DADDYFACE SidetStories
「美沙頭巾」
written by GO TO



「赤ずきーん、赤ずきーん、何処に居るのー」
妙齢の美女が誰かの名前を呼びかけている。
「はーいお母様。私はここよ」
ガチャと扉の開く音と共に一人の少女が姿を現す。
年の頃は10代前半だろうか、赤い頭巾を被った(そのまんまやん)将来は絶世の美女になると思わせる美少女である。
「赤ずきん。何処に行ってたの?」
「ごめんなさいお母様って冴葉、結構成り切ってるわね」
すると冴葉と呼ばれた女性は普段の表情に戻る。
「これも仕事ですから、ボス」
「そこまで成り切らなくても良いのに…まあいいわ続けましょ」
「ハイ」
再び役に成り切る二人。
「それで、何の話です?お母様」
「森の奥に住んでいるお婆様が風邪をひいて寝こんでいるらしいの。あなたお見舞いに行ってくれる?」
まあ、それは大変という表情をする赤ずきん。
「分かったわお母様、おばあ様に会うのも久しぶりですし行ってきます」
「それじゃテーブルの上に」
とテーブルの上を指差す母親。
「バスケットを置いてあるから持って行きなさい」
「はい、お母様。ところで冴葉」
「何でしょう、ボス」
「今回の婆さん役って誰?」
おや?聞いていませんでしたかと云う表情をする冴葉。
「今回のお婆さん役は鷲士さんが担当していますが」
「何で鷲士君がそんな役を?」
「最初は別の役をする予定だったのですが、鷲士さんが本当に風邪を患ってしまったので」
納得顔をする美沙。
「そっか〜鷲士君、風邪引くと左半身動かなくなるしね」
「ハイ。それで寝ているだけで良いお婆さんの役を」
「OK。分かったわ」
と又役に入り込む美沙。
そして、バスケットを手に持ち玄関へと向かう赤ずきん。
「それじゃ行って来ます。お母様」
「くれぐれも寄り道しない様にね」
「分かってるわよお母様」
バタンという音と共に閉まる玄関のドア。一人残された母親は。
「うふふふふ、お母様。悪くない響きです、ボス」
と普段からは想像できないにやけた笑いを浮かべていた。(冴葉さんファンの方ゴメンナサイ)

一方その頃森の中では…
「何で私がこんな着ぐるみを着なきゃいけないのよ!」
と狼の着ぐるみを着た美貴が叫んでいた。
ブツブツ 私一応ヒロインなのに ブツブツ 絶世の美女とか言われてるのに ブツブツ
ハーと溜息をつきながら落ち込む狼。
ブツブツ 美沙なんか主役やってるのに ブツブツ 何故私が着ぐるみ ブツブツ
更に落ち込む狼。
と、その少し先にある道を赤ずきんが通って行く。
「あっ来た来た。しかし何が悲しくて娘の足止めを ブツブツ
「そういえば今あの娘って一人っきりよね」
ニヤリとした笑みを浮かべる狼。
「あの娘の血を奪うチャンスね」
「今なら周りに誰も居ないから襲ってもばれないわね、そしてしゅー君の血が私の体に。うふふふふふ」
ドス黒いオーラが狼の周囲に漂っている様に見える。
パン パン
という乾いた音と共に
チュイン チュイン
と何かが狼のすぐ傍を通りぬけて行く。
「あれ?気のせいかな?嫌な気配を感じたんだけど」
赤ずきんはハンドガンをバスケットの中に仕舞う。
「まあ、良いわ。早く行って鷲士君の身の回りの世話しないと。たまには点数稼いどかないとね」
といった台詞を残し去って行く。
その場には固まったままの狼が残される。
(あ、あの娘。何どこぞの格闘ゲームの様な赤ずきんしてんのよ!)
「そういえばあの娘、しゅー君の世話をするって言ってたわね。ということは…」
う〜んと考えこむ狼。
「しゅー君がお婆さんなのね、これはチャ〜ンス美沙より先回りしないと」
そういうと狼は森の中を突っ切り最短距離でお婆さんの家へと向かう。

そしてお婆さんの家。
何処から見てもみずぼらしい青年がお婆さんの格好でベッドに横たわっている。
「はあ〜風邪引いちゃうなんて皆には悪いことしたな」
「寝てるだけ良いって言われたけど本当に寝る訳にはいかないし。暇だな誰か早く来ないかな」
もぞもぞと寝返りを打つ。
それから10分もした頃
ドンドンとドアが強めに叩かれた。
「は〜い、誰ですか?」
ドアの方に向き直り答えるお婆さん。
「狼です」
という律儀な返事と共にドアがガチャっと開かれ狼が家の中に侵入する。
「あっ美貴ちゃんが狼なんだ。その着ぐるみ可愛いね」
「可愛いなんて、もう鷲士ってば上手いんだから」
と顔を赤く染め喜ぶ美貴(さっき嫌がってなかったか?)
「さっそくだけど鷲士、貴方を食べに来たわよ」
と真剣な目で宣言する美貴。
「あ〜そうだね、そうしないと話が進まないし。それじゃやっちゃって」
「それじゃさっそく」
がさがさ ごそごそ
「あのー美貴ちゃん?」
「なあに?」
「どうして僕の服を脱がせているの?」
確かに美貴は鷲士の服を脱がせようとしている。
「それはね服を着ていると食べ難いからよ」
「確かに狼が人を食べる時に服は邪魔だし、破られたく無いけど」
「分かったらじっとする」
すると美貴の手が下着に掛かる。
「美貴ちゃん待った、下着は勘弁して」
「しょうがないわね、まあまだ良いわ」
ジー がさがさ ごそごそ
「あのー美貴ちゃん?」
「なあに?」
「どうして美貴ちゃんが着ぐるみを脱いでいるの?」
「もう、しゅー君ってば女の子に最後まで言わせる気?えっちぃ」
「・・・・・」
しばらく何を言われたのか分かっていなかった鷲士だが、突然顔を赤らめるとあたふたとベッドから抜け出そうとする。
「その食べるは意味が違ーう」
妖しい笑みを浮かべながら鷲士を押さえ込む美貴。
「うふふふ、しゅー君もう観念しなさい。今の貴方じゃ逃げられないわよ」
その言葉通り左半身に力が入らない鷲士。右の力だけで跳ね除け様とするが力の制御が出来ず怪我をさせるかもしれない。
「大丈〜夫。何も恐くないから私に任せて」
と覆い被さる美貴。
(ああ、ごめんなさいゆうちゃん僕は汚れてしまいます)
その時
「何をしてるのよ、この変態女!」
その叫びと共にドアが蹴り開けられ赤ずきんが部屋に乱入する。
「あら赤ずきん、貴方の出番はまだ先でしょ。私がしゅー君を食べ終わるまで大人しく外で間ってなさい。それまでこの家は18歳未満立ち入り禁止ね」
その言葉に顔を赤らめる美沙だが。
「その食べるは意味が違う!大体これから先話をどうつなげるのよ」
「私としゅー君が末永く幸せに暮らしたって終わり方よ。一年後には貴方の弟か妹が生まれるけどどっちが良い?」
悪びれもせず答える美貴。
「そんな終わりで良い訳無いでしょ。そんな事あたしが絶対認めないわよ」
すると真剣な目で美沙を見つめる美貴。
「駄目よ美沙。前からファザコンだとは思ってたけど近○相○はいけないわ、日本の法律でも禁止されてるでしょ」
ぷちっ
美沙の頭から何かが切れた音がした。
「近○相○、近○相○と来ましたか。そういえば昔の王国や山奥の村なんかでは当たり前の事だったのよね」
明らかに目がすわっている美沙。
「日本の法律で禁止されてるなら法律を変えれば良いのよ。FTI経由で圧力をかけてやる」
「ちょ、ちょっと美沙あんた一体何考えてんのよ!」
「うるさいっ。美貴ちゃんに言われる筋合いは無いわ」
絶え間無く続く様に思えた二人の言い争いだが突如乱入者が現れた。
「お待ち下さい姉様!」
ガシャーン
窓を突き破り猟銃を持った少年が現れる。
「樫緒あんたなに窓突き破って現れてんの?」
「私は森の猟師です、窓を突き破ったのはビジュアル的な問題です」
「はあ、そうですか」
「そんな事より姉様!」
「は、はい」
何時にない樫緒の剣幕に思わず背筋を伸ばす美沙。
「確かに日本の法律を変えるのは賛成です。FTIと結城財閥の力を持ってすれば世界征服もたやすい事」
「んじゃ別に良いじゃない?」
「ですが、あの男とは認めるわけには参りません」
睨むような真剣な目で美沙を見る樫緒。
「えっと、近○相○は認めるけどあたしと鷲士君は認めないって事は…あんたもしかして」
「いえ、別に僕と姉様がとかは、あのその ゴニョゴニョ…
途端に弱気になる樫緒。
「いいじゃないか樫緒。私が許す美沙と付合いなさい。その間に私がしゅーくんと…」
「美貴ちゃんは黙ってて!」
ギィー  バタン
扉を開け完全に話から置いて行かれた鷲士が家から出て行く。左足を引きずりながらも森の奥へと向かう。
「静かだなさっきまでの喧騒が嘘の様だ」
ふと足を止め頭上を見上げる。
「空も凄く綺麗だし何処かに出かけるには絶好の日よりだな」
その時何処からとも無く音楽が聞こえて来た。

ちゃ〜ら〜ら〜ら〜♪

「そうだ、京都に行こう!」
JR冬海

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