ダイエット情報の見分け方(1) (週刊やさしいダイエット第49号より)
■はじめに
「猫も杓子もダイエット」のご時世にあって、私たちの周囲には数多くのダイエット情報があふれています。「賢いダイエッター」である皆さんは勿論これらの情報を鵜呑みにするのではなく、その中から信頼できるものを選んで日々のダイエットに活かしていらっしゃることと思います。
しかしその際、皆さんはどんな基準でダイエット情報を選びますか?
テレビや雑誌で紹介しているダイエット法の中には、お腹の中に寄生虫を飼う「さなだ虫ダイエット」や、身につけているだけで楽々痩せられる「ダイエットペンダント」と言ったものもありますが、そのようなものを選ぶ方はおそらく余りいらっしゃらないと思います。
一方、某国の国立病院で考案されたという「国立病院ダイエット」や、パイナップルの酵素によって脂肪を分解する「パイナップルダイエット」等はどうでしょう?
皆さんが戸惑うのはおそらく、このように一見科学的な理論で武装されたダイエット法だと思います。ここにあるような「一見科学的な理論」は、専門家なら一目で「おかしいなあ」とわかります。しかし、みんなが専門家になるわけにはいきませんから多くの人はそれを見分けるのに難渋するのです。
これまで健康に携わる公共機関や専門家は、このことを余り重視してきませんでした。「まさかこんな話を本気で信じる人はいないでしょう?」と、情報の影響力を少なく見積もっていたのです。しかし今やダイエットはアトピーと並ぶ「儲かる」ビジネスとなり、それによる経済面・健康面での被害も無視できなくなってきました。
やさしいダイエットではこれから2回にわたって「ダイエット情報の見分け方」と題し、皆さんがダイエット情報を選ぶときに気を付けていただきたいことをお話ししたいと思います。
■(1)体重計の針にごまかされない
人間の体の約2/3は水で出来ています。つまり体重60kgの人であれば、そのうち40kgは水なのです。また腸の内容物は多い人で3〜5kgもあるそうです。この為、汗や尿・便によって水や腸の内容物を出せば「見かけの体重」を減らすことができるのです。
例えばサウナで汗を流すと体重は減ります。またハトムギやドクダミ等、利尿成分の入ったお茶やサプリメントを飲んでも体重は減ります。そして繊維入り飲料や下剤でお通じを促しても同じ結果が得られるのです。
しかし、そうやって落とした体重は決して体脂肪ではありません。つまり痩せたことにはならないのです。
また汗や尿によって体の中の水を積極的に出せば、新陳代謝が良くなって痩せられると思っている人がいるようですが、これも間違いです。何故なら以前にもお話ししたように、人間の体はそこそこ健康であれば、必要な物を・必要な時に・必要な分だけ取り入れ、必要な分だけ出すよう精巧なメカニズムが働いているからです。
しかし、もしも貴方が一刻も早く体重を落としたくて、「出す必要のない水」を無理矢理出そうとしたらどうなるでしょう?そこで起こるのは「脱水」です。
「脱水と言うと肌や口の中がカラカラになるのかな?」と言う印象があるかもしれませんが、体の表面だけでなく、脱水は体の内部にも深刻な影響を及ぼします。最悪の場合死に至りますが、そうならないまでも脈が速くなったり、気分が悪くなったり、意識が遠のいたりします。勿論血液も濃くなればドロドロになるでしょう。
水を出そうとやっきになることは、新陳代謝を促すどころか体の正常な機能を阻害する恐れがあるのです。
■(2)タブーの多い食事療法に気を付ける
ダイエット法の中には、あれは食べちゃダメ、これも食べちゃダメ‥と言うようにタブーの多いものもあれば、逆にあれはいっぱい食べなさい、これもいっぱい食べなさい、と特定の食品を多量に摂るように促しているものもあります。
これらの方法はそれぞれ、一見もっともな「理論」を持ち合わせています。例えばかつて「脂肪を沢山摂り、炭水化物を避ける」ダイエット法が流行ったことがありますが、この方法は「脂肪は胃にとどまる時間が長いので、腹持ちがよい」「炭水化物が少ないとインシュリンが分泌されにくく、体脂肪が合成されにくい」等の理論に基づいていました。
しかしその後の研究で、この方法で落ちた体重は殆ど脱水によるものであったこと、またインシュリンのメカニズムに悪影響を与え生活習慣病を招く恐れがあること等がわかり、現在ではほとんど推奨されなくなったのです。
また今から20年ほど前のことですが、ニューヨークで開かれた第4回国際肥満会議では、アメリカで人気の「危険な」ダイエット法について取り上げました。当時は「ビバリーヒルズ・ダイエット(Beverly Hills Diet 別名;パイナップルダイエット)」「アトキンス博士のダイエット革命」等が流行っていましたが、栄養バランスについて調査した結果、次のようなことがわかりました。
・ビバリーヒルズ・ダイエットの栄養バランス
炭水化物90% 脂肪4% 蛋白質6%
・アトキンス博士のダイエット革命の栄養バランス
炭水化物4% 脂肪73% 蛋白質23%
これらは同会議で「ダイエットにふさわしい」とされた栄養バランス(炭水化物55% 脂肪30% 蛋白質15%)と比べ、前者は炭水化物に、後者は脂肪に、それぞれ大きく偏っていました。これを受けてアメリカ医師会は翌年、危険なダイエット法に関する注意を広く国内に呼びかけたのです。
どんなに「体に良い」「ダイエットに効果的」と言われる食品でも、そればかり食べていれば「偏食」です。炭水化物・脂肪・蛋白質と言う「三大栄養素」をいずれにも偏ることなく摂り、その上で総摂取カロリーを減らすようにすること。これがダイエットの「基本中の基本」なのかもしれません。