体脂肪計のメカニズム(週刊やさしいダイエット第4号より)
前回に引き続き、今回も「体脂肪」に関するお話をしたいと思います。今や体脂肪計は広く普及し、ダイエットの目標として体重ではなく、体脂肪率を目安にしている人も多いでしょう。しかし、先週お話したように「かくれ肥満」は体脂肪計ではわかりません。また、体重は変わらないのに体脂肪率だけ変化したり、朝と晩では体脂肪率が全然違う、なんてこともしばしば。今日は体脂肪計の歴史を振り返りつつ、そのメカニズムについて勉強してみましょう。
皆さんはテレビでお相撲さんがプールのような水槽に頭まで浸かっているのを見たことがありますか?これは「体密度法」と言って、比重を利用して体脂肪率を測定しているのです。しかしこの方法は大掛かりな設備が必要となり、誰もが使える…と言う訳にはいきません。
そこで、より簡単に体脂肪率を測定する方法として、「皮脂厚計」や「生体インピーダンス法」が開発されました。「皮脂厚計」は文字どおり皮下脂肪の厚さを計る器具です。肩甲骨(背骨の両側にある骨)の下の辺りと、二の腕の2箇所の皮膚をはさみ、そこから体脂肪率を計算します。簡便な方法ですが、姿勢や皮膚のはさみ方などによって誤差が出やすいとされています。
一方の「生体インピーダンス法」ですが、これは電気の性質を利用しています。皆さんは理科で、乾電池に導線や抵抗をつなぐ実験をしたことがありますか?この時「導線」では電気が流れやすく、「抵抗」では流れにくい、と言うことを習ったと思います。
「インピーダンス」とは抵抗のことをさします。「生体インピーダンス法」では、人間の体を電気回路に見立て、感電しない程度の弱い電気を流します。そして、その電気の流れにくさ;すなわち抵抗を調べることで、体脂肪率を計るのです。ここで、血や筋肉など水分を多く含むものは「導線」、体脂肪のように水分の少ないものは「抵抗」の役割をします。
ですから、体脂肪が多ければ電気は流れにくくなって「抵抗が大きい=体脂肪率が高い」と判定されますし、水分や水分を多く含む筋肉が多ければ電気は流れやすくなって「抵抗が小さい=体脂肪率が低い」と判定されます。
この原理を応用しているのが、現在の体脂肪計です。これは広く一般に使われていますが、上記の理由から体の水分量によって誤差が出やすくなっています。体重は変わらないのに体脂肪率だけ変わったり、朝と晩で体脂肪率が違って出るのもこのためです。正確な体脂肪率を求めるには、説明書をよく読み、正しい時間に、正しい姿勢で計ることを心掛けましょう。
さて、ここに身長163センチ・体重52キロのA子さんがいます。彼女の標準体重は58.5キロであり、今の体格は肥満度-11.1%の「痩せ過ぎ1度」です。こんなにスリムな彼女ですが、体脂肪率が27%もある!と、気にしています。彼女に果してこれ以上のダイエットは必要でしょうか?
ここで先ほどの「生体インピーダンス法」のメカニズムを思い出して下さい。体脂肪率は「抵抗が大きい」、すなわち体脂肪が多いばかりでなく、筋肉が少ない時にも高く出ます。後者の場合、食事制限で体脂肪を落とそうとすると、体作りに必要な栄養素が不足し、ますます筋肉がやつれてしまう恐れがあります。
体重計の目盛に左右されないようにと体脂肪計が推賞されてきましたが、数値に惑わされない心がけはどちらも同じことです。ダイエットの目標とは、「理想的な体を作ること」であり、「理想的な数字を出すこと」では無いのですから。
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