2002年のコアジサシ繁殖状況

月・日                            観  察  記 録                                                2002年
4月7日 今年は春が早くて、次々と花が咲き出してしまった。桜は既に葉桜で、今日も暑い日が続いている。高い確率で雨の予報に、早めに切り上げる算段もしておき、現地に向えばコマタンの方々に出会い、大きな声で挨拶を交わし、気分はもう快晴。市長が来られないとの予定も急遽、変更となり、中州に集合して、市民と行政の連帯感、一体化の重要性を拝聴。幸い、雨にみまわれず、順調に作業は進んだ。
 台地の方は一月前に重機で造成済み。その後数回の雨に当てられ、黒々とした土は流され、今では白い小石が表面に浮き出て、このままでも良い感じ。それで丸い白石を集めてもらい、台地に散布。面積が広く、想像以上に時間がかかったが、なかなか、良い感じにし上がった。他の中州と決定的に違うのは、とに角柔らかい事。シャベルで奥深く掘ったのがその柔らかさの原因。歩いてみても足の裏に感じる感触は抜群。果たしてコアジサシには吉か凶か。最後に皆さんで作ったデコイを設置し、本日の作業は終了。今年も70名ほどの方々が、集まってくださり、コアジサシの未来に暑きエールを贈ってくださった。皆さん本当にお疲れさまでした。
13日 朝早く、峰岸さんから7羽が飛来との連絡。台地上をキャラキャラと鳴きながら飛びまわっているとのこと。季節が早く進んでいる割には、コアジサシの飛来は例年並。さあこれからが大変だ。
16日 14日に11羽との報告。さてさて河口には幾ついる事でしょう。強風と大雨の予報の中、小田原の海岸は比較的平穏で、波は静か。その上を100羽ぐらいか、コアジサシがあのしなやかな翼を力強く動かし、河口付近を舞っている。時折海面に飛びこむが餌はくわえてはいない。果たして彼らは進路を変え、我々の待つ酒匂川へと飛んできてくれるのだろうか。もしかしたら、西で待つ、我々同様に暑い眼差しで迎えてくれる人々の元に飛んでいこうとしているのかもしれないな。
23日 朝40羽がアリーナ前の中州に降りていたとの情報があった。台地を作った近くに浅瀬があり、そこに降りていたよう。雄の見張りをする場所がこのような浅瀬になる。早速午後でかけたら、2羽で激しく追いかけっこをしているのが、数組見られた。何だか良い感じ。台地周辺は柔らかな草が生えてきている。撹乱後はどうしてもこうなるが、逆に隠れ場となる事もあり、悲観したことばかりではない。
25日 Mさんが早朝散歩中に見かけた数は50羽以上だそうだ。重機でかいた台地より幾分上のところに下りていたとのこと。例年よりは幾分早めに進行している感じ。
5月
2日
早朝観察者からの情報では一斉に飛び立った所を数えた所40羽程とのこと。今は一番数が正確に出にくい時期で数の把握は本格的な抱卵が始まった時点で確定だが、取あえずはこのグループが酒匂川の第一陣達。カラスに狙われるのもこの第一陣。その攻撃は5月中旬から6月中旬にかけてが、本番。カラスにも子供達が続々孵る頃だ。連休明け頃この集団に新しいグループが加われば、コアジサシの攻撃も強固になるのだが・・・。
9日 国府津公民館の探鳥会でコアジサシの観察会。
昨日と打って変わって肌寒い日で、中州は冷たい風にさらされている。が、コアジサシは元気で追いかけっこや餌の争奪戦、中には交尾をしているもの、既に3卵生み終わり完全抱卵が始まってお腹を動かし卵を回転させている者と賑やかだ。このアリーナ前の中州には30羽を少し越える数が繁殖を始めている。造成台地よりは少し上流部で、接近しながら抱卵中。造成台地は柔らかい草が生えて、ヒバリやキジの格好の繁殖地となっているが、いづれコアジサシの雛が孵ると隠れ場を求めてこの草が生えた造成台地に集まってくるだろう。それまで何事もなく進めば良いが・・。餌は細長いかなり大ぶりの小魚を口にくわえて飛んでいるものがいる。今年の餌の具合はどうか。ためし釣りの方の良い具合ですよとの言葉を信じてじっと待とう。
さて報徳橋下でも同様に営巣を始めていてこちらは20羽ほどとのこと。ここも良い中州が出来ていて期待していたが、少し低いのが難点か。大水が来ないうちに完了することを祈るばかり。河口付近の中州で50羽以上が繁殖に入るとの情報が届いている。高さも砂の具合も良いが、一つ人が入り安い所とのこと。この繁殖状況を見てロープ張りはこちらの場所に変更しようか思案中。今酒匂川は3箇所で繁殖開始。
25日 大型連休後はコアジサシのも静かな時が流れて、順調に繁殖が進んでいると思い、観察する人もまばらになったが、本日は子供探鳥会で
アリーナ前の中州を観察。その結果、コアジサシの減少を確認。20羽が約10羽となっていた。その残った10羽が繁殖終盤に差し掛かって、時折やってくるカラスを、追いかけてはまた定位置に戻って水浴、防衛。
 9日に見たときには抱卵中のものが10組はいたが、今日はその半分の5組。どうしたのだろう。カラスにやられたのだろうか。今では
この広い中州でばらばらに1組づつ飛び飛びに抱卵。6月半ばまでのカラスの攻撃にいかに対処できるか、心もとない。この中州での第一雛は本日ぐらいが予定日と思っていたが、その様子はなかった。
26日 コアジサシ営巣地のロープ張り。小田原大橋下の中州では今年は酒匂最大の数が繁殖中。ここも数が半減しているがおよそ30羽が飛んでいて、卵も産んでいるのが中州の最下流の三角地点で多く見られた。まだ3個生んでいるのはなかった。ここも途中何かあったのか、進行が遅い。酒匂川は5月初旬からすると、数は半減。
30日 午後2時、報徳橋の下に向い、雛の誕生を確認しようと、望遠鏡をかざせば、何と小さな島がコアジサシで真っ白。そして頭で真っ黒。夢か幻か。こんなことがあるのか。連休中は確かに20羽ほどが営巣していたのは確認したが、こんなに増えていたとは。アリーナ前とカネボウ下が減少した分がここに来たとしても更に数は多く、全部で160から170羽ほど。久々に見る白い乱舞。こうでなくちゃ。
それにしてもこのアイランド低い低い。どうしてもこんな低いとこが好きなんだな。コアジサシは。仕方が無い。釣り人への対策を考えよう。
あー喉がからから。頭がくらくら。何処をどうやって家に帰ったか定かではなかった。市と仲間に連絡。
31日 朝9時、6名で中州に入り、看板と置石で釣り人へのお願いをする。ここは良い魚場と言うことで、左右から人が入りこんで、いづれこの中州も通り道になるだろう。流れ着いた流木や棒を集め、回りに大石を置き、中州に雛がいるので足元には注意、また卵には触らないでくださいとのお願いを書き作業は完了した。途中多くの雛の誕生を確認。今まさに生まれ出てくる雛も観察。しかし兄弟でも大きさに差があり、育つのかどうか心配。卵も多い。白味の卵、青みの卵、黒い卵と様ざま。黒味の強いのは雛の誕生がまじかだ。そんな中にコチドリのウメの花状の4卵を発見。コアジサシは比較的高台にやっているがこの島その物が低い。どうか大雨が降らないでと祈るしかない。
作業を終えた帰り道の中州で営巣している物がいた。何処の世界にも大勢でいるのが苦手な物がいるのだなー。数は少なく2組確認。
6月
1日
アリーナ前で恒例の雛祭り。小田原市が募集した親子やコアジサシの成長を心待ちにしている市民の方約80名に中州で抱卵中の親鳥を観察してもらう。親子の方々にはコアジサシの絵を書くプレートの作成に参加してもらう。そしていつもの西条さんのパネルシアターをやって雰囲気を盛り上げる。本来なら駆けづり回る雛を見ていただける筈だったが、カラスの洗礼を浴びたようで雛の姿はない。飛び飛びに親が座っているのが10羽ほど。5から6巣ほどか。失敗したものは上流の報徳中州に移動し合流したようだ。この集合離散もいつものこと。条件が良ければこうしていても子育ては成功する。大雨さえなければね。
11日 報徳中州は順調だ。アユの解禁も10日も過ぎると静かで、中州も穏やかだ。中州周りには6人ほどの釣り人と2人のバードウオッチャー。地元のものが土手から遥か遠くの中州を観察しているのに、お客様は堂々と至近距離の対岸の中州へと侵入。まさかコロニー内へは入らないだろうと警戒していたら、良かった。手前から望遠鏡で観察だ。水流が強くてうかつには入れない。目くじら立てて、抗議はしないが、自分達に少しでも保護の体験でもあれば、気になって遠慮しながらの観察になるのだろうけど。
 コアジサシの乱舞は見られない。雄は浅瀬で水浴び、雌はそれぞれに抱卵中。31日からは既に2週間が経っている。あの時見た雛も既に若鳥へと成長していることだろう。親と一緒に水浴びをする生後3週間ほどのものが目に入る。軽くはばたきもする。流木の大木が彼らの隠れ家となっている。その周辺に数羽の雛を見る。随分大きな魚を運んでもらっている。今日の蒸し暑さに親は水を含ませ卵を冷やしている。
 全体の数は幾分減少。本日の総数は120から130羽ほど。雨はなかったから解禁による人圧のせいだろう。それらはどうももとのアリーナに戻ったようだ。アリーナ前が増加している。
 早速台風が発生している。勢力は衰えているとの事だが20ミリ以上の雨が予想される。余り低いと冠水の恐れがある。
12日 河口のコロニーは30羽を切り始めている。4月中旬50羽ほどが飛び回っていたが、結局は5月中旬落ち着いた者は30羽程で他は報徳橋に移動したようだ。その同数が報徳橋で増えている。しかしこのところ目の前の4本の木の1本に営巣しているカラスが動き出して、卵を狙っていて今は10羽が頑張っているだけだ。淋しい光景だが、これもいつもの事。離合集散はコアジサシの常。
 アリーナ前は幾分数が増え出した。一度カラスの攻撃に合い、大方は消えたが、又少しづつ数を戻している。最初からやっていた者には雛の姿も見える。そろそろ親が草叢や水辺へと雛を誘導を始め、小田原側からは見え難くなった。
 報徳橋コロニーは相変わらず多い。雛も続々生まれ、中州の中はべビーラッシュでおお賑わい。ここでも雛の大きさには20日以上の開きがある。既に親と共に水浴したり、はばたきの練習に励む者がいる一方、生まれたばかりで首だけを激しく動かし餌をねだっている者がいる。更には交尾をしているものも。お天気が悪く釣り人の数も少ない。コアジサシは安心して、思い思いに休息中。寒いのに浅瀬で水浴中のものも多い。午後4時、餌運びは行なわれていない。しかし全体に数は減少した感じ。40羽ほど少ない。
13日 お昼。時折雨粒が落ちてくる。報徳中州では更に雛の数が見える。移動して大木の根元に固まっている。やはり雛を守るには大きな石や草叢が有効だ。餌をもらいに出るとき以外は皆ここでじっとしている。上空の敵から身を守るには有効だ。近くにカラスの姿はない。ここのカラスは雛が出て別の所に移動したのか。
14日 大井高校前中州に数羽のコアジサシがいる。数組が営巣中だ。キャラキャラと鳴き声が響く。更に足柄大橋付近に2組が営巣中。車が入っているが、大丈夫か。先日大口周辺に沢山のコアジサシとの情報。確認に行くがそれらしき群れはいない。時折えさとりに飛んでくる者がいるだけ。しかしコアジサシに丁度良い砂州はある。が、低い。
15日 昨夜の雷を伴う大雨には生きた心地がしなかった。おそらく低い位置の者は冠水して放棄を始めているだろう。我が家の前の用水路は轟々と音を立て、水位は相当高い。これでは半分は駄目だろうと思っていたら、アリーナ前はそれほど水位は上がらず問題は無かったとの情報。良かった。水は濁っているとのこと。餌が取り難いだろうな。
16日 こわごわ報徳中州へと出かけた。水量は幾分多めで釣り人は20名ほど。休日にしては多くない。中州は賑やかだ。コチドリがこの雨で卵をやられたらしい。一からやりなおしでさっきからこづきあいが頻発。肝腎のコアジサシは約80羽ほどか。この増水で40羽が減少。流木が向きを変えている。一人で移動するのは困難だったが水の勢いはいとも簡単にその向きを変えてしまった。元々低い中州だったが、更に低い所を狙って水が走ったようだ。その水みちのものがやられて、移動を始めたのだろう。しかし不幸中の幸。大きな雛から小さな雛まで
殆どが生き延びている。生後数日と言う小さな者までいる。このサイズが生き延びられたのだからさらに大きな者は高い所へと移動が出来たのだろう。もう既に親と一緒に飛べる雛がいる。それも長距離を。餌運びも順調なのだろう。頻繁に大きな銀色の細長い魚を運んでくる。この雨は狩川に大雨をもたらしたようで、増水が著しい。そのため河口付近は腰までも浸るほどの水位という。河口付近は5羽が飛びまわる。アリーナ前は餌運びの姿がないという。カラスが子供を連れて中州に鎮座。まだまだ攻撃の手を緩めない。中州から姿を消したコアジサシは何処に移動するのか。他の中州で急に増加する事がある。探してみよう。
17日 報徳橋付近から冠水のため去ったコアジサシ40羽の半分ほどが大井高校前付近で飛びまわっている。以前から数組がやっていたが、もしかしたらここに合流するかもしれない。要注意。
 報徳中州の雛は皆元気。長距離が飛べるものが増えている。雛は水辺に移動して来ていて、見やすい。
鬼柳に近い中州でも繁殖を始めたものがいる。3組ほど。また雛への給餌が頻繁。鬼柳の田んぼから運んでくるものもいる。小さな黒い魚かおたまじゃくしか?。例年以上に給餌が頻繁な印象だ。からす2羽の姿がある。小田原側で佇む。いつか狙いをかけるつもりか。
19日 報徳中州に着くや否や、コアジサシの乱舞が目に入る。少しいつもと様子が違い不吉な予感がする。急いで雛の姿を探すが流木周りにもその影はない。全身の血の気が引いていく。ただせさえ貧血気味でふらつくのに。しかしもう一度数えなおし、やっと水際の草叢で雛の姿を確認。釣り人が中州を横断する姿がある。そのせいか親も子も神経質になっている。上空を乱舞するのはやはり80羽ほど。幾分数が増えているかもしれないが、16日に減少したままの状態は変わらない。その上空乱舞組に雛が混じっていた。堂々と親と飛びまわるのは3羽ほどか。例年にない成長の早さ。餌運びが順調だったようだ。報徳中州は鬼柳の水田が近く、2羽が川からではなく、水田から餌をとって運んでいる。黒い丸い物。おたまじゃくしのようだ。いとも簡単に飛びこんで確実に捕らえ、運ぶ。流れのある川より動かない水面からこれまた動かないおたまじゃくしは取り易いようだ。カラスが2羽小田原側で遊んでいる。
28日 報徳橋にて峰岸さんと雛の数の調査。完全に親と一緒に飛べるものが8羽、中くらいの雛、短距離なら飛べる雛8羽、生後10日いないの雛6羽。抱卵中の物30羽以上。全体で上空を飛んでいるコアジサシ80から90羽。結局飛べるまでに成長した雛は16から20羽ほど。
7月4日 報徳橋下でコアジサシ総数20羽程。大きな雛飛べる物2羽。石に止まって親からの給餌を待つ。中くらい雛1羽。小さな雛ゼロ。抱卵中6組。1週間前の小さな雛は殆ど姿がない。カラすの被害か?多くの物は営巣地を離れた。
7月10日 台風6号、大雨をもたらす。中州は冠水。跡形もない。数日水が引くのを待つがその姿はなかった。

7月15日 小田原河口にて雛1羽親1羽を見る。給餌中。台風の余波で波が荒い。上空に2羽。
今年の総飛来数は約180から200羽。営巣地4箇所。カネボウグランド、アリーナ前の小さなコロニーは殆どカラスの被害に合い全滅。若鳥が約20羽。7月中の大雨は大きな被害をもたらす結果となった。