正しい脂肪の知識(1)(週刊やさしいダイエット第89号より)
■はじめに
私達は普段、当たり前のように「(体)脂肪」という言葉を使っています。「体脂肪率が高い」「お腹の脂肪が落ちない」等、ダイエットを語るときに「脂肪」という言葉は欠かせません。しかし、一体どれ位の人が脂肪について「正しく」知っているでしょうか?
実は私の相談室には時々「エステの人に運動を禁止されているんです。今運動すると筋肉の上に脂肪がつくらしいので。」「このマッサージを続ければ、お腹の脂肪が胸に移動するよって言われたんですが・・・」と言った相談が寄せられることがあります。しかしこれらは皆、脂肪について正しく知らない為に陥る罠なのです。
これから数回にわたり、脂肪について正しい知識を勉強しましょう。
■脂肪細胞とは?
先月は「筋肉」について色々お話しましたが、筋肉が筋繊維(=筋細胞)から出来ているように、脂肪(組織)もまた脂肪細胞から出来ています。
脂肪細胞には「白色(はくしょく)脂肪細胞」と「褐色(かっしょく)脂肪細胞」と言う、全く働きの違う2種類の細胞があります。が、私たちが一般的に脂肪と呼んでいるのは白色脂肪のことなので、今日はそちらについてお話したいと思います(以後、脂肪=白色脂肪と言う意味です)。
脂肪細胞は、体の中に600億個あります。余りに膨大な量なのでちょっとイメージしにくいかもしれませんが、人間の体には全部で60兆個の細胞があるので、うち1%が脂肪細胞と言うことになります。ところが子供の頃に肥満等によって細胞の数が増えると、何と3,000億個;つまり全体の5%を脂肪細胞が占めることになります。
なお、これまで脂肪細胞は生まれたばかりや思春期など、ある限られた時期にだけ数が増えると言われていましたが、最近の研究では、その時期以外でも栄養過多になれば(特に高齢女性で)数が増えるそうです。
脂肪細胞の主な働きは、細胞の中に脂肪をためこみ、必要に応じてエネルギー源として放出することです。1個の脂肪細胞には、1マイクログラムの脂肪をためることが出来ると言われています。よって体内の600億個の細胞がフルに脂肪をためこむと、単純計算で60kg;つまり、普通の人なら60kgの脂肪を溜め込むことが出来ると言うことです。
ちなみに今や脂肪細胞は、単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、体の働きに必要な様々な化学物質を分泌する能力があることもわかってきています。それについては今日は割愛します。
■脂肪組織とは?
脂肪細胞が集まったものが脂肪組織なのですが、さて、この脂肪組織は体のどこにあるでしょう?実は皮膚の下なら殆ど全ての場所に、脂肪組織はあるのです。
脂肪組織は、皮膚と筋肉の間を緩くつないでいます。この為皮膚は、筋肉に対して動くことが出来ます。「筋肉に対して動く」と言うのは、つまんだり引っ張ったり出来ると言うこと。ですから、お腹やお尻など脂肪組織の多いところでは、皮膚を簡単につまむことが出来ます。一方、手のひらや耳(耳たぶ以外)には脂肪組織が少ないので、皮膚は殆どつまめません。
脂肪組織は、性別によってつきやすい場所が違います。一般的に男性はお臍より上に、女性はお臍より下につきやすいと言われます。その為、女性はお尻の大きさや足の太さに悩まされるのです。しかし女性も、年齢が上がってくると脂肪のつきやすい場所がだんだん上がってきます。
なお、脂肪組織には皮膚の下にあるもの(皮下脂肪)の他に、内臓の周りについて生活習慣病の原因になる内臓脂肪があります。内臓脂肪と言うと、よく脂肪肝(しぼうかん)と間違われる方が多いのですが、前者は内臓の「周り」に脂肪がついたもの、後者は肝臓の「中」に脂肪がついたもので、全く別のものです。
■おわりに
今日は、脂肪についてごくごく基本的な事項をお話しました。次回は脂肪に関するよくある誤解(セルライトなど)についてお話したいと思います。
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