ダイエットと基礎代謝(週刊やさしいダイエット第28号より)
■はじめに
ダイエット相談をしていると、しばしば基礎代謝に関する質問を受けることがあります。「基礎代謝が悪いので、なかなか痩せないんです」「どうしたら基礎代謝を上げることができますか?」ダイエッターの皆さんの基礎代謝への関心は意外に高いようです。
以前にも基礎代謝については基本的なところをお話ししましたが、今日はもう少しダイエットと関連づけて基礎代謝について考えてみたいと思います。
■基礎代謝をあげるには?
まず最初に復習しますが、基礎代謝とは人間が生きていくための体の働き(例えば呼吸や血液の循環)に使われるカロリーのことで、いわば「運動をしていなくても、消費されるカロリー」なのです。その為多くのダイエッターが減量のために基礎代謝を上げようと試みます。
基礎代謝の量に関係するものは主に「年齢」「性別」「体格」「気温」「食事」の5つです。このうち「年齢」「性別」「気温」は個人の努力の及ばないものですから、私たちが多少なりとも改善できるのは「食事と体格」と言うことになります。
このうち「食事」は量が増えるほど基礎代謝も増えるのですが、かと言って「ダイエットのために今まで3000キロカロリーだった食事を5000キロカロリーまで増やしました」と言うのはナンセンス。むしろ「安静時代謝」(第12号「基礎代謝って何だろう?」で出てきましたよ!)を下回らないよう、摂取カロリーの減らしすぎに気をつけるようにしましょう。
また「体格」は筋肉量の多い人ほど基礎代謝も増えます。ですからダイエットに運動の併用が奨められるのは、カロリーの消費と言うだけでなく、食事制限によって起こる基礎代謝の低下を、筋肉量の増加によって防ぐためでもあるのです。
■基礎代謝に関する間違った思いこみ(1)
次によくありがちな基礎代謝に関する間違った思いこみについて幾つか取り上げてみましょう。
まずは「基礎代謝を上げて二度と太らない体質を作る」と言うもの。一度頑張って筋肉量を増やし基礎代謝を上げれば、あとは一生ダイエットに困らない‥なんてことが出来たらいいですね。でも、実際にそのようなことはできません。
何故なら筋肉量は鍛えるのを止めれば再び減ってしまうからです。スポーツ選手が現役を引退したらどんどん体重が減ってしまった、と言うのも筋肉量の減少によるものです。筋肉量が減れば、基礎代謝も下がります。つまり一度高めた基礎代謝を維持したければ、運動を続け、筋肉量を維持しなければならないと言うことなのです。
■基礎代謝に関する間違った思いこみ(2)
次に「私は基礎代謝が悪いので沢山食べると太ってしまいます」と言うもの。このように訴える人の中にはしばしば1000キロカロリーを割るような極端な食事制限をしている人が少なくありません。彼らはそれ以上食べると太ってしまうと考えているのですが、先ほどもお話ししたように食事の量が減れば基礎代謝も減りますから、このような食事を続けていたら益々太りやすい体質を作るばかりです。
皆さんの中にももし、医師や栄養士の指導の元ではなく(「お医者さんの奨めるダイエット食品」なるものを使っていても、医師の指導を受けていることにはなりませんよ!)自己流で極端に食事を制限している人がいたら、今すぐ止めて欲しいと思います。
■基礎代謝に関する間違った思いこみ(3)
そして最後に「私は基礎代謝が悪いので痩せられないのです」と言う人の基礎代謝は、一体本当に悪いのでしょうか?以前、基礎代謝は「呼吸熱量計」や「閉鎖式呼吸計」などを使って測定することをお話ししましたが、これらの装置は大がかりなものなので、どこにでもあって、また誰にでも使えるものではありません。ですから自分の基礎代謝が本当に悪いのか知っている人はほとんどいないはずなのです。
また仮にあなたの基礎代謝が悪いとしても、同年代の平均の半分、若しくはそれ以下になっているとは、少々考えにくいでしょう。何故なら、80歳代でさえ20歳代の基礎代謝の8〜9割は維持できているからです。あなたは80歳のおばあちゃんより基礎代謝が落ちていると思いますか?
私は「あなたは痩せられないことを基礎代謝の所為にしていますね?」と責めようと思って、このようなことを言っているのではありません。もしあなたが、基礎代謝をあげるとうたわれているサプリメントや民間療法などにとらわれているのであれば、そこに費やしているあなたのパワーを、もう少し食生活や運動の習慣の見直しに向けて頂きたいのです。
■最後に
一度痩せたら二度と太らない‥そんなダイエットがあったら、どんなにいいでしょう!「基礎代謝を上げる」と言うのも一種の「二度と太らないダイエット」と信じられているのかも知れませんが、残念ながらそうではないようです。
どんなに食事に気をつけても、どんなに一生懸命運動をしても、例えば痩せる秘薬があったとして、それを使ったとしても、それらをやめてしまえば、体重もまた元に戻ります。敢えて言うなら、一番確実な方法は、痩せた体を維持できるような生活習慣を身につけていくことなのかも知れません。