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関連本の世界

2002年2月に出版された本

「中つ国」歴史地図 トールキン世界のすべて
ロードオブザリング 旅の仲間
ロードオブザリング 公式ガイドブック
『指輪物語』冒険の手引き
指輪物語完全ガイド
『指輪物語』のファンタジー・ワールド


「中つ国」歴史地図 トールキン世界のすべて
 書 名 :「中つ国」歴史地図 トールキン世界のすべて
 著 者 :カレン・ウィン・フォンスタッド 琴屋草訳
 発 行 :評論社
 価 格 :3800円+税
 版 型 :A4版227頁



 対 象 :中級者〜上級者

 題名どおり、中つ国の第1紀から第4紀始めまでの各時代・諸地域の地図帖です。いわゆる普通の「地図」以外にも、数多の英雄や軍勢が辿った道筋の解説、植生や人口分布も含まれた大変充実した内容になっています。訳語は瀬田訳準拠(当たり前か…)。地図中の説明文の字体も『指輪物語』中のそれと同じ様式になっており、統一感を出しています。

 本書は、地図的な意味での資料となっているのはもちろんですが、戦争の勝敗や民族の移動、気候や疫病の変遷などあらゆる面での情報が得られます。『指輪物語』追捕編ABの強化ヴィジュアル版といった所でしょうか。非常に読み応えがあります。

 著者のカレン・ウィン・フォンスタッドはウィスコンシン大学で地理学の教鞭をとっていた著名な地図作家であるとのこと。プロが本気で遊ぶと、こんなに恐ろしい事になるのかという見本のような本です。中つ国は丸いのか? という問題の考察から始まり、地図上全ての線に根拠があると豪語するに到る彼女のプロ意識には、頭が下がる…と言うよりむしろ打ちのめされます。

 本書を分類するなら『指輪物語』の2次創作物、という位置付けになるのでしょう、が、この本は間違い無く中つ国地図のスタンダードとなっていく事でしょう。

 ところで、未訳の『The Unfinished Tales』と『The History of the Middle Earth』シリーズに言及している部分で、それぞれ『未完の物語』『中つ国の歴史』シリーズと訳が成されているのですが、これは評論社から翻訳する意志があるってことでしょうか!?(注:願望で喋ってます)

 

ロードオブザリング 旅の仲間
 書 名 :ロードオブザリング 旅の仲間
 著 者 :ジュ―ド・フィッシャー 田辺千幸訳
 発 行 :角川書店
 価 格 :1600円+税
 版 型 :A4版72頁オールカラー



 対 象 :初心者〜

 映画板『指輪物語』、『ロードオブザリング』の基本的な解説本です。エルフと人間の最期の同盟戦、中つ国の種族と物語の登場人物、ホビット庄やモリア等の地域を、映画の映像やスチール写真と共に紹介しています。訳語は映画字幕(シャイア等)と瀬田訳(野伏等)が混在。

 魔法、竜、といった単語にルビが振ってある事から、相当低年齢層まで読者に想定してるのは間違いありません(いいのか?)。原作を読んでいる人にとっては目新しい情報はありませんが、映画の写真がふんだんに使われていますので、その点に価値を見出せる方は「買い」でしょう。ただ写真の粒子が微妙に粗いように感じられます。

 また、説明文の中には映画で触れられていない情報(時間の関係でカットされたのか?)も盛り込まれていますので、原作を知らない人にとっては良い入門書と言えるかも知れません。

 ところでこの本、ファンの間では、純真で、気立てがよく、あまり頭のよくないピピンという記述があることで有名だったりします。そうだったのか…。
 ついでに言うと、ケレボルンの扱いは地味に徹しています。


ロードオブザリング 公式ガイドブック
 書 名 :ロードオブザリング 公式ガイドブック
 著 者 :ブライアン・シブレイ 田辺千幸訳
 発 行 :角川書店
 価 格 :2000円+税
 版 型 :A4版120頁オールカラー



 対 象 :初心者〜

 小説『指輪物語』ではなく、映画『ロードオブリング』のガイドブックです。上でご紹介した『ロードオブザリング 旅の仲間』とは違い、中つ国関連の諸設定にはほとんど触れられていません。監督、俳優の紹介や、セットや小道具の解説が中心で、写真と文の占有面積比はほぼ半々。やはり写真の粒子が粗め。中に1枚、どう見てもこれ2作目以降のショットじゃないの? と思える写真が混ざってます(しかしこの写真は…)。訳語は基本的に字幕準拠ですが、“韋駄天”ではなく“ストライダー”が採用されていたり、“指輪物語”という表記があったりしますので、原作からのファンもそう違和感は無いでしょう。とりあえず『オフィシャルガイド』という位ですから、ファンとしては買わないわけにはいきません。人の弱みに付け込んだ悪い本です(笑)。

 基本的に、映画『ロードオブザリング』を「見た」人向けの、記念アルバムのような本です。正直、動いていない映画の一場面を見ても大した感動はありませんし、裂け谷のミニチュアモデルやオークのかぶりものの写真がばっちり掲載されてしまっているのは、未だ映画を見ていない人にとってはマイナスの影響しかないように思えます。

 映画のパンフレットだと思えば、2000円でこの内容・紙質は決して高くないでしょう。5年くらい後に、映画を思い出しながらめくるのが、正しいこの本の楽しみ方ではないかと…。

 ついでに言うと、ケレボルンがセレボルンと表記(というか誤記)されています。もちろん扱いは地味です…。


『指輪物語』冒険の手引き
 書 名 :『指輪物語』冒険の手引き
 著 者 :坂本犬之介+オフィス新大陸
 発 行 :KKベストセラーズ
 価 格 :895円+税
 版 型 :B6版175頁


 対 象 :初心者

 指輪物語が書かれた背景と、中つ国の地図、あらすじ、旅行ガイド風の地域の解説、77のキーワードと称するQ&Aといった構成で、字は多少大きめで行間も広めです。あらすじ、地域解説には思いっきりネタばれが含まれていますので、未読の方はご注意を。訳語は瀬田訳準拠。

 帯に<指輪の世界>をひも解く入門書の決定板とあるように、明らかにこれから『指輪物語』を読む人向けの内容です。あくまで「読む」人向けですので、映画でカットされているトム・ボンバディルなどにも触れられています。Q&Aは一問一答につき1頁が割り当てられ(例外あり)、ホビットの習性やナズグルの説明から始まって、アイヌア、ヌメノ―ル、インクリングスの解説といった部分まで網羅しています。ただ、ヌメノ―ルの説明頁より前に、「パイプ草はヌメノ―ルからもたらされた…」というような記述が出てくるので、多少読者が混乱するかも知れません。とは言え、索引が必要なほど入り組んでいる訳ではありません。

 こういった内容ですので、指輪中級者以上の方は手を出す必要は無いかとも思われますが、Q&Aも終盤になると何となく妙な回答が楽しめます。指輪を通常の手段で破壊できない理由を、温度と圧力といった「科学的」な理由に求める一方、サウロンがマグマで指輪を鍛えた方法を「魔力」に求めるといったアンバランスさには、多少首を捻ってしまいます。「ガンダルフの魔法の火はなぜ青い?」の回答に到っては…、これジョークなのかなあ?

 総合的に見て、第1紀、2紀についての記述は弱いのですが、第3紀の固有名詞や設定を初心者に解説する役割は果たしていると思われます。ただ、解説がネタばれと結びついている点は、評価が分かれるでしょう。

 それにしても本書の題名、『指輪物語』冒険の手引き、の「指」の字だけ一回り大きなフォントになっているのが微妙に謎です。


指輪物語完全ガイド
 書 名 :指輪物語完全ガイド J.R.R.トールキンと赤表紙本の世界
 著 者 :河出書房新社 編
 発 行 :河出書房新社
 価 格 :1200円+税
 版 型 :A5版144頁


 対 象 :中級者

 『ホビットの冒険』と『指輪物語』の解説、そしてトールキン関連のコラムと論文、訳者インタビュー、トールキン関連書物のデータとトールキン年表が含まれています。訳語は瀬田訳準拠です。

 『ホビットの冒険』と『指輪物語』が書かれた背景、種族の解説、そしてそれぞれの旅の工程、といった基本的なコンテンツはすべて網羅しています。種族の説明においては、トールキン以降のエルフやドワーフの解説ではなく、“実在する”神話や伝説に起源を求める過去へのアプローチとなっている点が特徴的です。またビルボやフロドの旅の工程が、地図と年表で詳しく解説されています(『指輪物語』追捕編Bを更に詳細にしたような体裁と言えば分り易いでしょうか)。当然ながらネタばれ全開ですので、未読の向きはご注意を。

 さらに『ホビットの冒険』の改訂の歴史、『指輪物語』の内容や構成の遷移、過去の雑誌に掲載されたコラムなどが含まれており、非常に資料的価値の高い本となっています。この本を一言で形容するなら、正に“資料”というのが適切でしょう。正直、「読んで楽しい」という本ではありません(今まで知らなかった知識が得られるという「楽しみ」はあります)し、そもそも楽しさを追求した本ではないように思えます。『指輪』のことはあらかた知っている、という上級者の方はともかく、『指輪』が好きで、もっと詳しくなりたいという方は買って損は無い内容ではないかと。

 著者名が明記されておらず、「河出書房新社編」となっている事からも推測できるように、個人的な感情や好みを限りなく廃した内容となっています…が、「トールキン・ブック・ガイド」の項は少々趣きが異なります。評論社文庫改訂版に追捕編が含まれていない点についておかしなことに文庫版では、追捕編が収録されていない」とか、「単行本版で必ず揃えて読んで欲しいというように、やけに力の入った解説になっています。そういう目で見ると、原書房刊『注釈版 ホビット』の紹介がいかにも厭々という感じで…好感が持てます(笑)。


『指輪物語』のファンタジー・ワールド
 書 名 :『指輪物語』のファンタジー・ワールド
 著 者 :粥村寄り合い 編著
 発 行 :アートブック本の森
 価 格 :1400円+税
 版 型 :B6版238頁


 対 象 :初心者〜中級者

 ネット上で『指輪物語』関連のサイトを立ち上げている人々の原稿をまとめた本です。あらすじ、背景、解説、コラム…等々、各サイト運営者の興味の赴くままの原稿を一冊に詰め込んでいるため、良くも悪くもごった煮のような内容となっています。訳語は新・旧入り乱れています。

 力不足ながら、当サイトからも文章を提供しています。ついでに言うと、管理人は校正のお手伝いまでしてました。従ってこの本については「公正」もなにもあったものではないので、あらかじめご容赦の程を…。

 基本的に上に挙げた内容の本ですので、ここを見られる環境にある方々にとっては購入する必要性は薄…(ごほごほ)。多くのサイト運営者が参加しているため、内容は多岐に渡っています。『指輪』ファンの方々といえども、本書の全ての内容を網羅している方は多くはないでしょう。内容の多彩さは、様々な境遇や分野の中に『指輪』が入りこんでいるという証左とも言えます。個人的には、ファンになって色々知識を仕入れはしたものの、常に上はいるのだ(しかも大勢)ということを、改めて思い知らされた本でもあります。

 本書に収録する原稿については、多くの方が元から在った文章に手を入れ直すことを望まれたそうです。滅多なことは書けませんからね…(自戒をこめて)。



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