食物繊維(2)(週刊やさしいダイエット第86号より)
■はじめに
前回は食物繊維の種類と働きについてお話しました。一口に「食物繊維」と言っても、水に溶けるものと溶けないものがあり、それぞれ働きが違うことをご理解頂けたと思います。今日は、食物繊維を含む食品や目標摂取量についてお話しましょう。
■目標摂取量
その前に「目標摂取量」とは何でしょう?少々本題から外れますが、栄養について勉強する時に大切な言葉なので、この機会にご説明したいと思います。
まず、皆さんが一番よく耳にするのは「栄養所要量」という言葉だと思います。私たち人間は、同じ性別・同じ年代でも栄養素の必要量には個人差があります。例えばお相撲さんのような体格の良い人と、背が低くて華奢な人とでは必要なビタミン・たんぱく質の必要量は違いそうですよね?
しかし体格の良い人であれ華奢な人であれ、同じ性別・同じ年代ならほぼ全ての人が1日の必要量を満たせる摂取量・・・と言うのが「栄養所要量」です。ちなみにこれは5年ごとに改訂されるのですが、現在使われているのは平成12年に改訂されたもので、以下のページのように定められています。
[第6次改定日本人の栄養所要量について(厚生労働省のHP)]
http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s9906/s0628-1_11.html
一方、「ほぼ全て」ではなく「約半数の人」が必要量を満たせる量は、「平均必要量」と言われます。ちょっと難しい話をすれば、上記の「栄養所要量」とは「栄養所要量=平均必要量+標準偏差の2倍(2SD)」と言う関係式が成り立っています。
更に栄養素は、沢山摂れば摂るほど良いと言うものではありません。特に最近はサプリメントを利用する人が増えた為、特定の栄養素だけ普通の食生活では考えられないほど大量に摂っている人もいます。この為、健康上悪影響を及ぼさないであろう最大量を「許容上限摂取量」と定めることにしました。
さて本題に戻りますと、「目標摂取量」と言うのは、栄養所要量が(現時点ではまだ)わからない栄養素の摂取の目標値です。ですから「食物繊維の目標摂取量」と言ったら、「食物繊維の栄養所要量」と考えてほぼ差し支えないでしょう。そして肝心な食物繊維の目標摂取量は1日あたり20〜25g(または1000kcal毎に10g)で、水溶性食物繊維(SDF)と不溶性食物繊維(IDF)の比率は2:8程度と言われます。ちなみに日本人の平均的な摂取量は約16gですから、気をつけていないと不足しがちであることがお解かり頂けるでしょう。
なお食物繊維に許容上限摂取量は定められていませんが、摂りすぎは他の栄養素(ビタミンやミネラル等)の欠乏を招きます。日常的な食事の中から摂る分には、目標摂取量の約2倍までは安全であろうと言われていますが、サプリメント等を利用する場合には摂り過ぎに注意が必要です。
■食物繊維を多く含む食品
一般に食物繊維が多いのは、穀類・芋・ナッツ・豆・海草・きのこ・野菜・果物と言われています。代表的な食品は以下の通りです。
きくらげ:74.2g
干しひじき:54.9g
干ししいたけ:43.4g
(いずれも100g当り)
しかし実際に食べるとなると、きくらげを100gも食べることは滅多にありませんし、ひじきもしいたけも干したものを戻して使います。よって、普段私たちが食べているものの中で食物繊維が多い食品と言うと、次のようになります。
糸引き納豆 4.8g(小1パック50g)
おから 4.7g(1人前50g)
干し蕎麦(乾) 4.7g(1人前100g)
(カッコ内は常用量)
なお、食物繊維を多く含む食品についてはこちらにまとめましたので、是非一度ご覧下さい。五十音順、常用量で多い順、100g当り多い順に並べ替えることが出来ます。
[食物繊維を多く含む食品]
http://homepage2.nifty.com/luke_apostle/df0.html
■おわりに
以上2回にわたり食物繊維についてお話してきましたが、では結局「ダイエットのコツは食物繊維」なのでしょうか?答えは「コツの一つであるが、それが全てではない」です。
前回もお話したように、食物繊維には早食いを予防し・満腹感を持続させ・栄養素の吸収を妨げると言ったダイエットに直接関わる効果や、お通じの量を増やし・お通じを促すと言ったダイエットに伴いがちな便秘への効果が期待されます。
しかし、だからと言って常識的な量をはるかに超えて食物繊維を摂取すると、体に必要な栄養素が不足したり、下痢を起こしたりします。また食物繊維を含む食品にもカロリーがありますから、食べ過ぎはカロリーオーバーの元になります。
一方、食物繊維に限らず「○○はダイエットに良い」と聞くと、それを免罪符のように考え、「○○さえ摂っていれば、好きなものを好きなだけ食べて良い」と勘違いする人がいますが、そうではありません。やはりダイエットに良い食品を摂っていても、バランスの良いカロリー控えめの食事を心がけることが大切です。
不足しないよう・摂り過ぎないよう、そして頼りきりにならないよう、食物繊維とうまく付き合っていきたいものですね。
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