安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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カダフィ大佐のクリスマスプレゼント

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〈 Sat, 20 Dec 2003



●大量破壊兵器を自主的に廃棄
リビアのカダフィはアラブの憎まれ者である。アラブ諸国会議でもいつもツマハジキされ、特におとなりエジプトとはサダトのときから良かったためしがない。サウジ王家と犬猿の中。アフリカとアラブの盟主を気取るカダフィは孤立しているため、かえって自由な道を選べるのかもしれない。
イギリスの町ロッカビーに墜落したパンナム機爆破の被害者補償にカダフィが応じたときも驚いたが、昨日19日の発表はロッカビー補償よりスケールが大きい。なにしろ自主的にWMD開発計画を停止、査察受け入れ、所有WMDは廃棄すると、カダフィがそういえば間違いない。このリビアの実力者で元テロリストの親玉(70年代にIRA支援)は、現テロリストで親玉のアラファトのようにウソをつかない。
米英とロッカビー賠償の地道な交渉が実を結んだあと、10か月前から引き続きWMD廃棄の交渉が行われていた。そんな話しがあったような気もするが、サッダムの例、イランの例、もちろん北朝鮮の例で苦い経験がある。なぜカダフィが率先して廃棄を決断したのか。グズグズしてサッダムのようになりたくないから・・それもあるが、いまのところカダフィに続くアラブの首長はいない。シリアのアサドはあいかわらず挑戦的だ。
●カダフィは理想家
大量の生物化学兵器、それを装填して飛ばせるミサイル、遠心分離機やウラン濃縮施設など核開発計画などあますところなく米英の調査団にあきらかにし、国際原子力機関(IAEA)の査察と化学兵器禁止条約を締結する意向を明らかにした。これで米の経済制裁は解除され、晴れて国際社会に復帰するはこびになった。それが目的だろうとは思うが、カダフィは基本的に理想家である。北朝鮮のように具体的な経済支援と取引きしようなんてケチなことはいわない。本人は1969年に軍事クーデターで政権を奪取して以来「大佐」のままで、死ぬまで昇進しない、そういう美学をもつ砂漠の独裁者。
首都トリポリでの短い声明は、我が目を疑うような平和を祈念することばで以下のように締め括っていた。
GSPLAJ believes that the arms race will neither serve its security nor the region's security and contradicts its (Libya's) great concern for a world that enjoys peace and security.
By taking this initiative, it wants all countries to follow its steps, starting with the Middle East, without any exception or double standards.
   (GSPLAJ:リビアの公式呼称Great Socialist People's Libyan Arab Jamahiriyah)
)
リビアは兵器競争が自国の安全に寄与するものでも地域の安全保障に寄与するものでもなく、我が国の大きな関心事である平和と安全を享受する世界に反するものである。
このイニシアチヴをとるにあたり、すべての国々がまず中東から例外やダブルスタンダードを設けることなくわれわれに続くよう期待する。
どうだこのムハンマドかモーゼのような垂訓は!ブレアは喜んで緊急テレビ声明を出し、ブッシュも得意げに声明をだした。小生も嬉しくてここに一文書いたが、アラブ諸国からはなにも聞こえてこない。(了)
後日補追:国名GSPLAJ=社会主義人民リビア・アラブ国 
経済制裁については、国連がロッカビー補償成立を評価して今年9月に解除決議されたが、米は制裁を解いていない。国土は日本の4倍半、ただし無毛の砂漠地帯で人口は大阪と神戸をあわせた程度。そのため石油輸出で食べていけるが、カダフィ独特の社会主義政策が破綻して発展から取り残された。昨年のコラム「カダフィ謝る、遺族に賠償金」 (2002年5月29日 〉も読んでください。
今回リビアはWMD破棄により国際社会に復帰できるか、について懐疑的な論評が優勢である。民主的な選挙を経ない独裁国家で、言論の自由がない体制を改めなければ応じないという意見。商売はしても国際政治舞台で仲間付き合いお断りという政経分離です。米のニラミが緩和されリビアへの投資は増えるだろう。


Pnorama Box制作委員会

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