プロテイン至上主義(1)(週刊やさしいダイエット第57号より)
■はじめに
一昔前までダイエットと言えば、お米やパンは食べない・肉も魚も食べないで、サラダばかり食べる方法が主流でした。
しかしこのような食生活をしていると、基礎代謝の落ちた「痩せにくく太りやすい体」になってしまう、と言うことが知られるようになると、今度は基礎代謝を上げるために他のものも食べよう、特に蛋白質を摂ろうと言う方法が広まってきました。
これはあたかも健康的なダイエットのようです。しかしよくよく話を聞いてみると、「蛋白質さえ摂っていれば大丈夫」「蛋白質を摂れば摂るほど痩せられる」と言う「プロテイン(=蛋白質)至上主義」に陥っている人も少なくありません。
そこで、これから2回に渡ってダイエットの落とし穴;プロテイン至上主義についてお話ししたいと思います。
■死者を出したダイエット
現在私たちはスーパーやドラッグストアで、粉末や液体のダイエット用プロテインを買うことが出来ますが、こういったプロテインは1970年代に登場しました。当時アメリカでは「スプーン3杯で」或いは「ラストチャンスダイエット」と銘打って、液体プロテインを使ったダイエットが流行しました。
しかしこの時出回ったプロテインは屠殺場の残骸を使った低品質のものであり、栄養価の低さやカリウムの不足などから体調を崩す人が続出し、ついには60人以上の死者を出す「液体プロテイン事件」に発展してしまったのです。
この時亡くなった人達は、平均年齢35歳、平均体重105kgで圧倒的に女性が多く、この液体プロテインのみに頼って2ヶ月以上ダイエットし、平均39kg体重を落とした後、心臓発作などで突然死したそうです。
この事故の教訓から、ダイエット用プロテインの多くは卵やミルク、大豆など良質の蛋白質を原料に作られるようになりました。しかし違法で粗悪なダイエット食品も数多く出回っている現在、必ずしもこれらが安全であると言う保証はありません。やはり特定の栄養素、特定の食品にだけ頼るというダイエットが危険であることを、私たちは学ばなければならないのです。
■蛋白質の摂りすぎによる障害
多くの人がプロテイン至上主義に陥る原因の一つに「蛋白質はいくら摂っても大丈夫」と言う間違った思いこみがあります。しかし蛋白質も、糖質や脂質と同じように、摂りすぎれば健康に支障を来すのです。
その一つに骨粗鬆症があります。「何故蛋白質で骨粗鬆症に?」と思われるかもしれませんが、蛋白質を摂りすぎると人間の体は酸性に傾きます。すると、それを中和するために体の中の色々なメカニズムが働くのですが、その時に大量のカルシウムが必要になるのです。そしてこの時、食物から取り込むカルシウムが足りないと、骨のカルシウムが使われてしまいます。
またその他に痛風があります。痛風とは体の中に「尿酸」と言う物質(これは蛋白質から出来るのですが)がたまり、関節が痛くなったり腎臓(尿を作るところ)を傷めたりする病気です。
そして蛋白質にも勿論カロリーがありますから、摂りすぎれば肥満になります。蛋白質が筋肉になるのではなく、脂肪になって体に蓄えられる‥と言うのはちょっと想像しにくいかもしれませんが、実際にこういうことは起こるのですよ。