行ってきました、不思議の国マダガスカル


マダガスカルって知ってますか?

 え? 病人をはげます言葉かって? それは、「まだ助かる」でしょう。そうではなくて、アフリカの東、インド洋の大きな島、それがマダガスカルです。他の国では見られない変わった動物や植物が一杯の不思議の島、そのマダガスカルへ旅するというここ数年の願いがこの夏にとうとう叶ったのです。

 島といっても面積が日本全体の1.5倍もあるという半分大陸のようなマダガスカル島は、大昔にアフリカ大陸から切り離されたために生物が独自の進化を遂げたというのです。そういう意味ではオーストラリア大陸にちょっと似ているかもしれません。

 日本人にはあまりなじみのない国ですが、世界のバニラ(ソフトクリームの、あのバニラです)の7割を生産していると聞けば、結構ご縁があるということも分かるでしょう。昨年上映されたハリウッド製アニメ「マダガスカル」を見た方もいると思います。また、最近日本でも人気が出てきた地面を横っ飛びに飛ぶ白い猿、ベローシファカはマダガスカルの固有種である原猿の一種なのです。

 そこでマダガスカルへ、と思っても、日本から行くのはけっこう手間暇がかかります。今のところ直行便はありませんから、バンコック(タイ)で乗り継ぐのが最短ですが、それでもバンコックからアンタナナリブ(マダガスカルの首都、通称タナナリブあるいはタナ)までだけで、10時間以上かかります。正直、とても遠くて疲れますが、それでも皆さん、行く値打ちはありますよ。


可愛いキツネザルたち

 私たちがまず向かったのは、キツネザルの住む森を丸ごと保護区にしたベレンティ保護区。フォールドーファンという町の空港から約3時間、10年間補修していないという恐ろしいデコボコ道(それでも幹線道路)を揺られ揺られて、ようやくたどり着きましたが、既に夜も遅くなったため、レストラン棟にてそそくさと食事を済ませて一戸建てのバンガロー(豪華ではないけれども清潔なツウィンベッドに、簡素な水洗トイレ・シャワーつき)にて宿泊。

 

これがワオ・キツネザル

 翌朝、朝日が昇ると早速、ワオ・キツネザルのお出迎えです。何種類もいる原猿(英語でリーマー、仏語ではレムール)のうち、ワオ・キツネザルは文字通りしっぽに黒い輪の模様があるので、とても分かりやすく可愛いやつです。昨夜は暗かったので良く分からなかったのが、目が覚めて外へ出て初めて、バンガローがキツネザルの森の中にあることが理解できました。ワオ・キツネザルはまず、地面の上で朝日におなかを向けてひなたぼっこです。2mくらいの間隔を保てば、私たち観光客が近くにいてもお構いなし(ただし、野生動物なので絶対に餌をやってはいけません)。
ちょっと入れて下さいな。

 中には、こちらのスキを見てバンガローの中へ忍び込み、パンやクッキーなど彼らの好物を失敬してゆくすばしこいやつもいます。
 顔はキツネそっくりですが手足を良く見ると、親指が私たち人間と同じように横に出て他の4本の指と対向する構造なので、ああやっぱり猿なのだと納得できます。
   

樹上のベローシファカ2匹

 日が昇ると白いキツネザル、ベローシファカも木から木へと移動を始めます。本体だけで1mくらいある原猿ですがとても身軽に樹上を飛んでゆくので、あっという間に遠ざかってしまいます。地面の上で例の横っ飛びをするやつもいますが、ベローシファカは本来は樹上だけで生活する原猿だそうで、横っ飛びは木がないところを横切る時に仕方なくするのだそうです。


 バンガロー地域にあるコーヒーショップで朝食の後、森の中へガイドつき散策に出ます。このベレンティ保護区には数種類の原猿がいるそうですが、夜行性のものは当然ながら昼間は出てきません。森の中で出会うのは、ワオ・キツネザルやベローシファカのほかに茶色キツネザルなど昼行性のキツネザルたち。そのほか、小鳥や蝶々なども豊富です。また、バンガロー地域の横には柵の囲いがあって、何かと思ったらワニ! やっぱりアフリカなのだ。

 夜行性の原猿たちを見るのは夜の散策です。専門のガイドに案内して森の中を歩くのですが、けっこう小さな原猿が多く、暗いこともあって遠くから眺めてもいまいちピンときませんでした。


マダガスカルのグランドキャニオン、イサル



 ベレンティ保護区の次に訪れたのは、巨大な岩山が連続するイサル国立公園。マダガスカルのグランドキャニオンといううたい文句ですが、私自身はグランドキャニオンに行ったことがないので、そのうたい文句の是非は不明。公園入り口にて入境手続をして、現地のガイドの案内で徒歩にて周遊します。

 岩山のふもとには森があり、森があればキツネザルがいるのがマダガスカル。このイサルの森でもベローシファカなど数種類が森の中を飛び回っており、現地のガイドは巧みに探し出して案内してくれる。南半球は冬だが、亜熱帯のマダガスカルは寒いことはなく(正確に言えば朝晩は冷えるのでセーターが必要)、昼間は30度近くなるので汗が出てくる。
ベローシファカが樹の上に(筆者)

 イサルでは岩の中に隠れるように作られたホテルに泊まりましたが、これがまた超高級。なんでこんな僻地に、と思うような高級感あふれる清潔なコテージ形式の部屋、もちろんたっぷりとお湯の出る高級シャワーと立派な水洗トイレつき。綺麗な花が咲き乱れる周囲を散策すると、立派なプールまでありました(このあたりでは水は貴重品なのに・・・)。さらに、ここはパリ?と見まごうばかりのしゃれたレストランでは、高級フレンチワインでおいしいフランス料理がいただけました。今回の旅行では最上級のホテルであったことは間違いありません。

ここはパリ?のレストラン

バオバブ並木に陽は落ちて

 イサルの次に向かったのは、マダガスカル名物バオバブ並木のあるムルンダヴァ。マダガスカル島の西海岸にあり、アフリカ大陸との間のモザンビーク海峡に面する活気のある港町です。ただし海峡といっても300キロもあるので、向こう岸は見えません。

夕陽のバオバブ並木

 

 

マダガスカル名物 バオバブ並木

 悪魔が巨木を引き抜いて地面に逆さまに突き立てた、と言われるほど奇っ怪な形をしたバオバブの木は、星の王子さまにも登場することで日本人にも知られた木です。町から一時間ほどのところにマダガスカルの象徴とも言えるバオバブの並木道がありますが、この並木は絵はがきなどに必ずというほど登場するので、見た方もいると思います。バオバブはアフリカを中心に世界に数種類ある樹木ですが、そのうち七種類もがマダガスカルの固有種、つまりマダガスカルでしか見られないのだそうです(原猿も同じような存在です)。

 それまでのベレンティやイサロへの道すがらでも、所々にバオバブを見ることが出来ましたから、バオバブ自体はこの国では珍しいとはいえませんが、この並木道ほどに巨大なバオバブが集中している地域はさすがのマダガスカルでも珍しいようで、私たちだけでなく世界各国の観光客が大勢集まっていました。そして、そういう所には必ず土産を売る売店、屋台があります。また、カメレオンを枝の先に止まらせて観光客に写真を撮らせる子供達も。私たちは、そんな子供達と戯れたり屋台をひやかしたりしながらしばらく時間をつぶし、やがて並木のむこうに真っ赤な夕日が沈んでゆく雄大な光景を心ゆくまで楽しんだのでした


子供たちを学校へ

 どこの国でもそうですが、子供たちが元気に走り回っている光景は良いものです。マダガスカルでは、どこに行っても子供たちの明るくはしゃぐ声を聞き、はじけるような笑顔に会うことが出来ました。それは、たとえ何日も着替えていないようなぼろをまとっただけの半裸の子や、靴は勿論サンダルをはくことすらない裸足の子ばかりであっても、間違いなく希望のもてる光景でした。
小学校の前で

 

 私たちは観光客として旅行したのですが、たまたま知人の紹介があったので、フォールドーファン近郊の村に日本のNGOが建てた小学校を訪問して、多少ですが鉛筆・ノートなどの文房具類を寄付してくることが出来ました。第三世界でも最も貧しい国の一つであるマダガスカルは、子供たちの就学率がわずか63%程度ということで、それでもここ何年かで向上した数字だそうです。しかもこの数字は全国の平均ですから、タナのような都会に比べて貧しい地方では、もっとずっと悪い状況でしょう。私たちの短い滞在経験でも、フォールドーファン周辺の貧しさは際だって見えました。この小学校では、子供たちにも学校にも教科書を買うお金がないために、中学校への進学も思うようにゆかないということでした。
「森を守る村、村を守る森」の看板

 私たちがお世話になった日本のNGOは、ボランティア サザンクロスジャパン協会(http://homepage2.nifty.com/vsja/)という東京農大の関係者が中心となっているグループです。同協会は、マダガスカルの森を再生させる植林活動をはじめ子供達のための教育活動などを地域の人々と共に実施している団体です。是非みなさんのご協力をお願いいたします。

                            (2007.8月)

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