飛ばした。
第二十章 転移
"吹っ飛べ君"ばーじょん1.25を食らい、(勿論、スイッチは切って)八頭大と御神苗優は大地に沈んでいた。
「あたたた」
「いたた」
暫くして、二人は何とか復活した。
「何て事をしやがる!このクソガキ!!」
頭を押さえながら、八頭は美沙に噛みつく。
「うるさいわね!人の事、幼稚だの、何だの!言っているからでしょう!?」
負けずに怒鳴り返す美沙、八頭の横ではタイミングを外した御神苗が口をパクパクしていた。
「やかましい!大体、何でお前が出で来るんだよ!?俺が言っているのはダーティフェイスの事だろうが!?」
八頭の言葉に美沙は顔を真っ赤にして。
「だから!人の事を幼稚だの、破壊神だの、ゴOラだの言うからよ!!」
ここにきて、八頭と御神苗は話がかみ合っていない事に気付く。
「ちょっと待て!ダーティフェイスの事が、お前の事?」
八頭と御神苗が顔を引きつらせる。
その表情を見て、樫緒はこめかみを押さえ、冴葉と鈴木そしてメリッサは頬を引きつらせ、鷲士はオロオロしている。
とんでもない考えを思い浮べ、八頭と御神苗は顔を引きつらせたまま固まる。
冴葉はため息を一つ吐いて八頭と御神苗の前に立つ。
「事実上、ダーティフェイスと言う人物は存在しません。言ってみれば、ここに居る全員がそうと言えます」
冴葉の言葉に美沙は、『私が、事実上のダーティフェイスよ』と言って、エッヘン。
だが、樫緒と鷲士は青くなった。
「片桐女史!?」
「冴葉さん!?」
無理も無いだろう。二人共、部外者であり、方や、世界最高の宝捜し――つまり商売敵。
方や、アーカムの工作員、スプリガン――つまり商売敵である。
その二人に、美沙が事実上のダーティフェイスである事を告げる。
だが、冴葉は青くなる鷲士と樫緒に笑みを向け。
「以前、調査しましたが、八頭大とミュージアムは遺跡の争奪戦などして、敵対関係にあります。
ミュージアムに情報が漏れる可能性は低いでしょう。そしてスプリガンの御神苗優には私が要請して来てもらいました」
その言葉に、鷲士と樫緒は絶句する。
「成る程、アンタが片桐女史か?」
御神苗が冴葉に向き直る。
「ええ、ここに在る遺跡は恐らく来訪者の文明に取って重要な物。各国軍部の動きやミュージアムの動きが懸念されます。そこで私の一存で、アーカム考古学研究所よりスプリガンの出動を要請したのです」
冴葉の言葉を受け、鷲士と樫緒は呆けていた。
無理も無い。FTIは言わば遺跡のテクノロジィを利用する者。
方や、アーカムは遺跡を封印する者、それが共闘するなど!
結城の情報網にも掛からなかった事態に、樫緒も驚愕を隠しきれない。
「マジかよ!?」
目の前にいる少女が事実上のダーティフェイス、その事実は八頭を混乱させた。
「私がFTIの会長の結城美沙よ」
宜しく、と御神苗に握手を求める美沙。
「天下のFTIの会長がこんなに小さな女の子とはね」
驚きながらも、御神苗は美沙の握手に答える。だが、内心は別の事を考えていた。
(この子がダーティフェイス……嘘みたいな話だぜ)
FTIのスタッフは、ナスカ平原の各所に散らばり、センサーを使って入り口を捜していた。
「それで、スプリガンは貴方一人なの?」
冴葉は御神苗に問う。
「いや、もう一人来るはずだ。機械化小隊がココを狙っているてんで俺が先行して、叩きのめしに来た訳だ」
御神苗の言葉に冴葉は納得した様だ。
その光景を見ながら、鷲士はする事が無く、美沙の横でボーとしていた。
鈴木の持っていた古文書にある『彼方への門』を捜すべく、FTIのスタッフは金属探知機や音波探知機そして最新の空間の湾曲を検出する装置などを使い、ナスカ平原中に散らばっていた。
ボーとしながら鷲士は先ほどの冴葉と八頭大との会話を思い出していた。
『さて、ミスター八頭。我々はプレートを必要としています、お譲り願えませんか?』
突然の冴葉の言葉に大は驚いた顔をして。
『はいそうですか、と渡すと思っているのか?』
鼻で笑う八頭を冴葉は正面から見据え。
『ここに在るのは竜脈を制御する物、個人のポケットには少し大き過ぎるのでは?』
冴葉の言葉に八頭は無言になる。
『勿論、相応の代金はお支払いします。遺跡内の調査に同行してもらって構いません』
その言葉に八頭は胡散臭そうに冴葉を見る。
『えらく、気前が良いな?』
不審の眼差しで見る大に向って冴葉は。
『我々が必要としている物は、貴方に取って何ら価値の無い物ですから』
そう言った。
冴葉達が探している物、それは来訪者の遺産"人の有り様を変える物"だった。
かつて、力を覚醒させた美沙は、その力の強大さ故に暴走し、鷲士と樫緒の必死の説得により正気にもどったのだ。(異伝 力を継ぐ者)
そして力を制御する為、リミッターを埋め込み、人としての日常を取り戻した。
だが、そのリミッターには限界が有った。
また力を暴走させれば、今度こそ美沙の生命が危ないかもしれない。
それゆえに、冴葉達は来訪者の遺産を求めていたのだった。
八頭は冴葉を見ながら暫く考え込み。
『いいだろう』
あっさりと了承した。
その答えに鷲士は拍子抜けしたが、鈴木は小さく呟いた。
『八頭の男達は皆、宝捜しなんじゃよ』
宝捜し、鈴木の言葉が甦る。
竜脈を操ること、それは世界を操るに等しい。
だが、八頭はそんな事に興味を持っていなかった。
彼が求める物、それは冒険である。
そんな事を考えている鷲士の前を美沙が歩いていく、八頭より受け取ったプレートを解析しているメリッサの所に向ってるのだろう。
プレートをFTIの調査班に送ろうとする冴葉にメリッサが解析を申し出たのだ。
自分の方が短時間で解析できると。
「どう解析の進み具合は?」
仮設テントの中でプレートの解析を進めるメリッサに美沙はそう言葉を掛ける。
テントの中には、暇を持て余した鈴木とMCRを整備する八頭、テーブルにてコーヒーを飲む樫緒、椅子に座り銃を片手に回りを警戒する御神苗もいた。
冴葉はジープで無線機を使い、指揮を取っている。
後のスタッフは全員、平原の調査に出ている。
「後、ちょっとなんだけど」
プレートの表面に彫られた文字を見ながらメリッサはそう答えた後、大きく伸びをする。
「なあ、これって俺達が発掘した、あのプレートと同じ物か?」
プレートを見ながら御神苗はそう訊ねてくる。
「そうよ、このプレートも貴方達の物と同じく、時間軸が止まっているようね」
話に興味を持ち、鷲士がテントの中に入ってくる。
「時間軸が止まっている?」
「ええ、このプレートもどんな年代法も受け付けないの」
鷲士の問いに、メリッサはプレートを持ち上げながら答える。
黄金色に輝くプレートに美沙は興味を持った様だ。
「ふ〜ん。ね、ちょっと貸してみて?」
何気ない美沙の一言に、メリッサは『はい』と言ってプレートを美沙に渡す。
「これがね〜?………え!?」
手に取り、眺めていた美沙が驚きの声を上げる。
突然、プレートが光りだし、眩いばかりの輝きを放つ。
「え?何!?」
「美沙ちゃん!!」
「姉さま!?」
「どうしたの!?」
「何だ!?」
「こりゃ一体!?」
輝きはテント中に広がり、そこにいる全て者を飲み込む。
輝きが収まった時、テントの中には誰も居なかった。
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