安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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地震科学者 島村英紀の本
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〈 Sun, 05 May 2002

島村英紀『地震と火山の島国--極北アイスランドで考えたこと』(岩波ジュニア新書)が産経児童出版文化賞に決まりました。5/5に紙面で発表、5/29に授賞式がおこなわれます。
地球物理学者、島村英紀北大教授は、海底地震の分野で世界の最前線にたつ科学者。地球物理をかじった人なら名前を知らない者はありえないワールドクラスの科学者です。天はときに不公平にも一人に二物をあたえる。島村さんは学問の明晰さともうひとつ文才を得られた。
地球について、地震について、難しい専門の話しをやさしく一般向けに解き明かした本を沢山出版されている。出す本がことごとく売れるので次々注文をされることもあるが、島村さんは科学をこれからの少年少女に興味を持って貰うことが、自身に課せられた使命と考えておられる。外観はソフトでも何事にも真剣な人である。いくつ出版されたか、贈って頂いた本だけでわが本棚に10冊ぐらいある。頂いた日にすぐ包みをあけて、仕事そっちのけで読み終わります。おもしろいうえに、スラスラ頭に入ってしまうのです。そして急に「オレ頭がいいんだ〜」と、錯覚する。完全に乗せられるというか、たとえば、
さてタマゴと地球と、どっちが強いのでしょう。
岩の方がタマゴよりも強いにきまっているって?
いえ、そうではありません。じつは地球はタマゴと比べると、ずっと弱いのです。
タマゴは、机の上に置いてももちろん何も起こりません。しかし、地球はちがいます。もし地球を何かの上に置いたとしましょう。何が起こるでしょう。
地球は自分の重みだけでペシャンコにつぶれてしまうのです。地球の殻は地球を支えることはできません。地球とはそれほど弱いものなのです。地球は宇宙に浮いているからこそ、丸い形でいられるのです。
また、GPS(全地球測位置システム)が、米軍が戦争をおこすと突然精度があがる。米軍が上げている衛星ですが、世界に無料で公開して測量やカーナビに使われるている。公開するといっても本来軍事利用だからわざとまちがった信号を電波に混ぜて精度を落している。これが戦争になると軍事行動にGPS誘導がかかせません。スクランブルコードを外すわけです。そうするとカーナビなんかには関係ないが、国土地理院では観測用のGPS精度が格段にあがるので、その間は目いっぱい利用させてもらう。(ここまでは筆者が要約した拙文)『戦争がおわればもちろん精度がおちる。米軍は日本の地震予知観測のためにGPS衛星を制御しているわけではないから、当然のことであった。』という興味ある話しが満載されている。
島村先生の文章は作文の見本になる正しい日本語として定評がある。小、中学校の国語の教科書に使われたので、いま20代の人なら覚えがあるだろう。べルゲン大学の日本語教材によく使わせていただいた。韓国や中国でも翻訳が出ているそうです。中国は著作権が確立されていないので、無断次々出版、もちろん著作権料ナシだが、島村さん笑っておられる。これまでも講談社出版文化賞、日本科学読物賞を受賞されている。
島村教授の北大研究所とベルゲン大学のソリッド地殻研究所は長年共同プロジェクトを行っているので、しばしば当地にこられる。20年近く「ともだち」付き合いしています。同い年。私は数年前まで地質研で地図を作る仕事をしていたが、島村さんに対応する事務員さんの態度が丁重なので、文句を言ったことがある。「なんでオレにはウルサそうにするんや」事務員さんカラカラ笑うだけ、「オレと同じ歳やで」すると目を丸くしてマジメ顔でこういった「Prof.シマムラはトシ相応にみえるけど、マサオキ・・あなたいままでなにしてたのよ?」
賞にきまった『地震と火山の島国=極北アイスランドで考えたこと』は科学よみものに収まらない。アイスランドとの長い共同研究を通じて、科学者の精緻で透明な目でみたすぐれた文明批評である。この国の人々の日常生活、ものの見方から 現在のアイスランドが確立した国際的な立場と、外国への対応を明らかにした著作です。地球と人類の未来を考える真摯な科学者の心が、アイスランドに結露したすばらしい作品です。
著書の案内は島村英紀のHP、http://shimpc.sci.hokudai.ac.jp/shima/ をご覧ください。凄いヴォリュームのHPです。研究者としての業績や科学論文のほかに、新聞雑誌に書かれた多量のエッセイも掲載されています。


Pnorama Box制作委員会

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