安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ゴッホであってゴッホでない農婦の横顔
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〈 Sun, 09 Feb 2003



一万円の陰気な感じの農婦の肖像画が、ゴッホの真正作品と証明されると6600万円(55万ドル)で落札された。
以下はわたしの素人鑑賞による真贋の感想です。
この絵、●写真1「左向きの農婦の頭部」をみて、反射的に思い浮かべる一枚がある。この農婦に似た顔の女性が正面を向いて、頭の真白な被りものが印象的な絵である。ゴッホが油絵を始めた初期の作品で、●写真2「白い帽子を被ったホルディーナ・デ・フロート」である。今回落札されたと感じが似ているがどこか違う。●写真3は同じ年代1884〜85に描かれたThe Potato Eaters「じゃがいもを食べる人たち」。右端に今回落札された農婦と同じモデルとおもわれる人物●写真5がいる。写真2のホルディーナは写真4のじゃがいもの絵にもいる。●写真4の男性のようにゴッホが画く横顔の特徴が写真1と共通している。
そういう共通点はあるが、比較すれば力強さがなく筆致が全然ちがう。上着の塗りかたはいただけない。別にプロの鑑定家でなくとも「ちがうわね〜」とおもうはずだ。
ホンモノと鑑定したアムステルダム・ゴッホ美術館の学芸官は1884年〜5年の作品とした。レポートには「1950年代に2度修復され、品質・価値を下げた。オリジナル性は殆ど失われ、ゴッホ独特の筆づかいは部分的に認められるのみ」とある。異論なし。この修復を誰がやったか知らないが、おもうに民間のイタズラじゃないのか。中川一政氏が「いつ購入したか」それがわかれば、中川画伯の悪戯だったなんてことになりかねない。
ゴッホの絵はチューブの色をそのまま、あまり混色ぜずオツユで薄めることもない。だから絵の具がヒビ割れしたり褪せないでいつまでもギラギラしているのです。こんなこと一度油絵をやった者なら誰でも分かる。ゴッホの絵はキズがつかなければ修復不要のタブローなんです。わたしの考えは、誰かがやったイタズラ。あくまで私感ですが。
ゴッホ美術館の鑑定は正しいとおもうがしかし、セリのまぎわになってファックスでお知らせとはね・・ウサンクサイところ大いにありだ。当然鑑定依頼には作品そのものを搬送し、報告書を付けて戻される。その辺も不規則だ。ここの美術館はゴッホ作品の権威と研究のため、海外公共コレクションには真贋を無料で承っている。私企業であるオークション.ブローカーにはどうなんだろう。寄付金名目でゴッソリかな。
オスロの国立美術館には目玉展示品である耳なしゴッホの自画像がある。包帯をしていなくて、血がしたたる奇妙な作品を戦後まもなく当時の館長が購入した。これが以前から美術雑誌などで偽物説が耐えない。ゴッホ美術館は無償で鑑定するというんですが、クロと出ればノルウェー国立美術館はウレシクないですまない。それにゴッホの鑑定はなにもオランダに限らないので、大英美術館もあればフランスなど自国の鑑定しか信じない。ゴッホのスペシャリストは世界中にいる。
斉藤という個人がバブルのころ80万ドルで「ドクトル・ガシェ」の肖像を買ったことがありました。斜めにものうげに頬杖ついてるほれぼれとする絵です。当時、絵画についた史上最高の値段というので話題になりました。この作品がその後一度も公開されていない。いま誰が所有しているのか。個人蔵なので、相続税を恐れて隠したのか、燃やしちゃったのか、遺言はなかったのか、スミソニアンのカタログには行方不明となっている。ゴッホにまつわる神話が一つふえました。で、この高すぎると批評された80万ドルが妥当とすれば、今回の「ゴッホであってゴッホでない」農婦の横顔は1500万円が適正市場価格。6600万円も出す価値ありまっしゃろか?
それにしてもだ、自前の美術館を持つ広島の建材やさん、よくお買い上げになりました。長いあいだお金の使い道がなくウズウズしている裕福層とお見受け。お喜こびでしょう。 買い主が2度と現われなくても平気な人ですから、貧乏人がケチつけるこたあねぇ。ついでに安田美術館が抱えている「ヒマワリ」、これは???騙されましたね。推薦した権威が悪い。


Pnorama Box制作委員会

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