2002年3月3日
昨今の帰国子女や外国人留学生・就学生の増加、それに日本人の海外留学やなにかで、それまでわたしたちにとって当たり前と思っていた、桜咲く4月に始まり翌年の3月に終わる学校の年度、海の外に出ると必ずしもそうではないと気づき始めてます。欧米を初めとして隣国の中国でも学校年度は9月から始まり翌年の8月までとなっています。そこに約半年ほどの時間差が出てきますから、例えば8月だったとしたら日本では2001年度の夏休みでも、欧米等の海外では新年度(2001年度)直前の休みといった具合になります。
知り合いから教えてもらって、つい最近知ったのことですが、その2000年度末に当たる昨年8月の日付けで、公式サイトの某○○○に「2001年中国大学100強」という面白いものがありました。
広東管理科学研究院の武書連・呂嘉・郭石林諸氏が中心となった調査・研究によって、毎年発表されている『中国大学評価』の2001年度版というものです。中国全土の学校を比べるためにどうやって諸項目を数値化して点数化するかは知りませんが、ここの評価は多岐に亘っていて、本科大学(ユニバーシィティー)・専門大学・大学院・学院(カレッジ等)のランクや専攻別・省別のランク、人材育成、人口一人あたりの教育費・科学研究費、科学研究の成果、教師・博士の率・学生に占める大学院生の割合、図書館の蔵書等々のたくさんのランクを含んでいます。今の中国の大学の実力を量る物差しとして参考になっているようです。
総合評価のベスト100(得点制)と理系・文系各分野ごとのベスト5(100点満点制)を挙げているので、一つ一つ見てみると、日頃何となく思っていたのと違っていたりして、以外と思ったり、思わず感心したり、妙に納得したりと………とにかく面白かったです。(簡体字の中国語フォントがない人もいるでしょうから)少し煩雑かも知れないけど、今ベスト100のうちトップ30をざっと並べてみると、このようになってます。
※1位〜10位
(1)清華大学 (2)浙江大学 (3)北京大学 (4)南京大学 (5)華中理工大学 (6)上海交通大学 (7)復旦大学 (8)西安交通大学 (9)哈尓濱工業大学 (10)東南大学
※11位〜20位
(11)天津大学 (12)中国科学技術大学 (13)北京師範大学 (14)四川大学 (15)武漢大学 (16)南開大学 (17)北京航空航天大学 (18)同済大学 (19)華南理工大学 (20)東北大学
※21位〜30位
(21)中山大学 (22)西北工業大学 (23)中国農業大学 (24)大連理工大学 (25)吉林大学 (26)北京科技大学 (27)中国地質大学 (28)廈門大学 (29)北京医科大学 (30)南京理工大学
まあ、やっぱりと言うか何と言うか、理工・工業・農業・医科等の理系の専門大学が多く挙がっています。トップ30でも三分の一強の12校――交通大学も入れたら14校かな――、ここには全部挙げなかったけどベスト100のうちでも半数近い49校ほどが、理系の専門大学となっていました――必ずしも理系専門じゃないはずだけど交通大学入れると53校ほど――。本科大学でも当然理系の学部を擁しているので、100校中殆どいってもいいでしょうね。どのあたりに力を入れているかなど、まさに研究・教育の面でも現在の改革開放に後押しされて富国政策に走る中国の姿がそこに垣間見えてきます。
一昔前なら北京の北京大学と上海の復旦大学が名門校の双璧と言われ、首都では清華大と北京大とがこれまた理系・文系の双璧と言われていました。今でも基本的評判にさほど違いはないと思いますが、それでも北京大を抑えて清華大がトップと言うことは理系で強い清華大が天下の北京大を追い越してしまったのかという思いがします。でもその両雄に割って入る形で杭州の浙江大学が二位に付けているのは驚きでした。北京・上海の大都会以外に地方の大学が頑張っていますね。――因みに省別なら北京が7校、上海・江蘇・湖北が各3校・天津・陝西・広東・遼寧が各2校・浙江・四川・黒龍江・吉林・福建・安徽が各1校となってます――。
地域別にしてみると、北京・天津の華北が多いのは当然としても、上海・江蘇・浙江・湖北・安徽の華中も多く、広東・福建の華南や黒龍江・吉林・遼寧の東北、陝西の西北、四川の西南などが少ないです。言い換えれば、沿海部に多く内陸部は少なくって、そのまま経済状況等と符号しているかの印象を持ってしまいそうです。
それとは別に友人関係なんかで自分の知っているところなんかがあれば、これはこれでまた親近感が涌くものですね。。
ついでに理系の専攻別のトップはどうなっているかと言うと、交通学・水利学・水産学・医学・中医学・薬学等々はそれぞれの専門の大学だけども数学・生物学・環境科学等では北京大、力学・電子工学・コンピューター・電気工学技術等では清華大、物理学・化学・天文学では南京大、化学工業では浙江大となってます。理系の専門大学が強いのはよく分かるけど、これから期待されているIT関連では清華大ですね。
近年ますます大学が企業を作ったり企業と共同開発したりと、即経済競争力に繋がる理系だけに、その面で力を入れている清華大がトップと言うのも納得できる話です。その電子工学とコンピューターを見ると、それぞれ清華大・西安電子科技大・電子科技大・華中理工大・上海交通大の5校と清華大・華中理工大・浙江大・上海交通大・哈尓濱工業大の5校となっていて、分野を異にしても同じ学校名を見かけます。重点大学が多くっていかにその面で力を入れているかなのでしょうか。もしかしたら先端技術ですごいものが飛び出してくる日もそう遠くないかも。。。いや分からないですが。
じゃ、文系の専攻別はと言うと、考古学・社会学・文化学・語学・政治学では北京大、法学・図書館学・哲学では武漢大、歴史学・心理学・中国文学では北京師範大、経済学・マルクス主義では中国人民大学といった具合で、あとはそれぞれの学校となっていて、例えば教育学と言えば華東師範大、論理学と言えば河南大、新聞学と言えば復旦大、芸術と言えば武漢音楽学院、外国文学と言えば南京大、宗教学と言えば四川大、民族学と言えば中央民族大、体育学と言えば武漢体育学院と言うようになってます。
文系ではやはり北京大が強いですが、それにしても党幹部養成校の中国人民大がマルクス主義や経済学でトップと言うのもやはり思った通りそうっだたかという感じがします。ついでにマルクス主義と経済学のベスト5校はどうなっているかと言うと、マルクス主義が中国人民大・北京大・南京大・信陽師範学院・山東大、経済学が中国人民大・廈門大・武漢大・上海財経大・南京大となってました――(信陽師範だけ知らないです、初耳ですね)――。
何たって五千年の歴史・文化を誇る中国ですからもう少し専攻別で見てみると、歴史学では北京師範大・南京大・北京大・南開大・武漢大となっており、文化学では、北京大・武漢大・北京師範大・復旦大・浙江大となってました。また中国文学では北京師範大・北京大・復旦大・南京大・武漢大となっています。文系でも強い常連校というのが幾つも出てますね。想像するに現役の著名な教授たちによる薫陶のことはあると、思ったりしたり。
大多数の漢民族以外にも多くの少数民族がおり、漢族を含め全部で56民族が暮らす土地柄からか民族学も項目立てされていて、それは中央民族大・青海民族学院・中南民族学院・西南民族学院・雲南大の順でした。北京の民族大がその分野での最高峰だけど、それ以外すべて青海省・湖南省・四川省・雲南省と少数民族のいる土地の学校だけあって、みんなベスト5に顔を出していました。さすがにお国柄、少数民族研究が盛んなはずです。
ただ以外に思ったのが語学。ベスト5を見ても北京大・北京語言文化大・復旦大・新疆大・南京大となってました。今日の国策による外資導入等々の経済関係でも通訳・翻訳・ガイドなど外国語の使える人材が求められていて、それ以外の分野での引く手あまただろうから決して外大の人気が衰えているわけではないと思うけど、総合評価では100校の中に入ってこない。どうしてなんでしょうね。北京大と復旦大はまあ分かるとして、外大がたくさんあるにも関わらず僅かに語言の1校だけしか入っていないということは、評価基準に照らしてあまりにも特化し過ぎているのかな。
外国人が言語を学ぶ場合なら理系大学であろうが文系大学であろうが、漢語培訓センター等々があればいいわけですから直接関係してこないでしょうが………語言の評価は高いと聞いてます。
おおよそ13億人以上の人間がいるため人口比で言うと僅か1%にも満たない中国の大学生たちは、概してよく勉強します。先端技術・工業・宇宙の研究開発などに邁進する学校、歴史と伝統を有する学校、特化して専門家を育てる学校等々、ここに挙がっている数々の学校の卒業生が毎年世の中に出て、それぞれの分野で働いているかと思うと、現在の中国像の一面がそこに見え隠れしている気がします。
「中国大学100強」、なかなかに興味深いものです。