ダイエット情報について・各国の取り組み(2)(週刊やさしいダイエット第78号より)


■はじめに

前号では「ダイエット情報について・各国の取り組み」として、WHO(世界 保健機関)の取り組みについてご紹介しました。今回はサプリメント大国: アメリカの例をお話ししたいと思います。

最近はネットで海外のサプリメントを購入する人が増えていますが、中でも アメリカから個人輸入する人が多いと思います。何故アメリカはこんなにサ プリメント産業が盛んなのでしょう?そしてこの産業をより安全に利用する ため、アメリカ国内ではどんな取り組みが成されているのでしょう?

個人輸入をしたことがある人も無い人も、この機会に海外のサプリメント事 情について勉強してみましょう。

■アメリカでサプリメントが人気な理由

はじめに、アメリカでサプリメントが人気なのは何故でしょう。栄養学が進 んでいるから?それとも人々の健康への意識が高いから?それらも理由の一 つですが、実は何より「お金の無い人は病院に行けない」と言う経済事情に よるところが大きいのです。

日本では、保険証さえ持っていけばどこの病院でも掛かることが出来ます し、またたいていの治療には保険が利きます。ですからお金のある人も無い 人も、自由に安く医療を受けることが出来るのです。

しかしアメリカでは日本とは違い、加入している保険会社によって行ける病 院が限られたり(それ以外の病院では保険が利きません)、保険の利く金額 に上限があったり、更に保険に入るにも厳しい条件が課せられたりするの で、誰でも自由に安く‥と言うわけにはいきません。

このためアメリカでは「病院に行かずに済ませたい」と言う風潮が高まり、 70年代にはサプリメントを専門に取り扱う「ビタミンショップ」が次々に 出来ました。そしてサプリメントはスーパーマーケットでも広く取り扱われ るようになり、大量に出回ることで価格も下がり、アメリカの人達の必需品 となったのです。

その結果、現在アメリカでは病院に支払われるのと同じかそれ以上の金額 が、代替医療に支払われています。また4割以上の人が「代替医療を利用し たことがある」と答えているそうです。

■アメリカのサプリメントに対する取り組み

これに対する国や政府の取り組みとしては、92年、NIH(国立衛生研究所) の中に代替医療を科学的に検証するための機関;OAM(代替医療事務局)が 新設されました。OAMに支給される国の予算は年々増えていき、設立から5 年後には何と最初の年の6倍にもなりました。このことからも、アメリカ政 府が代替医療に大きな関心を持っていることがおわかり頂けるでしょう。そ して6年後の98年、OAMはNCCAM(国立補完代替医療センター)に格上げさ れたのです。

一方、FDA(アメリカ食品医薬品局〜日本の旧厚生省にあたる機関)は98 年に栄養補助食品法を施行、サプリメントの効能書きの規制を変更しまし た。どのように変わったかと言いますと、サプリメントは薬ではないので勿 論「肥満症に効きます」と書くことは出来ないのですが、その代わり「A国 のB地方では、古くから肥満症の治療として使われてきました」「C国のD研 究所において、脂肪細胞を20%小さくしました」等と書くことが可能になっ たのです。

このこと自体は、余り大した変化では無いように感じられます。しかし、こ れによってサプリメント会社と研究所の結びつきのあり方は、大きく変わっ てしまったのです。

■サプリメント会社と研究所の結びつき

これまで研究所は、国や財団から支給される研究費以外には、収入を寄付金 に頼るしかありませんでした。しかし、研究結果を効能書きに使えるように なったことで、今度はサプリメント会社が研究所の大事な資金源になったの です。

つまりサプリメント会社は研究所に、自社の製品について有効性を証明する よう研究を依頼します。そこで研究所はサプリメント会社が出した多額の研 究資金を使って、頼まれた研究をします。そして導き出された研究結果から サプリメント会社は自社の製品を宣伝し、利益を上げるのです。

本来、研究結果というものは純粋に学問のため・人々の健康のためにあるべ きでした。しかし、サプリメント産業においては寧ろ市場(しじょう)を広 げるために利用されてしまっているようです。

■おわりに

今回はアメリカのサプリメント事情についてお話ししました。皆さんはこの お話を「遠い外国のこと」として受け止められたかもしれません。しかし、 今や日本も医療費の高騰が問題となり、あたかもサプリメントが登場した頃 のアメリカ(冒頭にご紹介したようなアメリカの保険制度は、医療費の高騰 によって導入されました)のようです。

現在のアメリカのサプリメント事情は、そう遠くない日本の未来を映し出し ているのかも知れませんね。


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