食べ過ぎの原因“5つの仮説”(週刊やさしいダイエット第13号より)


■はじめに

「食欲の秋」の到来です。もぎたてのフルーツ、脂ののったサンマ、それに松茸…どれも美味しくて、ついつい食べ過ぎてしまいますよね。

皆さんもご存じとは思いますが、人間の脳には「空腹中枢」「満腹中枢」と言うものがあって、これらが食欲をコントロールしています。このメカニズムがうまく作動すれば「食べ過ぎる」などと言うことは起こり得ないはずなのですが、現代ではどうやらこのメカニズムに乱れが生じているらしいのです。

今日は、食べ過ぎの原因とされる“5つの仮説”についてお話します。これはまだ、人間ではハッキリした証明は出来ていないのですが、豆知識として知って頂ければと思います。

■仮説1;満腹感の限界が上がる

食事をすると、食物の中に含まれていた糖分が血液中に吸収され、「血糖値(文字どおり血液中の糖分の値)」が上がります。この血糖値があるセットポイントを超えると、満腹中枢が作動します。

しかし、何らかの原因でこのセットポイントが正常より高くなってしまっていると、通常より沢山食べないと満腹中枢が働かなくなってしまいます。つまり、満腹を感じる頃には既に食べ過ぎになってしまっているのです。

■仮説2;過剰インスリンが空腹中枢を刺激

インスリンと言うのはホルモン(体内で作られる化学物質)の一種で、エネルギーの貯蔵に関連します。一方でインスリンには空腹中枢を刺激する働きがあり、何らかの原因でインスリンが過剰に出ていると、必要以上に空腹を感じ、食欲が湧いてしまいます。このパターンは肥満症の人に多く見られます。

■仮説3;脳内アミン機構の乱れ

アミンと言うのは脳の働きに関連する物質です。この一種に「セロトニン」と言う物質があり、これは満腹中枢や空腹中枢の調節に関与しています。また情緒の安定にも関与します。

この為、ストレスなどによって情緒が不安定になり、セロトニンの働きに乱れが生じると、満腹中枢や空腹中枢の調節もうまくいかなくなります。これは「ストレス食い」に関連しているのではないかと言われています。

■仮説4;ペプチドホルモンの乱れ

アミンの他にも脳の働きに関連する物質があります。その一つがペプチドホルモンです。この中にも食欲を促進させる物質、逆に抑制する物質など様々なものがあるのですが、それらのアンバランスが食べ過ぎの原因になっているのではないかと言われています。

既にマウスでは、遺伝的に肥満するものには特定のペプチドホルモンが不足していることが報告されていますが、人間でも同じことが起こっていないか、研究がすすめられています。

■仮説5;ストレスの影響

動物実験で、ストレスを与えつづけると食欲が亢進することが発表されています。例えばマウスの尻尾(しっぽ)をチクチク刺激し続けていると、そのマウスは食べ過ぎて太ってしまうと言われています。

人間でも、空腹ではないのに不安や心理ストレスから逃れる為に沢山食べることがあり、これを「代理摂食」と呼んでいます。「気晴らし食い」「いらいら食い」とも呼ばれます。いずれも若い女性に多いそうですが、それ以外でも肥満症の人には「食べてストレスを解消する」ことがしばしばみられます。

■最後に

以上5つの仮説についてお話してきましたが、多かれ少なかれ「ストレス」が食べ過ぎに関与しているらしいことがおわかり頂けるでしょう。美味しいものを心行くまで食べると、お腹と一緒に心まで満たされます。しかし、常にこの方法でストレスを解消していたら、健康や美容の面で新たなストレスを産み出すことでしょう。

「食」以外のストレス解消法を見つけること。これが私達一人一人に与えられた課題かも知れません。