もう一つのメカニズム(週刊やさしいダイエット第41号より)
■はじめに
先週は「空腹になれば食欲がわき、満腹になれば食欲はおさまる」と言うメカニズム;すなわちて空腹中枢と満腹中枢の仕組みについてお話ししました。ところがこのようなメカニズムがあるにも関わらず、何故人間には「食べ過ぎ」などと言うことが起こるのでしょう?実はこれは食欲のもう一つのメカニズムである「認知調節系」の所為なのです。
■ライオンと人間の違い
先週お話しした空腹中枢と満腹中枢による食欲のメカニズムは、グルコースや遊離脂肪酸と言った「代謝産物(=体内で作られる物質、と考えると良いでしょう。グルコースもパンやご飯を元に体内で作り出されますからネ)」により調節されるので、「代謝調節系」と呼ばれます。これは他の動物にも見られることで、例えば野生のライオンは空腹になるとシマウマを襲い、満腹になるともはやそれらに見向きもしなくなります。
しかし、人間は必ずしも空腹だから食べる・満腹になったら食べるのを止める、と言う訳ではないようです。それはお昼の時間になったからランチを食べ、すすめられたからお菓子を食べ、高いお金を払ったのだからと満腹なのになおも食べ、子供の残り物がもったいないからやはり食べる。或いはどんなに空腹であっても宗教や信念のために肉は食べない‥と言うような食べ方にあらわれています。これは他の動物では見られないことなので、ライオンのお母さんが「まあ、坊やったらこんなに残しちゃって。もったいないわね、私が食べちゃいましょう」と言うことはありません。
■代謝調節系と認知調節系
では、何故人間はこのような食べ方をするのでしょう?それは冒頭にお話しした「認知調節系」の所為なのです。
「認知調節系」とは一言で言えば「大脳による調節」。空腹中枢や満腹中枢がある「視床下部(ししょうかぶ)」も脳の一部ですが、視床下部が「原始的な脳」「本能の脳」なのに対し、大脳は「高等な脳」「考える脳」と言うことが出来ます。
この進化した脳である「大脳」には目や耳や鼻等から情報が入り、それらが好みや記憶・経験などに照らし合わせて処理され(この過程を「認知」と言います)、空腹中枢や満腹中枢に伝えられます。そうして食欲がわいたり、逆におさまったりするのです。例えばお皿に残った食べ物を見て(目からの情報)、経験や記憶に照らし合わせて「もったいないから食べよう」と感じ(情報の処理)、食べてしまうような場合がそうです。
人間は他の動物に比べ大脳が発達しているため、「代謝調節系」よりむしろ「認知調節系」の影響を大きく受けると言われいます。ですから思いこみやクセによって「認知」にズレがある場合には極端に痩せたり太ったりするのですが、これは人間が人間たる由縁だと言うことができるでしょう。
■「認知」のズレをどうするか
それでは一度生じてしまった「認知」のズレは一生治らないのでしょうか?そうではありません。思いこみやクセを修正することによって、ズレは戻せると言われています。それには、まず自分の中にどんな思いこみやクセがあるのか知ることが大切なのですが、以前このメールマガジンの第7〜9号で紹介した「食生活チェック」は、あなたの思いこみやクセの発見に役立つことでしょう。
更に今回はそれ以外の「修正法」についてもお話ししたいと思いますが、続きは次号にて。