ノンダイエット運動(1)(週刊やさしいダイエット第102号より)
■はじめに
世の中は相変わらずダイエットブームです。テレビは中国製ダイエット食品や脂肪吸引手術による死亡事故を報道する一方、肥満は万病の元、痩せましょう、痩せましょう、痩せるためには○○を飲みましょう・・・と、まるで痩せさえすれば健康になれるかのようにダイエットを煽っています。
しかし本当に痩せさえすれば/痩せれば痩せるほど、心身ともに健康になれるのでしょうか?肥満の先進国であり、ダイエットの先進国でもあるアメリカも、かつてはこの様な考えにとらわれ、多くの死者を出しました。しかし10年ほど前、「ノンダイエット運動」と呼ばれるムーブメントが起こり、行き過ぎたダイエットに警鐘が鳴らされたのです。今日はアメリカで起こった「ノンダイエット運動」についてご紹介します。
■慢性ダイエット症候群
「ノンダイエット運動」という言葉から、皆さんはどんな想像をされるでしょうか。ダイエット(食事療法)を行わず運動だけで痩せようとすることかな?スリム至上主義に反して肥満を賛美しましょうと言うことかな?それとも実はノン運動ダイエット=運動せずに楽に痩せるダイエットだったりして?
「ノンダイエット運動」とは、一口に言えば「慢性ダイエット症候群」にサヨナラしようということです(慢性ダイエット症候群と言うのは造語で、実際にはそんな病気は無いのですけどね)。ダイエットは本来、「より良く生きる」と言う目的のための、数ある手段の一つに過ぎませんでした。しかし、ダイエットにのめりこむことによって手段と目的が逆転し、ダイエットのためのダイエットになってしまい、毎日が(または人生が?!)ダイエット中心に回るようになるのです。
この様なお話をすると、「自分は大丈夫、体重ではなく体脂肪率重視の健康ダイエットをしてるから」とか「」と否定される方もいるかもしれません。しかしそう言う方こそよく考えて欲しいのです。何を「食べるべき」かを考える余り、自分が本当は何を「食べたい」のか忘れていませんか?たった一日運動をサボることが怖くて、体調の悪い時でもジムやウォーキングに出かけたりしませんか?知人や友人が自分より痩せていると、自分は何てダメな人間なんだろうと落ち込んだりしませんか?逆に知人や友人が自分より太っていると、優越感を感じたり、時に見下したりしませんか?
これらの中に思い当たる節があるならば、もしかすると貴方は気づかぬうちに慢性ダイエット症候群に陥っているのかもしれません。そして10年前、アメリカの多くの人々もこの様な思考に陥っていたのです。当時、高名な心理学者は次のように語りました。「私たちが次に取り組むべき問題は、慢性ダイエット症候群です。痩せることへのプレッシャーやダイエットの失敗によって、人々は自信を失いし思考を歪めてしまっています。私たちはもう一度、より良く生きるとはどういうことか、考えなければいけないでしょう。」
■ノンダイエット運動
それでは慢性ダイエット症候群にサヨナラし、ダイエット本来の目的である「より良く生きる」ためにはどうしたら良いでしょう?先に挙げたノンダイエット運動では、「気持ちよく食べ」「気持ちよく運動し」「気持ちよく過ごす」ことを三本柱に掲げています。
「気持ちよく食べ」と言うのは、「お腹が空いたら食べたいものを食べ始め、お腹が満たされたら食べるのを止める・・・と言う、人間に本来あるべき空腹・食欲・満腹の感覚に従おう」と言うもの。これによって「食べてはいけない」から解放されるばかりでなく、「次の食事までにお腹が空くといけないから、お腹がいっぱいだけどもっと食べなきゃ」「本当はあっちが食べたいんだけど、ダイエット中だからこっちしか食べちゃダメ」と言う義務感から解放されます。
「気持ちよく運動し」と言うのは、楽しい体験としての運動や、誰でも出来て生活の中で出来るような運動を取り入れて、楽しさ・活動性を高めていくこと。これによって筋肉と汗を賛美するような凝り固まった考えから抜け出し、心拍数や歩数などのノルマから解放されるのです。
そしてノンダイエット運動はあくまで「自己発見」に焦点を当てています。自分はこの世にたった一つの尊いものなのだと言う「自尊心を高めること」、人の体型には色々あるのだと言う「多様性を認めること」、痩せていない自分もまた大事な自分なのだと言う「自分自身を受け入れること」を目的にしています。これにより私たちは「体重をいかに落とすか」ではなく、「人生をいかに生きるか」考えられるようなり、カロリーや体重・体型にとらわれず、毎日を気持ちよく過ごせるようになるのです。
(次週に続きます)
1つ前の号へ‐
トップページへ‐
目次へ‐
1つ後の号へ