プロテイン至上主義(2)(週刊やさしいダイエット第58号より)
■筋肉と蛋白質に関する誤解
多くの人が「プロテイン至上主義」に陥る原因の一つに、「蛋白質を摂れば摂るほど、筋肉が沢山つく」と言う誤解があります。例えば「200gのステーキを食べるより400gのステーキを食べた方が、スプーン1杯のプロテインを飲むよりスプーン2杯のプロテインを飲む方が、筋肉が沢山つく」と言った具合です。
しかし前回もお話ししたように、蛋白質も炭水化物や脂肪と同じように、摂りすぎれば肥満の元になります。今日は「プロテイン至上主義」の第2回として、筋肉と蛋白質に関する誤解についてお話しします。
■何故蛋白質は毎日摂らなければいけないのか?
そもそも蛋白質のような栄養素は、何故毎日摂らなければいけないのでしょう?お腹が空くからではありません、それは摂取した栄養素が体の中で次から次へ使われて(消費されて)しまう為、毎日補給してあげないと不足してしまうからです。
これが炭水化物や脂肪なら「エネルギーとして次から次へ消費されてしまうから、確かに不足するだろうな」とイメージしやすいかもしれません。一方蛋白質が「消費される」と言っても、1日肉を食べなかったら翌日すっかり筋肉がやつれてしまっていた‥なんてことはありませんから、イメージしにくいでしょう。しかし、蛋白質もまた消費されているのです。
蛋白質が消費されているというのはどう言うことでしょう?これはつまり「骨や筋肉は一度出来たら出来っぱなしなのではなく、常に古いものが壊され、新しいものが補充されている」と言うことです。ある研究によれば青年男性は体重1kgあたり1.2g、若い女性は0.8g、毎日筋肉が壊れているのだそうです。この為蛋白質は毎日補給してあげる必要があります。
■余った蛋白質の行方
さて、ここまでお話しすると「やっぱり蛋白質は大切じゃないか。だから沢山摂った方がいいんじゃないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。では実際に蛋白質を必要以上に摂ったらどうなるでしょう?
皆さんは「ビタミンCは、余分に摂っても全部お小水の中に出ていってしまう。だからやたらに摂っても無駄である。」と言う話を聞いたことはありませんか?何故その様なことが起こるかと言うと、ビタミンCをためておく場所が人間の体の中に無いからです。
蛋白質も同じです。炭水化物・蛋白質・脂肪という三大栄養素のうち、炭水化物はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に、脂肪は全身の脂肪組織に、それぞれ余計な分をためておくことが出来ます。しかし蛋白質だけはためておく場所が無いのです。決して「筋肉にためられる」訳ではないのです。この為、余計な分はお小水の中に出ていってしまいます(もっと詳しく言えば、蛋白質に含まれている窒素という成分が、肝臓で尿素に変えられて、お小水の中に出ていってしまいます)。
しかし蛋白質がビタミンCと違うのは、お小水の中に出ていく他に、脂肪となってためられると言う点にあります(蛋白質に含まれている窒素以外の成分が、脂肪になってためられます)。ですから、やたらに摂っても無駄などころか、かえってダイエットの支障になるのです。
■筋肉をつけるには?
蛋白質を沢山摂れば筋肉が沢山つくと言う考えは、材料が沢山あればご馳走が沢山作れると言う考えに似ています。つまり材料が沢山あっても、そこに料理する人がいなければご馳走は出来ないのです。筋肉もこれと同じで蛋白質(材料)が沢山あっても、ホルモンなどの物質(それを料理する人)がなければ筋肉(ご馳走)は出来ないのです。
ではどうすればスポーツ選手のような筋肉がつくかと言うと(余り詳しくお話しすると、ダイエットの話ではなくボディービルの話になってしまうので、簡単にお話ししますが)、鍛えたい筋肉を重点的に訓練し、かつ炭水化物の多い食事を摂れば、蛋白質をやたらに摂らなくても自然に筋肉は強化されるのです。
更にホルモン剤などを加えれば筋肉はモリモリになるのですが、これはいわゆる「ドーピング」になってしまうので、スポーツ選手はやっていません。その代わりグリコーゲン・ローディングと言う特殊な方法で、筋肉にたくわえられるグリコーゲンを増やします。
■おわりに
以上、蛋白質(プロテイン)についてのありがちな誤解についてお話ししてきましたが、この他にも蛋白質については様々な誤解がまかり通っているようです。
例えば最近よく「脂肪を燃やすアミノ酸を配合した」飲み物など見かけますが、これを「蛋白質を補給するもの」と勘違いしている人もいるようです。しかしその飲み物の成分をよく見ると、100mlあたりの蛋白質の量はわずか0.3g。これは牛乳の1/10であり、オレンジやグレープフルーツと言った果物のジュースよりも更に少ないのです。もしこの飲み物を蛋白質の補給源として頼っていたら、一体どうなってしまうでしょう?!
どうぞこの機会に、正しい栄養の知識を身につけましょう。