食欲のメカニズム(週刊やさしいダイエット第40号より)


■はじめに

ダイエットをしていると皆さん、必ずと言っていいほど「食欲」と言う壁にぶつかることでしょう。食欲故に「ああ、こんなに食べちゃった!」と後悔したり、「好きなものも食べられないなんて惨めだわ」と思ったり。うまく食欲とつきあっていくことがダイエットには不可欠なのかもしれません。

そこで今回は「うまく食欲とつきあうために、まずは食欲について知ろう」と言うことで、食欲のメカニズムについてお話ししたいと思います。

■食欲と胃

一昔前まで食欲は「胃」で調節されるものだと思われていました。確かに食欲というものは胃が空っぽの時に起こり、食べ物で満たされるとおさまります。これは胃の壁に「どれだけ胃が膨らんだか」を感知するセンサーのようなものがあり、その働きによるものだろうと考えられていました。

しかし、病気で胃をとってしまった人にも同じように食欲が起こることから、食欲は「胃」の働きだけでは説明がつかなくなってしまったのです。

■食欲と脳

一方AnandとBrobeckと言う学者は、1951年、動物実験で脳のある部分を破壊したネコは全く食べなくなり、別のある部分を破壊したネコはひたすら食べ続けると言うことを見出し、食欲は「脳」で調節され、それは「空腹中枢(ちゅうすう)」と「満腹中枢」によるものだと言う説を発表しました。つまり、「空腹中枢」が働くと食欲が起こり、「満腹中枢」が働くと食欲がおさまると言うのです。

そしてこの2つの中枢は、一方が働いているときにはもう一方がおさえられる、と言う相反する関係にあること、さらにこれらには血液中のグルコースなど食べ物から取り入れた物質の濃度や、ホルモンの濃度、食べたときに出る熱などが関与していることもわかりました。

■食欲のメカニズム

それではこれらがどのようにして働くと食欲が起こるのでしょうか?

まず食事の直後、人間はエネルギー源として食べ物から取り入れたグルコース(炭水化物の分解されたもの)を使いますが、食事のあと大分時間が経つと、そのグルコースが足りなくなってきます。するとグルコースの代わりに体に蓄えられていた脂肪が使われはじめ、この時「遊離脂肪酸(ゆうり・しぼうさん)」と言うものが出てきます。この「遊離脂肪酸」は「空腹中枢」を刺激するのですが、それと同時に遊離脂肪酸を増やす働きのあるホルモンを活性化します。つまり遊離脂肪酸が増えるとそのホルモンが増える、そのホルモンが増えるとさらに遊離脂肪酸も増える、と言う具合にどんどん増えていくのです。その結果強い空腹感;すなわち食欲が起こります。

次に、食欲によって人間は食事をとります。すると再びグルコースが増え、今度はそれらを蓄える働きのあるホルモン(インスリンやインシュリンと呼ばれるもの;両方ともモノは同じ)が出てきます。グルコースは「満腹中枢」を刺激しますが、それと同時にインスリンは、先ほどの遊離脂肪酸を引っ込める働きもあるので「空腹中枢」への刺激は減り、ダブルの作用で満腹感が形成されるのです。

これらがおおまかな食欲のメカニズムなのですが、「遊離脂肪酸」「グルコース」そして「幾つかのホルモン」の他にも様々なもの〜例えば「空っぽ」に反応した胃の収縮は空腹中枢を刺激しますし、逆に胃が膨らむことは満腹中枢を刺激します。また食べたときに出る熱も満腹中枢を刺激します〜が働いて、私たちは空腹や満腹を感じるのです。

■おわりに

以上より食欲のメカニズムについておわかり頂けたと思います。

しかし、もしこのメカニズムがきっちり働いているのだとすれば、何故「食べ過ぎ」等と言うことが起こるのでしょう?それは後日改めてお話ししたいと思います。どうぞお楽しみに。