REMOVECURSE SidetStories
「REMOVECURSE―OLD 白き闇の偽天使」
written by 星野洋



 生まれて初めてワタシが見たもの、それは笑顔だった──

 ヒトのココロを暖めてくれるような、笑顔──

 ワタシを創ってくれたヒトの、笑顔──

 それはカラッポだったワタシのココロに優しく染み込んでいった。その笑顔を見たときから、ワタシはこのヒトのために生きていこうと、決めた。このヒトに創られたからではない。ワタシが創られた人形だからでもない。このヒトが、このヒトだから───、ワタシが、ワタシとして生きる意味だから───、ワタシは、ワタシ自身の意思で、そう決めた。




 ワタシは彼に付き従って色々なトコロを旅した。
 彼には二つの大きな目的があるらしい。それは二人の探しビト──
 一人の話をするとき、彼は──そう、なんの感情もないような、そんな顔をする。
 怒りも、憎しみも、悲しみも──、全て溢れ出してくるから、彼はそれを出さないようにしている。ワタシを心配させないように──
 もう一人の話をするとき、彼はいつも──さびしい顔、それでもどこか嬉しそうな顔をする。いつだか彼に聞いたことがある。「会うために探してるんじゃねぇ。”アイツ”が幸せに暮らせてるのか、それを確かめにいってるんだ」と。


         なぜだろう、ムネの奥が、イタイ──────




 時折、彼は昔話をしてくれる。それは昔の自分──サルトルと呼ばれていた頃。”彼女”と出会った頃の自分の話だ。”彼女”の話をしている時の彼は、ひどく寂しそうで、それでもすごく優しい──。そんな顔をしていた。それはワタシの大好きな顔だ。だから、ワタシは彼にそんな顔をさせることの出来る”彼女”が少し────

         うらやましかった────




 彼の命令をワタシが実行するたび、彼はよく怒った。その声に寂しささえ浮かべて──

 ”どうして自分で考えねぇ、おまえにはおまえの道があるはずだ”

 そういって笑った。

 それは、違う。 

 ワタシは考えている。貴方がいつでも幸せであるように、いつでも笑顔でいられるように、それがワタシの願い、ワタシの

       望み────

 でも、ワタシはそれを言わない。だって彼はきっとわかっているだろうから、わかってくれると思うから───




 そして彼はまた、つかの間の眠りに堕ちていく、ワタシはそれを見送る。そのたびに思うのだ。

 ――ワタシは、このヒトの悲しみを減らすことが出来たのだろうか、と。


 答えは今だ出ない。出ることはないのかもしれない。ワタシは天使ではない、だってそれは彼を否定するものなのだから。だからワタシには奇跡を起こすことは出来ない。彼を癒すことなど出来ないのかもしれない。それでも──


     ――ワタシは、このヒトと生きていこうと思う。永遠の時を───
 

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