アイヌア

聖なる精霊達、創世の歌い手
エルより出でし僕


 アイヌア(Ainur)とは、唯一なるエル(またの名をイルーヴァタールとも言い、いわゆる『神』とでも言うべき存在です)により最初に創られた者達です。彼等は肉体を(少なくともその始まりにおいては)持たず、エルの提示する『創世の音楽』を奏でる精霊達でした。肉体は持たずともその霊的指向から男女差(のようなもの)はあり、後にアルダで暮らすようになると、そのような肉体を持つことになりました。『アルダ』とは『創世の音楽』によって創られた球形の世界、すなわちこの地球(の大いなる過去)を示します。

 アルダの中央には大きな島が創られました。これこそ『中つ国』であり、当初アイヌアはここで暮らす事になっていました。その計画の破綻には、最も優秀なアイヌア、メルコールの我欲がありました。欲望と自尊心に取りつかれた彼は、『創世の音楽』を不協和音で乱し(そのためエルは新たな音楽の主題を提示しました)、完成した中つ国に武力でもって覇を唱えんとしました。そのためアイヌア達は危険な中つ国を後にし、遥か西方に自分達の島、『至福の島』を創り直しました(ヌメノールの西方国とは、また別の島です)。

 アイヌアの中でも、とくに優れた者達はヴァラール(単数形はヴァラ)と呼ばれ、その下で働いた者達はマイアール(単数形はマイア)と言います。彼等は人間達から神と呼ばれる事もありますが、厳密にはちょっと異なります。神と見紛う神性の持ち主とはいえ、彼等はあくまでエルに仕える精霊達なのです。エルフ達には、直接アイヌアに教えを受けた者もいるということもあってアイヌアを「優れた先達」と見る意識が強いようです。

 『指輪物語』中には、彼等の直接の出番はありません(イスタリを除く)が、アラゴルン戴冠の場面で「ヴァラールの祝福」を乞い願う場面が登場します。人間達のアイヌア観が良く判るシーンと言えるでしょう。


イスタリ

 イスタリは第3紀の中つ国において最も重要なアイヌアです。彼等は『魔術師団』であり、サウロンに対抗する自由の民の手助けをする為に送り込まれてきたマイアールです。その力はサウロンに迫る強大なものであり、その本性は「人に身をやつした精霊」に他なりませんでした。しかし彼等は、その力をもって直接サウロンに挑む事と、中つ国の人々を支配する事は禁じられていました。彼等の役目は、あくまで手助けだったのです。逆に言えば、彼等はそれが可能な実力者であったと言うわけです。その強力なイスタリは、わずかに5人。

 “白”のサルマン、アウレに仕えるマイアールで無生物と創作を宗とする。
 “灰色”のガンダルフ、マンウェに仕え、風を纏い智恵と共感に長ける。
 “青(明)”のアラタール、オロメに仕え、森と原野をさすらう狩人。
 “青(暗)”のパルランド、マンドスに仕え、死に到る生、魂の守り手。
 “茶色”のラダガスト、ヤヴァンナに仕え、生物を慈しむ。

 というメンバーでした。不幸なことに、彼等は特に精神面で人間同様の弱さを抱えており、疲労や倦怠、自尊心や驕りと無縁ではいられませんでした。任務を完遂したイスタリは僅かにガンダルフ唯1人だったのです。

ガンダルフ

アラタールとパルランド


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