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平成18年度税制改正により、相続税の物納制度が大幅に改正されました。
改正内容は、納税者にとってプラス面・マイナス面の両面がありますが、最も厳しい改正は、物納申請時に原則として全ての必要書類を提出しなければならない点です。
今までのように、物納申請時に申請書と所在図くらいを提出しておき、残りはあとからゆっくり提出するという方法は通用しなくなりました。
相続開始後10か月間で物納要件を全て整えるのは容易ではありません。出来れば生前中にある程度の準備をしておくことが望ましいといえます。
まずは、下の物納手続フローをご覧になって下さい。
仮に物納申請時に、書類の不備があると、すぐに税務署から不足書類の提出や補正を請求されます。そして、請求後20日以内に書類の提出や補正がされないと、物納申請を取り下げたものとみなされます。
今までは補正の請求をされること自体が物納申請後3か月くらいたってからでしたし、補正期限も請求後3か月くらいはありました。それから比べると格段の早さです。
やむを得ない事情により、書類の提出や補正が遅れる場合は「提出期限延長届出書」を提出することにより、最長1年間は延長することが可能です。ただし、一度の届出で延長できるのは3か月間です。それまでに書類の提出や補正ができない場合は「届出書」を再提出することにより再延長が認められますが、最大で物納申請後1年までです。
そして、1年以内に物納に必要な全ての書類を提出できなければ、物納申請を取り下げたものとみなされます。例外は一切認められません。
今までは、例えば土地の境界確認書が隣接地所有者側の理由により整備できない場合(遠方にいる場合や相続争いで権利者が確定していない場合など)は、税務署は「やむを得ない事情」として提出を待ってくれましたが、今後、例外は一切認められません。
物納申請者に責任があろうとなかろうと、期限が過ぎたら物納は一切認めないということです。
(考えてみれば、一般の土地取引においても、引き渡し期限までに境界確認書を用意できなければ、通常、契約は解除されます。物納は国への土地譲渡と同じことですので、物納申請者に一般の土地取引の売主と同様の責任が課せられたということです。)
少なくとも次のような土地だけは早めに生前対策を
では、土地資産家は今後相続税の生前対策(物納対策)をどのように考えたらよいかです。生前対策が従来よりも格段に重要になったことは言うまでもありません。
理想をいえば、自分の財産の権利関係は全て明確にしておくことです。
しかし、あれこれ考えると、何から手をつけたらよいか分からないということもあります。そこで、少なくとも次のような土地は、一度点検して、物納上(財産管理上)の問題があれば、早めに整備しておくことをお勧めします。
早めに点検しておいた方がよい土地
*一団の貸宅地
*前面道路が私道の土地
何故これらの土地は早めに物納条件整備を行う必要があるかというと、以下に示すような点の整備に時間を要するからです。
一団の貸宅地の場合
@借地人ごとに借地境を確定し、分筆しなければならない。
A地代が適正な水準でなければならない。
B原則として、借地権者と建物所有者が一致していなければならない。
C土地賃貸借契約書が実態と一致していなければならない。
D社会通念に照らし、契約内容が貸主に著しく不利であってはならない。
以下、各項目について説明します。
@借地人ごとに借地境を確定し、分筆しなければならない
一団の貸宅地は、一般的に一筆の土地に複数の借地人がいるケースがほとんどです。
この場合、借地人ごとに借地境を確定し、分筆しなければなりません。その前提として隣接地所有者全員から境界承諾書に承諾印をもらわなければなりません。一人でも承認印を受領できないと、地積更正登記も分筆もできず、物納が許可されません。
また、借地境の確定も借地人に立ち会ってもらい、確認書に確認印をもらう必要があります。
A地代が適正な水準でなければならない
地代の水準は、物納するためには、首都圏の場合、住宅用で前年路線価の概ね0.5%から0.7%程度、営利用で1.85%程度が必要です。これを下回る場合は、借地人に交渉して値上げしなければなりません。現在の地代と適正地代の差が大きいと、一気に値上げするのは難しいですから、早めに交渉を開始する必要があります。
B原則として、借地権者と建物所有者が一致していなければならない
借地上の建物の登記名義人と借地権者が異なる場合は一致させる必要があります。
よくあるのが、借地人に相続が発生し、相続人が確定していないケース。あるいは借地人は父だが、家を建替えるときに息子が資金を出し、建物の名義が息子になっているようなケースです。いずれの場合も、借地人に協力してもらい、建物と借地権者の名義を一致させる必要があります。
C土地賃貸借契約書が実態と一致していなければならない
土地賃貸借契約書の記載項目には、当事者(貸主・借主)、借地面積、契約期間、賃料等がありますが、全て実態と一致させなければなりません。分筆すれば、所在地番や地積が変わりますし、適正地代に値上げすれば、賃料も変わりますので、ほとんどの場合、土地賃貸借契約書を作り替えることになります。
D社会通念に照らし、契約内容が貸主に著しく不利であってはならない
たとえば、「建替え時に貸主の承諾は不要」とか「向こう10年間は貸主は借主に地代の値上げは要求しない」等、貸主にとって著しく不利な特約条項が土地賃貸借契約書にある場合、物納は認められません。したがって、借地人に交渉し、その条項を削除または変更する必要があります。
前面道路が私道の土地の場合
建築基準法の接道条件は満たしているものの、接面道路が共有私道(下図イ参照)か、あるいは細かく分筆して複数の権利者が所有している私道(下図ロ参照)の場合、私道の所有者全員から「境界線に関する確認書」および「土地の無償使用に関する承諾書」に署名捺印してもらわないと、その土地の物納は認められません。
私道の所有者が多数いる場合、全部揃えるのにはかなりの時間を要します。

以上のように、「一団の貸宅地」と「前面道路が私道の土地」は、物納条件を整備するためには、かなりの時間と労力を要しますので、相続が発生してからでは間に合わなくなる可能性があります。
したがって、これらの土地を所有している資産家の方は、なるべく生前のうちに条件の整備に着手することをお勧めします。
私どもでは、これらの土地の調査および対策の提案は無料で行っておりますので、ぜひご相談いただければと思います。ご相談・お問い合わせはこちら
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