DADDYFACE SidetStories
「メリークリスマス」
written by 大包子



「ああ、すっかり遅くなっちゃった・・・9時にいけるって言ったのにもう10時だ、美貴ちゃん怒ってるだろうなあ・・・」

鷲士はそう言いながら美貴との待ち合わせ場所に急いだ。
今日は12月24日クリスマス・イブ
バイトが忙しいからと断ろうとした鷲士を美貴が最終兵器「・・・・私の事きらい?」で押し切ってデ−トすることを取り付けたのだ。

「ど-して僕はいつも美貴ちゃんのお願いを断れないんだろう、美貴ちゃんはゆうちゃんじゃないのに・・・・」

鷲士はそう思いながら美貴との待ち合わせである公園へと急いだ。

暖かい缶コ―ヒ-を両手で包んで暖を取りながら、美貴は一人愚痴っていた。

「おそ-い! 鷲士は一体何してるんだ! せっかく今夜は鷲士と二人っきりでデートしてそれから・・・こ・・告白なんかしちゃおうって思ったのにー!」
美貴はそわそわしながら時計を見て更に愚痴った。


「大体鷲士は鈍感なんだ! いろいろな事があったんだから、そろそろ私がゆうちゃんだって事解りそうなもんだろうに、全然聞いてくれないし、今さらこっちから言い出すのもなんだし・・・・だから今夜こそっと思ったのになあ・・・・・」

そうしている内に時計の針が10時を指した。
美貴は心配そうな表情を浮かべて、

「・・・・しゅ-くん、私との約束忘れちゃったのかなあ・・・・・やっぱりキチンとわたしが告白してないからダメなのかなあ・・・」

―少しずつ美貴の目に涙が滲みかけてきた時―

タッタッタッタッタッ・・・・・

公園の入り口に慌てながら待ち合わせ場所に走ってくる鷲士の姿が見えた。

―もう!心配したんだぞ!そーだ、ちょっと隠れて驚かしちゃえ・・・・―

美貴はすばやくそばの植え込みに隠れるとじっと鷲士の様子を見た。

「はあっ!はあっ・・・・美貴ちゃんやっぱり怒って帰っちゃったのかな、しょうがないか1時間も遅れちゃ当然だよね・・・」
鷲士は苦笑しながらそばのイスに座った。
「確かあのクリスマスもそうだったっけ・・・・・・」
鷲士は懐かしそうにそばの電灯を見上げた。
そこには宿り木が飾られていた。

「あの時はこんなにキレイな宿り木じゃなかったけども・・・・・・」
鷲士はそう呟くと青葉学園にいた頃を思い出していた。



「しゅーくん!遅いよー!ずっと待ってたんだからね!」
「ご、ごめんよ〜、先生たちに見つからないようにするのが、どうしても時間かかって・・・・」
「だ〜め!美人は待たしちゃいけないんだよ、そーゆー風に決まってるんだから」

ゆうちゃんはそう言うと鷲士のそばに近づいた。
「・・・・・でも、キチンと来てくれたから許してあげる」
そしてゆうちゃんは鷲士の手を取ると青葉学園の玄関に飾ってある宿り木の下まで連れて行った。

「あのねしゅ―くん・・・・今日はクリスマス・イブだよね?」
「うん、ゆうちゃん、でもどうしてここに一人で来てって言ったの?」

ゆうちゃんは顔を赤くしながら言った。

「しゅーくん・・・ここに飾ってある宿り木の話って知ってる?」
「ううん、しらないや」
「この宿り木の下で、好きな男の子と女の子がキスすると永遠に結ばれるっていうんだ」
「へーそうなんだ、しらなかった・・・・って?」
鷲士は驚いてゆうちゃんのほうに振り向いた瞬間―

CHU!

唇にゆうちゃんの唇が触れた。

「ななななななななな・・・・・・!!」
鷲士は驚いて硬直していると、ゆっくりとゆうちゃんが離れて、そして鷲士の目を見つめた。

「しゅーくん、私の事・・・・嫌い?」
「そんなわけ無いよ!大好きだよ!!」

鷲士は慌ててそう答えた。その瞬間

・・・・ず-っと、ず-っといっしょだからね鷲士くん!

そう言ってゆうちゃんが鷲士に抱きついた。



「・・・・あの時ちょうど退院したばかりで支えられなくって、一緒に倒れちゃって・・・でもゆうちゃんは寒くないようにそばにいてくれて・・・・ずっと一緒にいようねって振ってきた雪を見ながら歌歌ったっけ・・・・・それでみつかっちゃって大目玉だったけど・・・」

―鷲士は嬉しそうな表情を浮かべそう呟いた、すると―

キラ・・・・キラ・・・・キラ・・・・・

「雪だ・・・・・・・・・」
静かに雪が降ってきた

「・・・・・今年も一人でクリスマスか〜しょうがないよね・・・・でもいいか・・・・・」
そう言いながら鷲士は宿り木を見た

Silent night・・・・ Holy night・・・・・All's asleep・・・・・ one sole light・・・・・

鷲士の唇から歌がこぼれだした、優しく、静かに慈しむように。

・・・・・・・・・Just the faithful and holy pair

それに合わせるように、後ろから暖かい声が聞こえてきた。

「「・・・・・・・・・・Lovely boy-child with curly hair・・・・・・・・・」」

鷲士はかすかに微笑むと後ろを振り向いた。
そこには優しく微笑む美貴の姿があった。

「「・・・・・・・Sleep in heavenly peace・・・・・・・」」

歌い終わると美貴は鷲士に近寄って

「・・・・遅いぞ鷲士、どれだけ待ったと思うんだ?」
「ごめん。急いだんだけど・・・・どうしても間に合わなくって・・・・・」
「・・・・でも約束してたのは私のほうが先なんだぞ?」

美貴はそう言うと鷲士の顔を見上げた。

「アア・・・ごめんよ・・・どうしたら許してくれるかな?」
「じゃあ、ちょっと目つぶって顔下げてくれる? ほっぺた一発で勘弁してあげる」
鷲士は覚悟を決めて、顔を下げて目をつぶった

「じゃあ、いくよしゅ―くん!」
「え?」

そう思った瞬間、唇に柔らかい感触が触れた。

「ええええええええ?」

鷲士が狼狽しながら目を開けると、美貴が楽しそうに笑いながら

「今日はクリスマスだから・・・・これで勘弁してあげる」

それだけ言って 鷲士の手を取ってベンチに座りなおした。

―・・・・あの時の事覚えていてくれたから・・・・―

美貴はうれしそうにしながら鷲士の肩にそっと頬を当て空を見上げた

「・・・・雪だね・・・・・・」

「・・・うん・・・・・・」

「ホワイトクリスマスだね・・・・・」

「・・・・・寒くないかい?・・・・・・・」

「・・・・鷲士がそばにいるから暖かい・・・・・」

「・・・・どこか・・・・・いこうか・・・・・」

「・・・・・ううん・・・・いい・・・・・このままで・・・・いい・・・・・」

「・・・・・そうだね・・・・・美貴ちゃん・・・・・・」

「うん・・・・・・」

「メリ―クリスマス、美貴ちゃん」

「メリ―クリスマス、鷲士くん」

二人は降って来る雪を見ながら願った。

―いつまでも。いつまでも一緒にいれますように、いつもいつも愛する人とクリスマスを過ごせますように―
―そして・・・・いつまでも貴方(きみ)の笑顔が見れますように・・・・―

二人の願いを祝福するように、いつまでもいつまでも雪が降っていた。


fin

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