有酸素運動と無酸素運動(週刊やさしいダイエット第26号より)
■はじめに
新世紀が始まり、心も新たに「何か始めてみよう!」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?「やさしいダイエット」でも今まで食事療法やメンタルケアを中心にお話ししてきましたが、今年は「エクササイズ元年」と題しまして、運動療法にも視野を広げていきたいと考えています。
まずはその第1回として有酸素運動と無酸素運動について取り上げたいと思います。
■有酸素運動と無酸素運動の違い
一般に有酸素運動は息を吸ったり吐いたりしながら行われる運動で、一方の無酸素運動では息をこらえて行われる、と区別されているようです。勿論これは間違いではないのですが、厳密には両者は「筋肉のエネルギー源の供給方法」に違いがあるのです。
筋肉を動かすときには当然エネルギーが必要となります。このエネルギー源となるのが体内で作られるアデノシン三リン酸;すなわちATP(エー・ティー・ピー)なのですが、有酸素運動と無酸素運動ではATPの作られ方が違います。
こんな風に書くと難しく思われるかも知れませんが、要は「パックマン(筋肉)」が食べる「パワーえさ(ATP)」の作り方の違いなのだと考えてください(例えが古すぎる?!)。
パワーえさ(ATP)を作るときには酸素が必要です。運動の程度が軽いときには十分な酸素を使ってのんびりパワーえさ(ATP)を作っていれば大丈夫です(この状態が有酸素運動)。
しかし、運動が激しくなってパワーえさ(ATP)が短時間に大量に必要になってくると酸素の供給が追いつかなくなってしまいます。それでもパワーえさ(ATP)は作らなければなりませんから、別の製造方法にスイッチします。でも、その方法だとカス(乳酸と呼ばれる疲労物質)が出てしまうのです(この状態が無酸素運動)。
それでは有酸素運動と無酸素運動では具体的にはどんな違いがあるのでしょうか?
■有酸素運動とは?
有酸素運動は先ほどもお話ししましたように十分な酸素を使ってパワーえさ(ATP)を作る運動です。この運動には以下のようなメリットがあげられます。
・心臓や血管への負担が小さい
・長い時間続けられる
・脂肪が消費される
・疲労物質がたまりにくい
・安全性が高い
有酸素運動はカス(乳酸と呼ばれる疲労物質)が出にくいので長い時間続けることが出来、長い時間続けられるから脂肪の消費もさかんになります。また乳酸は脂肪の消費をおさえる働きがあるので、これが出にくい有酸素運動は脂肪の消費に有利だと言われます。この為有酸素運動は体脂肪の減少、すなわち太りすぎを改善し生活習慣病を予防するのに有用な運動と言うことができます。
主な種目としてはウォーキング、ゆっくりしたランニング、サイクリング、ダンス、体操、ゆっくりとした水泳などがあげられます。
しかしこれらの種目も息が切れるくらい行うと、やはり酸素の供給が追いつかなくなりますから無酸素運動と同じようになります。
■無酸素運動とは?
無酸素運動とは酸素が不足した状態でパワーえさ(ATP)を作る運動です。この運動には以下のようなメリットがあげられます。
・筋肉が鍛えられる
無酸素運動を行うと乳酸がたまりますが、これが繰り返されることにより筋肉が鍛えられると言われます。運動ですからカロリーは消費しますが、有酸素運動のように脂肪を効率よく消費する‥と言う訳にはいかないようです。ただし、筋肉をつけることで食事制限や体重の減少に伴う基礎代謝の低下を緩和することができます。
主な種目としては全力疾走のランニング、筋トレ、全力で泳ぐ水泳など。
■最後に
以上、有酸素運動と無酸素運動についておわかり頂けたと思います。
ダイエットカウンセリングではしばしば「テレビで有酸素運動がいいと言ったり、無酸素運動の方がいいと言ったりするんですけど、本当はどっちがいいんですか?」と相談される方がいらっしゃいます。確かに全く逆の方法をどちらも「これが最良の方法です」と言われたら、どっちが本当?と混乱してしまうことでしょう(ましてや両方やる余裕などないでしょう)。
しかし、ダイエットに王道なし、と言いますか、万人に共通した最良の方法と言うものは、そもそも存在しないのかも知れません。例えばいくら「水泳は有酸素運動でダイエットに良い」と言っても、月に1〜2回嫌々ながらプールに通うような人にとっては、毎日ジムで筋トレに励んだ方がずっと効果的でしょう。
大切なのは有酸素であれ無酸素であれ、自分が気持ちよくと感じる運動を続けることだと私は考えます。