食べていいもの・ダメなもの(週刊やさしいダイエット第31号より)


■はじめに

「猫も杓子(しゃくし)もダイエット」と言うご時世にあって、今やどのファッション誌でもダイエットの特集が組まれています。その中で目に付くのがダイエット中の食事に関して「○○はダイエット中でもOK」「△△はNG」と言った記事です。ひとくちにダイエッターと言っても色々なタイプの人がいますから、「NG」とされた食品でも気にせず食べている人もいますが、その一方でそれらの記事をひどく気にして「OK」と書かれたものしか食べられない、万が一「NG」なものを食べようものならあたかもそこで人生の選択を間違えてしまったかのようにオロオロしてしまう人もいます。

本当にダイエット中に「食べていいもの・ダメなもの」と言うのはあるのでしょうか?今日はそのことについて皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

■どちらが高カロリー?

ここで一つクイズを出します。こんにゃく100キロカロリーと、豚カツ100キロカロリー。さて、どちらが高カロリーでしょう?答えは「両方同じ」です。しかし、先ほどの例に挙げた「食べていいもの・ダメなもの」をひどく気にしている人は迷わず「こんにゃく100キロカロリー!」と答えることでしょう。

これは何を意味しているかと言いますと、どんなに「食べてもいい」とされているものでも、食べ過ぎればカロリーオーバーになると言うことです。逆に言えば、「食べてはダメ」とされているものも適量を守ればカロリーをセーブできるのです。

それではもし「食べてはダメ」とされる食品を徹底的に避け続けたら、どんなことが起こるでしょう?

■炭水化物抜きダイエット

「ごはんは太るから」と言う理由で炭水化物を抜く人をしばしば見かけます。また「カロリーは肉や野菜からも摂れるのだから」と考えて、炭水化物を一切摂らない人もいるようです。

しかし炭水化物は人間の体、特に脳神経にとって大切なエネルギー源となるブドウ糖を含んでいますから、これを極端に制限すると低血糖を引き起こし、ひどい時には脳神経に取り返しのつかないダメージを与えます。またブドウ糖の不足を補うために体内のタンパク質や脂肪が急激にエネルギー源として使われると、「体タンパクの崩壊」と言って内臓や筋肉がやつれたり、「ケトーシス」と言って体内の酸・アルカリのバランスが崩れたりします。このため炭水化物は1日に最低でも100g必要になるのです。

このようなお話をすると、中には「では炭水化物の不足を補うために、グラニュー糖やガムシロップを適宜摂れば効率的だ」と考える人もいるかもしれません。しかし腹持ちも悪く「食べる」という満足感にも乏しいそれらのものを摂るのであれば、ごはんやパン・麺類などを3度の食事に取り入れた方がストレスをためることなく炭水化物を摂取できることでしょう。

■あぶら抜きダイエット

にきびや吹き出物に悩む女性の中には、肌のトラブル防止のためにもあぶら(脂質)を制限している人が少なくないようです。あぶら抜きを始めた当初は肌の調子が良くなったと感じる人もいるかもしれません。しかし制限が行き過ぎると今度は肌のハリ・ツヤが無くなった、肌がガサガサする、と言った新たなトラブルが出てきます。

トラブルは肌ばかりではありません。ビタミンの中には「脂溶性ビタミン」と言って吸収に脂質を必要とするものがあるため、脂質の制限によってそれらのビタミンが不足するのです。これは夜盲症(暗いところで目が見えにくくなる)や骨粗鬆症の原因になります。また脂質の中には「必須脂肪酸」という体に不可欠な成分を含むものがあり、これが不足すると発育障害や皮膚炎を起こします。このため脂質は1日に最低でも10〜20g必要になります。

■肉類禁止

最近はダイエットにおける基礎代謝、ひいては筋肉量の重要性が強調されるようになりましたから、以前に比べれば積極的にタンパク質をとる人が増えてきているようです。しかしその一方で「肉類は太る」という思いこみは根強く、タンパク質の補給はもっぱら豆類から、と言う人も少なくありません。

しかし豆腐などに含まれるタンパク質の量は意外と少なく、同じ量のタンパク質を摂取しようとすると、肉類よりもカロリーオーバーになることがあります(20gのタンパク質を摂ろうとすると豆腐は150g;230キロカロリー、豚肉は100g;160キロカロリー必要です)。またタンパク質は動物性のものと植物性のものの両方を摂った方が栄養価が高くなると言われています。

■おわりに

以上、しばしば見られる「炭水化物」「あぶら」「肉類」を禁止したダイエットについてお話ししましたが、そのどれもが決して「ダイエット中に食べてはダメなもの」ではないことがおわかり頂けたでしょう。これらを摂りすぎれば勿論ダイエットの妨げになります。しかし極度に制限すればこれもまたダイエットの妨げになるのです。全く過ぎたるは及ばざるがごとしです。

自分の決めたカロリーの範囲であれば、食べてはダメなものなどありません(ただし主治医の先生から禁止されている場合は違いますよ!)。むしろ出来るだけ色々な食品をまんべんなく食べた方が良いのです。もう「あれもダメ、これもダメ。一体何を食べたらいいのかわからない!」と悩むことはおしまいにしましょう。