リバウンド(2)(週刊やさしいダイエット第54号より)
■はじめに
前回はリバウンドとは何か、そしてリバウンドがダイエットにどのような影響を及ぼすかについてお話ししました。これを読んで「ああ、リバウンドしないように気を付けなきゃ」と思われた方もいれば、「痩せにくくなるかもしれないけれど、痩せられない訳じゃない。やっぱりリバウンドなんか気にならないわ」と言う方もいらっしゃるかもしれません。
しかしリバウンドはダイエットだけでなく、他の面にも様々な影響を及ぼすようです。今日はリバウンドに関するその他の研究をご紹介しましょう。
■生活習慣病への影響
一般にダイエットは、糖尿病や心臓病などの生活習慣病の予防のために大変役に立つと認識されています。しかしダイエットは必ずしもそれらに役立つわけではなく、寧ろダイエットとリバウンドの繰り返し(=ウェイト・サイクリング)は悪影響を及ぼすとさえ言われているのです。
イギリスの医学誌に発表された論文によれば、体重の変動が激しい人、つまりウェイト・サイクリングに陥っている人は、体重が安定している人よりも狭心症や心筋梗塞と言った心臓の生活習慣病に罹る率や、それらの病気で死亡する率が1.4〜1.5倍高かったのです。
またアメリカのある研究では、肥満でない平均67才の男性1万2千人を対象に調査したところ、「ダイエットをしていない」人の病気を有する率は、心臓病11.6%・高血圧23.4%・糖尿病3%だったのに対し、「いつもダイエットしている」人では心臓病23.2%・高血圧28.3%・糖尿病14.6%と、いずれも高率だったのです。
皮肉なことに他の研究でも、ウェイト・サイクリングに陥っている人は、病気に罹ったり死亡したりする率が「肥満のままでいる人」と大して変わらないと言う結果が出ています。このことから「生活習慣病の予防においては、体重を減らすことより、増えたり減ったりさせないようにすることが大切だ」と言う学者すらいるほどです。
■心への影響
アメリカのある大学では、体重の変動と心の状態について研究しました。その結果、1年間に5ポンド(約2.2kg)の体重増減のあった人は体重が安定している人と比べると、幸福感が低かったり、食事のコントロールが出来なかったり、ストレスが大きいことがわかったのです。たった5ポンド(約2.2kg)の体重増減が人の心に影響を及ぼすことに、研究者達も驚きを隠せなかったようです。
また別の研究では、ウェイト・サイクリングに陥っている人はそうでない人に比べ、自己否定に陥ったり、日常生活が混乱したり、失敗した気持ちになるなど、色々な理由でストレスが増えるという結果も報告されています。そしてこれらがドカ食いのリスクを高めるであろうとも言われます。
■スポーツ選手とウェイト・サイクリング
競技スポーツの中にはしばしば計量のための体重制限が必要になるものがあります。その一つにレスリングがありますが、この種目とウェイト・サイクリングについての研究を最後にご紹介しましょう。
レスリングの選手は、試合の計量前に数日で10ポンド(約4.5kg)若しくはそれ以上の減量を行うと言われます。そして計量の後は急激に体重が増えるため、試合の度にウェイト・サイクリングが起こっていることになります。
このようなウェイト・サイクリングは若く有能な選手達に悪影響を及ぼすと言われています。具体的には代謝が落ちて(ある研究によれば、ウェイト・サイクリングの無い選手に比べて14%も落ちていた)寒がりになったり、集中力が落ちて飽きっぽくなったり、体内のイオンやホルモンのバランスが悪くなったり、腎臓(尿を作る器官)の働きが落ちたりします。また急激な体重増加の期間には筋肉より脂肪が優位に増え、食べ物の嗜好も脂っこいものを好むようになったそうです。
この問題はアメリカのスポーツ医学会でも問題視されています。
■最後に
2回にわたりリバウンド(ウェイト・サイクリング)についてお話ししてきましたが、最初にもお話ししたように、リバウンドというのは大変起こりやすいものであり、誰も好きこのんでリバウンドをしているわけでは無いと思います。また「決して、一度たりとも、リバウンドしてはならない!」とダイエットの失敗を極度に恐れている人には、もしかしたら「一度や二度のリバウンドくらい、いいじゃない」と気楽に構えることの方が大切かもしれません。
しかしダイエットは勿論、心と体の健康を考えたら、リバウンドは少ないに越したことは無いでしょう。その為にも、自分が今やっているダイエットを振り返り、「リバウンド覚悟の(=一瞬痩せればいいだけの)ダイエット」になっていないか考えることが大切ですよ。