円満分割対策/勘違いだらけの相続対策                    株式会社ライフコーディネート
「勘違いだらけの相続対策」
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第1章 これだけある相続対策の勘違い
その1「相続対策と相続税対策
    は同じ」という勘違い
その2「相続税を節税すれば、
    納税がしやすくなる」と
    いう勘違い
その3「相続した財産の価額以
    上に相続税がかかること
    はない」という勘違い
その4「財産が少ないから相続
    争いにならない」という
    勘違い
その5「土地有効活用イコール
   節税対策」という勘違い
第2章 勘違いがわかったら、どうするか
◆分割対策
1.一団の貸宅地がある場合
  は、借地人ご とに借地境を
  明確にし、分筆する

2.賃貸用集合住宅等は区分
  所有にする

3.分筆しにくい不整形地は他
  の資産に組み替える
4.主たる財産が家業用の不
  動産の場合、遺言・代償
  分割等を考える
◆納税対策
1.相続予定財産の概算評
  価額を算定する

2.推定相続税額を資産する

  難解な相続税の計算を分
  かりやすくするポイント
3.推定相続税額に見合う担税
 力が相続財 産にあるか検証
 する
4.納税対策の実施 
 1)物納条件整備
 2)物納不適格財産の格上げ
 3)物納条件整備が困難なも
 のは生前の処分を検討する
4)残したい財産を残すための
  戦略的な遺産分割
◆節税対策
1.評価方法を利用した節税
  対策
2.税額計算を利用した節税
  対策
3.生前の物納条件整備費用
  の経費化による節税対策
4.遺産分割の工夫による節税
  対策

第2章 勘違いが分かったら、どうするか

 第1章で、相続に関して一般的に誤解されていることを、いくつか紹介しました。
 では、その誤解が分かったら、次にどうするかです。少なくとも言えることは、「相続する財産が少しでもあったら、生前対策を考えること」です。
 生前対策とは何かと言えば、第1章、その1「相続対策と相続税対策は同じという勘違い」の説明を使うと、大きく分けて「遺産分割対策(=相続対策)」と「納税対策(=相続税対策)」の2つになります。さらに節税対策もありますが、これは相続税が発生する場合に限りますので、相続税対策に含めてよいと思います。
 必要とするケースが多い順に並べると、次のようになります。

1.円満分割対策(相続対策)
2.納税対策(相続税対策)
3.節税対策(相続税対策)


 円満分割対策とは相続財産を相続人の間で円満に分割するための対策です。
 相続する財産があり、相続人が複数いれば、ほとんどの場合、遺産分割は必要になりますので、この対策を必要とする人は多いと思います。
 納税対策とは相続税を円滑かつ適確に納税するための対策です。
 財産の相続があっても、相続税が発生するのはごく一部ですが、納税が完了しないことには、財産を無事に次代に承継することはできませんので、大切な対策です。
 節税対策とは相続税を少なくするための対策です。
 財産の実質的な価値は下げないで、相続税を少なくすることができれば、その分多くの財産を次代に承継することができますので、やり方次第で効果的な対策といえます。
 以下、それぞれについて詳しく説明します。


◆円満分割対策

日本人は不動産がお好き(相続財産の60%は不動産)
しかし、不動産は分割しにくい財産の代表格


 国内の相続財産の構成を見たとき、不動産の割合が高いのが大きな特徴です。近年の長期にわたる地価下落の影響で、その割合は徐々に低くなっていますが、それでも土地建物の合計は、直近のデータで60%近い割合です(下表参照)。

平成16年分相続財産額の種類別内訳(構成比)国税庁発表資料(平成17年12月)(億円、%)

種  類

土地

家屋

現金・預貯金等

有価証券

その他

合 計

財 産 額
(
構成比)

66,315
(56.2)

5,736
(4.9)

21,391
(18.1)

10,664
(9.0)

13,898
(11.8)

118,004
(100.0)

 不動産は、利用状況や地形等によっては分割しにくい財産です。建物が真ん中に建っている土地を真っ二つに切るわけにはいきませんし(図1参照)、不整形な土地を分筆してしまうと、建物を建てられなくなることがあります(図2参照)。

 土地を分筆しなくても、一体のまま共有による遺産分割もできますが、共有は将来的にトラブルを引き起こす原因になりかねませんので、あまりお勧めできません。

不動産共有のデメリット

 不動産を共有で相続すると、売却や活用などをする場合、いちいち共有者全員の同意を得る必要があります。これは煩わしいし、大変に不自由です。
 自分の持分だけでしたら、単独で処分することもできますが、第三者との共有物件など購入する人はいないでしょう。
 また、共有財産は物納も認められません(共有者全員が物納する場合は除く)。
 配偶者控除を受けるために、財産の構成上どうしても共有にせざるを得ないような場合でも、極力直系親族間だけの共有にすべきです。要するに配偶者と子一人の共有です。傍系親族間(兄弟間など)の共有の場合、必ずと言っていいほど、後の争いの種となります。そのまま兄弟の子供たちが相続すると、どんどんネズミ算で相続人が増え、所有関係がゴチャゴチャになる可能性もあります。配偶者と子一人の共有とした場合は、遺言で二次相続の時は配偶者の持分は、共有者が相続するようにした方が良いと思います。

相続財産に占める不動産の割合が高い場合は、次のような対策により、不動産をなるべく分割しやすい状態にしておくことをお勧めします。


1.一団の貸宅地(底地)がある場合は、借地人ごとに借地境を明確にし、分筆する

 一団の貸宅地(底地)とは、一筆の土地の上に複数の借地人がいるようなケースです。
 この場合、借地人ごとに貸している範囲が明確になっていなかったり、接道条件が満たされていないなどということがよくあります。そして、こういう貸宅地に限って、地代が低かったり、契約書がろくに揃っていません。貸宅地イコール不良資産とは言いませんが、このような貸宅地は不良資産と言わざるを得ません。
 資産管理の意味からも、物納対策の意味からも、借地人ごとに貸付範囲を明確にしたり、接道条件を満たすことは大切なのですが、分割対策の面からもとても重要な意味があります。

 たとえば、一筆の土地に5つの貸宅地(底地)があったとします(5人の借地人がいるということ)。この状態で相続が発生すると、この土地はとても分割がしづらい財産となります。
 それが貸宅地(底地)ごとに5つにきれいに分筆された土地であれば、とても分割がしやすい財産になります。
 ただ土地を切るだけのことだったら、相続が発生してからでも出来るじゃないかという反論が聞こえてきそうですが、ことはそれほど単純ではありません。

 更地であれば、自分の好きなように切ることはさほど難しくはありませんが、借地人がいるとなると、いろいろな問題をクリアしなければなりません。
 まず、借地人の貸付範囲について、それぞれの借地人から承諾を取らなければなりません。借地権と言っても場所によっては結構な資産価値になるので、わずかな面積の違いでも、借地人はデリケートになります。これが地主と借地人の間だけの問題ならともかく、借地人同志の調整も必要だから大変です。全体の土地面積は決まっているので、ある借地人の面積が増えれば、他の借地人の面積が減ることになります。また、建物が建っているので、変な分け方をすると越境物の問題が生じます。どうにか調整がついても、接道条件を満たしていない借地があれば、そのままというわけにはいきません。

 
それに、地積更正、分筆登記を行うためには、隣接地所有者の承諾も必要になります。
そして、現実には土地の分筆作業に平行して、地代の値上げや土地賃貸借契約書の整備等も行います。
 相続が発生してから、これらの作業を行う場合、相続人の誰がイニシアティブを取るかです。長男が、とは単純にいきません。面倒な作業なので、皆嫌がります。それに、相続人は借地人と人間関係が希薄なケースが多く、被相続人以外は借地人の顔もろくに知らないなんてこともあります。
 分筆作業の調整過程においては、過去の経緯も重要なポイントになります。過去の経過をよく知っている被相続人が元気なうちに、これらの作業に着手することは、作業を円滑に遂行する上で、とても重要なことだと思います。


2.賃貸用集合住宅等は区分所有にする

 
賃貸ビルや賃貸マンション等の賃貸用の建物は、部屋ごとに区分所有登記すると、分割がしやすくなります。土地は敷地権(下記注1参照)とし、敷地権の割合は建物の面積により按分します。土地は一応共有の状態になりますが、区分所有ごとに単独で処分できるので、一般の共有のようにトラブルの原因となることはありません。
 既存の賃貸ビルや賃貸マンションを区分所有形態にすることが、技術上(建物の構造上)不可能であれば、売却して、区分所有のマンション等に買換える方法もあります。

(注1)敷地利用権とも言う。区分所有建物の専有部分を所有している者が、その建物が存在している敷地に対して有する権利のこと。敷地利用権が共有の場合、区分所有者は原則として、その専有部分と敷地権を分離して処分することができない。専有部分と一体の権利として、敷地権の持分が登記簿の表題部に登記されるので、当該区分所有建物を売買するときは、専有部分の移転登記だけで済み、土地の登記は必要ない


3.分筆しにくい不整形地は他の資産に組み替える

路地状部分を含む土地(いわゆる「旗竿地」上記図2参照)等、不整形で分筆しにくい土地あるいは分筆すると極端に価値が下がる土地は、売却して、分割しやすい資産に組み替えておく。

上記1の対策はそれ自体単独で捉えても、効果的な対策です。ただ、2と3については、他の財産の構成にもよりますので、財産全体から見て特に遺産分割に支障がないようであれば、敢えて本対策を講ずる必要がない場合もあります。

分割対策4「主たる財産が家業用の不動産の場合、遺言・代償分割等を考える」に続く