肥満は全て解消すべきか?(週刊やさしいダイエット第62号より)


■はじめに

まず最初に皆さんにクイズを出したいと思います。「肥満は全て解消すべきである」。これは○でしょうか、それとも×でしょうか?勿論ここで言う「肥満」とは体脂肪のたまり過ぎを示し、筋肉モリモリのスポーツマンで体重が多い場合などは除きます。

今はどこの雑誌・どこのテレビでも「肥満は怖い」「肥満は寿命を縮める」と言われ、肥満を解消することが薦められています。そして逆に「肥満であってもダイエットする必要はありません」という言葉は余り(と言いますか、ほとんど)聞かれません。ですから私たちの頭の中には「肥満=解消すべきもの」と言う図式が出来上がってしまってします。

しかし、この図式は本当に正しいのでしょうか?多少肥満だけれど、これと言った病気もなく元気に仕事が出来る‥と言う人でもやはりダイエットの必要があるのでしょうか?今日はこの問題についてお話ししたいと思います。

■肥満と区別される「肥満症」

皆さんは「肥満症」という言葉をご存じですか?肥満なら全て肥満症なのではないかと思われるかもしれませんが、それは違います。

「肥満症」とは肥満の中でも、医学的に見てダイエットの必要なものを指します。つまり肥満が全て肥満症;ダイエットの必要な肥満という訳ではないのです。

何故わざわざ肥満と「肥満症」は区別されるのでしょうか?それは病気に罹るリスクが異なるからです。今まで生活習慣病のような病気は、肥満の中でも高度なものやホルモン異常から来る特殊なタイプが罹りやすいとされてきました。しかし最近の研究から、こういった病気の罹りやすさは、肥満の程度と言うより寧ろ体脂肪の分布の仕方が関係していることがわかったのです。

■肥満症の診断

では、実際どう言った肥満が「肥満症」なのでしょうか?それは肥満(BMI25以上)のうち、以下のいずれかの条件を満たすものとされています。

1)ダイエットが必要もしくはダイエットによって良くなる病気を合併している場合

「ダイエットが必要もしくはダイエットによって良くなる病気」とは、ある種の糖尿病、高コレステロール血症、高血圧、痛風、心筋梗塞、脳卒中などです。(この他にも色々な病気があるので、心配な方はかかりつけのお医者さんに相談されると良いでしょう)

2)現在上記のような病気は合併していなくても、そのリスクが高い場合

病気を合併するリスクが高い、と言うのはどういう場合でしょう?それは「上半身肥満」や「内臓脂肪型肥満」と言ったタイプの肥満で、これらは総称して「ハイリスク肥満」と呼ばれます。

「上半身肥満」とは文字通り上半身(お腹から上)の肥満です。これはウエストで判定し、男性で85cm以上、女性で90cm以上の場合「上半身肥満」にあたります。

また「内臓脂肪型肥満」とは内臓脂肪が多いタイプの肥満です。これはCTスキャンを使って判定し、CTの画像で内臓脂肪面積が100平方センチメートル以上の場合「内臓脂肪型肥満」にあたります。

ちなみに内臓脂肪については随分昔、メルマガの第3号「かくれ肥満」でも簡単にお話しました。第3号では内臓脂肪を「内臓のまわりについている脂肪」と説明しましたが、これは「脂肪肝」とは違います。何故なら脂肪肝は肝臓という内臓の「中に」脂肪のたまった状態、内臓脂肪は腸を支えている腸間膜(ちょうかんまく)のような内臓の「まわりに」脂肪のたまった状態を指すからです。

■おわりに

ダイエットに熱心になると、ともすれば「標準体重に近ければ近いほど健康になれる」と思いがちです。勿論そう言った数値を掲げることも一つの目安にはなるのですが、実際にはそこまで減らさなくとも(ある研究によれば元の体重から5〜15%減らしただけで)健康上の不安はずっと少なくなると言われています。

例えば睡眠時間も、5時間寝れば十分、と言う人もいれば、10時間寝ないとダメ、と言う人もいます。それだけ人間には個人差がつきものなのです。ですから標準や平均と言った数値にとらわれず、貴方自身が快適で、かつ健康的に過ごせる体重を目指すことも一つの方法です。

と言うわけで、冒頭のクイズの答えは×でした。