リバウンド(1)(週刊やさしいダイエット第53号より)


■はじめに

夏が過ぎると、肌を露出する機会が少なくなる所為でしょうか、雑誌やテレビでもダイエットの特集を見かけることが少なくなりました。皆さんの中にも、食欲の秋を堪能するため(?)にダイエットをお休みしている人がいらっしゃることでしょう。

しかし「毎年夏が近くなると慌てて減量し、その後リバウンドする」と言うサイクルは、長い目で見たときに果たしてプラスになるのでしょうか?これから2回にわたり「リバウンド」についてお話しします。

■リバウンドとは?

リバウンドとは皆さんご承知のように、減量に成功した後、元の体重に戻ってしまうことを指します。決して、今まで順調に減量してきたのに今日は昨日より500g増えていた‥と言うことを指すのではありません。

またリバウンドと減量を何度も繰り返すことは「ウェイト・サイクリング(体重の循環)」若しくは「ヨーヨー・ダイエット」「ヨーヨー現象」と呼ばれています。

アメリカのある研究では、153人の大人を対象にダイエットの調査を行ったところ、女性は6年間で平均して12.2kg減量し、その後の6年間で平均14.0kg体重を増やしたそうです。つまり調査の対象となった女性はダイエットによって1.8kg体重を増やしたのです(ちなみに男性は平均9.9kg減量し、その後同じだけ体重を増やしました)。

この研究はいかに減らした体重を維持するのが難しいか、そしてリバウンドやウェイト・サイクリングが起こりやすいかを表しているでしょう。

■リバウンドがダイエットに及ぼす影響

ダイエッターさんの中には、最初から「リバウンドしても、また減量すればいいのだから」と言う気持ちで、無謀な減量をする人がいます。もしリバウンドがその後のダイエットに大した影響を及ぼさないならば、これはとても都合の良いダイエットです。

しかし残念ながらそうではありません。マウスを使った実験では、減量とリバウンドの繰り返しをさせたところ、1度目は目標体重になるまでに21日、元の体重に戻るのに46日かかりました。ところが2度目は目標体重になるまでに46日以上かかり、逆に元の体重に戻るのには14日かかりませんでした。つまりリバウンドによって、減量しにくくリバウンドしやすい体が出来上がってしまうのです。

これは人間でも同じです。病院で行われる肥満治療の中には、食事の代わりに栄養バランスのとれたダイエットドリンクを飲む「超低カロリー食療法(VLCD)」と言うのがあるのですが、この方法で急激に減量した患者さんと、減食などで徐々に減量した患者さんとで経過を比べてみました。

そうしたところ、VLCDを使った患者さんは21.5kgの減量に成功、減食した患者さんは11.9kgの減量に成功し、これだけ見ればVLCDの方が効果的と思われるでしょう。しかし1年後、減食した患者さんは体重をほぼ維持できたのに対し、VLCDを使った患者さんは10.5kg体重が戻っていたのです。

■体重のセットポイント説

何故このようなことが起こるのでしょうか?一つにはVLCDを使った患者さんは急激な減量によって基礎代謝が下がっていたため、太りやすかったのかもしれません。

しかしもう一つには、人間を含めた生き物は有る一定の体重を維持するような防御システムが存在するためではないかと言われています。これを体重のセットポイント説と呼びます。

この説は動物実験で証明されているのですが、生き物の体の中には体脂肪の量を感知するシステムがあり、体脂肪の増減によって「どれくらいカロリーをため込むか/消費するか」が調節されると言うのです。その結果体脂肪の量はほぼ一定に保たれます。そしてこのシステムは減量とリバウンドを繰り返すこと(=ウェイト・サイクリング)により強化され、リバウンドしやすい体が出来上がるのです。

例えば、脂肪をため込み易くする酵素に「リポ蛋白リパーゼ」と言うのがあるのですが、この酵素は減量すると活性が上がり、減量後2年経っても上がったままだという報告がされています。つまり体重を元に戻そうとする体の働きは、これほど強いのです。

また逆に、無理矢理食べさせて体重を増やそうと実験したところ、理論上増えるべき体重の5~25%程度しか、実際には体重が増えなかったという報告すらあります。生き物の体というのは、なかなかよく出来ているものですね。

(このお話は次回に続きます)