安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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穴の中の逃亡者サッダム

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〈 Sun, 14 Dec 2003



サッダム・フセイン拘束は地球社会へのクリスマス最大の贈り物です。逮捕の顛末がおもしろいので書きとめておこう。
●CPA(連合暫定当局)ブレマーとサンチェスの記者会見
クルド側の第一報が発表されてから四時間が経過、公式発表にシビレを切らした記者団を前に、CPAのブレマー氏が開口いちばん"We got him"。期せずして喚くような歓声がイラク記者のあいだから沸き上がった。こういう場所に出入り許可されているイラクメディアの記者は親米が条件なのだろうか。質疑応答ではさきほど悦びに騒いだ非礼を詫び、米の活動に感謝し、新生いラクへ誓いを新たに「演説」する記者が数人いた。質問ではなく壇上のサンチエス司令官やブレマー行政官、イラク当地評議会委員に意見をのべ解説する。やっぱり文化がちがう。
●隠れ穴の焦燥したサッダム
サッダムが隠れていた地元チクリット郊外の怪しい農家の穴グラは、光が入らない真暗闇だ。2メートル の縦穴の底にやっと人間一人が寝られる横穴がある。時代劇に出てくる土牢より劣悪だ。この土れんがの農家にこしらえた穴グラ(スパイダー・ホールと英語で放送)には換気用の空気穴が通じていてファンがある、湿り気がない砂漠のため人間もしのげるのだろう。
土曜の早朝、農家を急襲した米軍混成部隊600人は二人を逮捕しただけであわや引き上げるところだったのが偶然、土床に煉瓦と土でカモフラージュした一角を発見し、穴グラの底にサッダムが蹲っていたという。サッダムは穴グラにAK2機関銃が2丁、ピストルひとつと所持金75万ドルを持っていた。ハラを空かしていないようだがサンチェス司令官のいうように疲れきったようすだ。
ジッと隠れる姿を想像して、なぜかオウムの麻原彰晃を思いだした。あのひげもじゃの男は中2階にこしらえた小さな箱に潜っていた。恐ろしい卑劣な行為を指示する男に限って、隠れて逃げ延びたい願望が強いのだろうか。サッダムもまた髭もじゃで髪の毛はゴワゴワ茫茫、おとなしく検医にシラミをチェックされて懐中電灯で口内検査されている。7か月半の逃亡生活に憔悴しきった独裁者のなれの果ては浮浪者もビックリするほどのありさまだ。金ピカの宮殿から窮屈な地下の穴グラへ。オオカミが羊になったようにおとなしい。
●世上の栄華をきわめた反米恐怖の大王の末路
最後の一兵まで戦い、戦え!とゲキをとばしていた恐怖の大王が一発のタマも打たず、自殺もせずオメオメと生け捕られて、米軍に恭順を示す・・サッダム残党たちの心境はさびしいだろう。屈辱だろう。ざまあみろ、ですね。さて捕まえたサッダムを如何様に料理するか。フセインの影におびえ、復活をおそれていたイラク国民はもうバース党を怖れることなくサッダムを裁き、未来を考えることができる。どのような形で戦犯法廷がイラク国内に設置されるか、まだ流動的だがサッダムの犯罪、シーア派反乱の大量虐殺やクルド村の化学兵器使用、邪魔者は家族でも殺害したなど、犯罪の数々がおおいにメディアを賑わすだろう。
●テロは減少するか?
WMDが未発見で、アルカイダとさっダムの結び付きも実証されていない以上、サッダム拘束によって米英のイラク侵攻は正当化されないとする見解がある。特に仏独に多い。サッダム逮捕と頻繁する過激派グループのテロとは直接の関係がないので、今後テロが縮小するか、逆により増えるか、果してイラク国民の和解とイラク復興へのターニング・ポイントになるかいまはまだ判断つきかねる。だが、市民がテロリストに示したシンパは確実に減り、イラクの民主化推進派にはずみがつくとおもう。(了)


Pnorama Box制作委員会

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