生後23日のコアジサシの雛


2001年コアジサシの繁殖状況

月・日 観察記録
2001/4/01 台地作りの日。総勢70名。市職員大熊さん、神名部さん4月から移動で今日は最後の台地作り。大変お世話になりました。今年は報徳橋下200mほどの中州の草むしりのみを行う。全体に小高く良好なため、重機で嵩上げをせず。昨年冠水した所には草は生えておらず、大水によって種子が流される事がよく分る。毎年大水で撹乱された中州が彼らの営巣には必要。砂礫地の中州も冠水せず其のままでは3年目には草が繁茂、全く営巣は不可能になる。
2001/4/12 酒匂川河口にて12羽飛来するのを確認。初認。昨年の初認は8日、河口で2羽。
2001/4/15 酒匂川全域に約100羽飛来。上流部にも飛来してきた。楓川さん、峰岸さん、西さんから続々情報が寄せられた。
2001/4/16 アリ−ナ前では既に小魚をくわえて飛びまわるものがいる。気を引き締めていこう。
2001/4/19 アリーナ前で60羽上空を飛びまわる。河口には30羽。今年はアリーナ前が本命か。
2001/4/27 台地上空を10羽。彼らはここを営巣地と決めたもよう。昨年はここは80羽ほど営巣したが、今年は少ない。迷わずここを営巣地と決めた理由は何か。昨年ここで育ったのかもしれない?。コアジサシは多くの仲間と連れ立って飛来する印象が強いが、良く見ると繁殖は10羽ほどの小さな群れが思い思いに場所を決め、やがてそこに決めかねて居た群れが割り込んで大きなコロニーとなる事が多い。台地上に、誘発されて数が増えるのを期待したがどうも其れは叶わなかった。
2001/5/01 酒匂川全体からコアジサシの姿が減少を始める。平成9年の再来かと不安。この年は大挙して飛来後、酒匂川から1羽も残らず消えた。辛い年だった。
2001/5/04 河口に5羽、アリーナ前に10羽、台地上に10羽のみ。何処に行ったのか姿が見られない。余所見をせずに戻ってきて、お願い!!
2001/5/08 アリーナ前に30羽戻る。ほっと一安心。台地より遅れたが営巣を始めたもよう。アリーナ前には既に数組が営巣していてそこに群れが合流した様子。
2001/5/15 アリーナ前50羽。今年はここが最大の営巣地となる。小田原大橋下中州に数組が営巣を始めそうとの事。全部で3箇所の営巣地が出現。分散化の様子。この傾向が吉と出るか凶とでるか。
2001/5/21 台地上5組営巣中。もう少しで雛が誕生するだろう。台地下部ではイカルチドリが繁殖中。最近イカルチドリの繁殖が遅くまで行われる傾向。
2001/5/23 アリーナ前大方全員が繁殖か、中州は静か。
2001/5/27 アリーナ前の中州に看板を3本架ける。中州に入ると60羽ほどが飛びあがる。卵も多い。産み立てらしく白味が強い卵が見える。卵は時間と共に色が濃くなる。草叢に近い所に卵多い。途中で大雨が降ってきた。急いで家路に急ぐ。後日台地前にも3本の看板をかける。今年は全部で6本を申請。この看板の絵は国府津公民館の成人学級の作品。コアジサシを見つめる目は真剣でそして多い。
2001/6/02 台地前で雛祭りを行う。市職員5名参加。道行く人を呼びとめ雛を見てもらう。5巣の全部に雛が誕生している。それぞれの家族の雛の数は把握しきれない。巣と巣が離れている。生後数日か。水辺にカラスが1羽。雛は全部で10羽ぐらいか。元気に走り回るのもいるが、親の腹の下にいるもの多い。兎に角可愛い!!
2001/6/6 子供クラブ小林さん台地前に行き観察をするが雛の姿無し。親は2羽で飛びまわったり、交尾をしている。成鳥は4羽のみ。既に6羽は移動してしまった。カラスの捕食と思われる。雛祭りに見た可愛い雛の姿が思い出される。カラスの捕食は3月から6月までに集中的に行われ、7月以降は狙うことは少ない。カラスの餌が他のものに変わる印象あり。酒匂川では3月から5月はイカルチドリ、コチドリ、イソシギ、カルガモが良く狙われている。その後6月の雛の誕生でコアジサシに狙いを定める。養鶏場の200羽のカラスは中州で過ごすことが多いが餌は鶏の卵を狙っているのか、水鳥の卵は狙わない。狙っているのは松ノ木に営巣しているハシボソガラスの家族だ。毎年3羽の子供を孵す。
2001/6/10 台地上は1組のみが再度営巣開始。他はおそらく小田原大橋下に移動と思われる。大橋下が数を増している。毎年1組でも諦めずに営巣を続ける事がある。頑張って。毎年毎年繰り返される食物連鎖。少しの被害は折り込み済みだが、全滅は痛い。
2001/6/11 アリーナ前ではチョウゲンボウの攻撃に30羽程がモビングに飛び立つ。約30組が営巣中と思われる。
2001/6/17 大橋下に9組が営巣中。
2001/6/20 大橋下で雛6羽発見。小さな中州で低いため冠水の危険あり。西田さんの弾んだ声、遠い北海道の空にも届く。時機が遅く繁殖の成功は果たして・・・・。
2001/6/22 アリーナ前幼鳥1羽確認。全体に数は減少。
2001/6/23 大橋下中州に70羽以上が飛翔。急激に数を増す。抱卵中25組。上流部で放棄したものが合流して再度営巣開始か。肩を擦れ合うほどの密集コロニー。50ミリの雨でも簡単に冠水しそう。成功するのだろうか。これが駄目なら今年は数羽の若鳥しか送り出せなかったことになる。神様雨を降らさないで。
2001/6/26 上空を70羽。抱卵50組。昨日より更に数を増す。酒匂川以外からも合流しているのだろうか。
2001/6/27 アリーナ前幼鳥5羽。左岸の水場付近に移動して見え難い。成鳥の数は激減。カラスの捕食があったのか。原因は分からない。チョウゲンボウの攻撃も多かった。
2001/7/01 大橋下上空を140羽飛翔。酒匂川全体の総飛来数より多くなって来た。他所の地域のものが失敗してやって来たのだろう。これから卵を産むのかしら。例年なら後10日で渡りの時がやってくる。間に合うわけが無いのに。
2001/7/8 上空を140羽飛翔。中州に座るもの30羽。抱卵数は日によって見え難かったりで正確な数が出にくい。が、兎に角多い。犬の散歩の人が中州で犬を走らせ、犬が雛を食べているとの連絡。市の職員が慌てて看板を立てる。犬は雛を食べる?それにしてもまだまだこんなことさえ浸透しないのか。とほほ。
2001/7/12 アリーナ前若鳥1羽。これは1番手の子供だろう。他に幼鳥5羽。成鳥は全部で15羽。最高60羽確認したが今ではたった15羽。
2001/7/13 大橋下成鳥140羽。1番手若鳥3羽。2番手雛30から40羽。卵もある。今日は富士見小学校の酒匂川探鳥会6年生80名ほど。猛暑で人間もコアジサシも喉がからから。胸に水を含んで運ぶ姿が多く見られる。直に水を飲ますものもいる。幼鳥は中州上部に集まっている。中州上部は幾分日陰になっている。渡り期限が迫っている。後2日。卵は言うに及ばず、雛は置き去りになるのか。多分そろそろ1部のものが旅立つだろうが、頑張って続けて。雛を見捨てないで。
2001/7/27 酒匂川全体では台地前に1組、アリーナ前に2組営巣中。子供連れは既に下流に移動したもよう。けなげで涙が出る。大きな中州にたった2組。川岸から何時も見守っているよ。君達の夢は私達の希望です。小田原大橋中州に相当数の看板が目に付く。河川敷を利用するソフトボール関係者が見かねて立てかけてくれた。臨機応変にこのような看板が自由にかけられたらいいな。始末書書きも楽じゃないもの。流動的なコロニーには臨機応変が一番。土木さん分って下さい。
2001/8/03 上空130羽飛翔。飛べる若鳥3羽。雛、幼鳥30羽。成鳥幾分減少。明日夜目の前で花火大会行われる。どうなることだろう。心配。移動できぬ雛は焼け死なないか?西田さんやきもきするがもうどうすることも出来ず。耳をつんざく大きな音、そしてマグマのような熱風。本当に彼らは生き残れるのか。とんだことになった。
2001/8/05
早朝西田さん恐る恐る大橋下に行く。果たして雛はいるか、親はいるか。いましたいました!皆元気元気。成鳥70羽、飛べる幼鳥41羽。雛が25羽。中州には薬莢がゴロゴロ。火の玉が落ちたのに良く助かったものだ。しかし成鳥の数が半分に。失敗したり飛べる若鳥を連れた家族はこの時とばかり、去っていったのだろう。市の職員の話では花火の空砲により辺りにいたカモメやコサギはその日とうとう戻ることは無く、コアジサシのみが数分後戻ってきたとの事。子供がいては怖がってもいられないよね。教訓1、早め早めの対応で場所の変更を市にお願いしよう。教訓2コアジサシは花火に強い???、
2001/8/06 成鳥70羽、飛べる幼鳥43羽。他雛10数羽。物凄い勢いで小魚を運んで給餌。1分も間が無い。時間が無く急いでいるのか。また小魚が多いのか。河口付近で採餌。天然アユの稚魚の遡上が多いという話を聞く。初めて、こんなに頻繁な給餌は。其のせいか雛が全く死なない。生まれたものが死なずに育つのは驚異的。平成9年九十九里海岸のコロニーでは雛が死なないと聞いて、不思議やら羨ましいやら。やっと其の真相が解明。餌だ。引切り無しの餌はこび。目の前で繰り返されるこの光景。目に焼き付けておこう。餌の魚はホントに小さいものばかり。
2001/8/16 成鳥6羽、雛12羽。めっきり減った。酒匂川のコアジサシいよいよ渡りが完了間近。例年より1ヶ月逗留が長い。
2001/8/17 成鳥2羽、飛べない雛3羽、いよいよ残すはこの家族?のみ。
2001/8/21 台風の接近で大雨と大風。既に水量も増して大型台風の予感。大橋下中州で成鳥2羽奇妙な行動繰り返す。奇妙な鳴き声、奇妙な飛翔、そして攻撃。河川敷にいる我々にまで攻撃的。コサギやトビはいい迷惑。鳴き声悲鳴に聞える低くくぐもった声。上空をよろよろしながら止む事無く飛ぶ。変だ!!!中州に餌を運ぶことは無い。下では子供がジジジと鳴くばかり。嵐を感じているのだ。何とか危険を回避し様としているのだ。しかし子供は上空に1メートルほど飛びあがれるだけ。移動は無理だ。助けたい、しかしこの水ではもう駄目だ。奇跡を信じるしか。楓川さんは救助かと既に長靴を持参。其の気持ち嬉しい。
2001/8/22 大型台風は風と雨を運んで去っていった。が、既に結果は昨夜のサイレンで全てを了解。大水がでて中州は跡形もなく水の下。親2羽、幼鳥3羽の姿は何処にも無かったとの西田さんの報告で今年の夏が終了。暑く熱い夏だった。
2001年夏、酒匂川のコアジサシ。総飛来数140羽。営巣地3箇所。総若鳥数54羽。成鳥に対する若鳥率は36%となった。この数字は人工台地造成以来、最高の割合となった。今までの最高は平成8年と平成12年の約30%で、今回それを上回るものになった。この原因として餌の小魚が多かった事、取水制限が行われる程の渇水で中州への冠水が皆無であった事が上げられる。6月1番手の繁殖がカラスの捕食などで失敗したが、早い時期であったため再度繁殖が試みられ、其れが好条件のもと最後まで行われた事が大きい。このような再度挑戦は例年良く見られるが、途中必ず雨で冠水し放棄されてしまう。其のため2番手の繁殖が途中で終わり結果、低い若鳥率となっていた。しかし今回はその雨が全くなく暑い日が続いた。暑さ対策には頻繁に水冷が行われ、胸に水を含ませて来る回数が例年以上に多かった。また8月になって集中的に給餌が行われたため、育ちが早く、約3週間程で飛行可能なものもいた。見る見る間に成長していくのが分った。
 今年は各地での繁殖成功が沢山寄せられた。良かった。良かった。9月にはいって酒匂川河口では移動途中の親子が沢山見られている。逞しく育った子供達の姿は眩いほどで、感無量だ。どうぞ気をつけて旅を続けてください。また来年会いましょう。   2001年9月6日記